旅行をたくさんするのが好き、そんな旅行先でたくさん写真を撮って持ち帰りたい!そう思う人はたくさんいるはず。
一方、カメラそんな詳しくないしどれを買っていいのかもよくわからない、なんていう悩みを抱えて最後の一歩を踏み出せず結局スマホで我慢しちゃっている人も多いはず。
私は現在欧州に在住中のため、日本からはなかなか行けないような辺鄙なところも含め旅行してはこのブログで紹介していますが、やはりその際重要なのがカメラ。
今までソニーのミラーレスやCannonのフルサイズ一眼などを浮気をしながらも、長い時間をかけてベストなカメラ選びをしてきました。
そんな私が最終的に選び、今常用しているのがマイクロフォーサーズという規格を採用したミラーレス一眼カメラ。
一方、「マイクロフォーサーズ」や「ミラーレス」をGoogleなどで検索して出てくるのは「初心者向け」「ステップアップ用」のような、本質を見て比べていない物販目的の記事ばかり。
私が使うカメラも含めそこらのフルサイズ一眼よりずっと高価な高級モデルまであり、今ではプロでさえ使っている規格にまで進化したことを知らないのでしょうか?
それこそあまり知識のないカメラ初心者を顧客ターゲットとしてしか見ていないような、バカにしてるような薄っぺらい記事ばかりで憤慨。
そんな愚痴はさておき、今回は、新しい旅行カメラの購入を検討している方向けに、私が全力でおすすめしたいカメラ規格であるマイクロフォーサーズとその理由を、実際に撮影した写真と合わせて紹介します。
1. マイクロフォーサーズ規格とは
まずマイクロフォーサーズってなんだ?っていう方に簡単な説明をしていきます。
カメラには画像をデジタル信号として捉える「センサー」が付いており、このセンサーのサイズや縦横比が各メーカーそれぞれ異なる規格のものを使用しています。
例えばiPhone13の広角レンズに使われているものが1/1.7型。こちらは7.6×5.7mmの小型センサーで、スマホカメラの多くがこの前後の大きさの規格を採用しています。
一方、ハイエンドコンパクトデジカメと言われるNikon1などに使われているのが1型と呼ばれるセンサーで13.2×8.8mm。スマホカメラよりも随分と大きなセンサーが使われているのがわかるかと思います。
マイクロフォーサーズ規格は2008年にオリンパスとパナソニックの共同でミラーレスカメラ向けに開発された規格で、センサーの大きさは17.3×13mm。さらにセンサーサイズが大きくなってるのがわかると思います。
もちろん上を見ればきりがなく、商業写真で使われるような超大型カメラに付けられる中判(43.8×32.8mm)と呼ばれるものや、The一眼レフで使われている36×24mmのフルサイズ規格など様々。
もちろんセンサーサイズだけで画質が決まるわけではありませんが、写真の質を決める大きな要素の1つです。
では、大きい方がいいのか?という疑問ですが、実は大きければ大きいほどデメリットもあり、用途によって正しい選択をすることが重要になります。
ちなみに私が使用しているのは旅行に便利なマイクロフォーサーズ規。記事内でお見せする写真も全てこのカメラで撮影しています。
マイクロフォーサーズ規格は主にオリンパスとパナソニックのカメラで使用されているのでマイクロフォーサーズカメラといえばこの2社のカメラのことだと考えてください。
2. コンデジ・スマホカメラと比較
ではまず、マイクロフォーサーズ規格カメラが、旅行カメラとしてスマホカメラやコンデジよりも優れている理由を挙げていきます。
2-1. 許容力の差
最近のiPhoneもかなり優秀で、ちょっとスナップを取るくらいであればスマホで十分。この部分は強く同意します。
ですが、いざ夜景の写真だったり逆光時の写真だとどうでしょうか?ノイズで画面がザラザラになったり、白くモヤがかかったような写真になってがっかりということはありませんか?
まして拡大するともはやガッカリして2度と見たくないレベル。
日中の条件のいい写真を撮るだけであればスマホでも十分ですが、そのセンサーサイズの小ささもあり少し条件が悪化すると途端に不利になってきます。
気軽にスマホやコンデジ感覚で夜景を撮っても細部までくっきりと明るく写る、それがマイクロフォーサーズ規格のカメラの特徴です。
2-2. レンズのバリエーション
マイクロフォーサーズ規格のカメラは「ミラーレス一眼」の元祖ともいうべきカメラ。
そのためもちろん色々な特徴を持ったレンズに交換して使用することができます。
超望遠レンズを使って遠くにいるものを撮影したり、超広角レンズを使って絶景を全て切り取ってみたり、撮りたい写真に応じてレンズを交換して楽しむことができます。
スマホカメラではそもそもズームなども一切できない単焦点レンズが付いていることが普通なので、自分の好きなレンズに交換できるというのは大きなメリットの1つです。
2-3. 圧倒的な画質差
やはりスマホやコンパクトデジタルカメラと比較したらその画質差は歴然。
4Kテレビやモニターで写しても細部までくっきりと描写されており、写真を人に見せた時のリアクションは保証ものです。
この夜景はノルウェーのオーレスンという街で撮影したものですが、ミラーレスカメラでここまでノイズがなくクッキリと写せるということに驚いた方もいるかもしれません。
さらにオリンパスのカメラに搭載されている「ハイレゾショット」という機能を使うと、センサーを微妙に写しながら5枚の写真を撮影し自動で合成することでなんと5000万〜6000万画素相当という写真を撮ることも可能。
どのくらいすごいかというと、写真撮影後に拡大していくと建物の中にいる米粒サイズの人が来ているTシャツのブランドがはっきりと写るくらい(わかりにくい?)です。
2-4. 有利なバッテリー容量
スマホカメラを使っている人の一番の悩みといえばバッテリー。特にカメラ機能はバッテリーを消耗するため頻繁に充電ができない旅先ともなるとこのバッテリー問題は深刻です。
マイクロフォーサーズ規格のカメラはそのコンパクトボディを生かして全てが省エネであり、さらになかなか優秀なバッテリーが付属しているため、条件にもよりますがだいたい300〜400枚程度であればバッテリー1つで撮影可能となっています。
私の場合旅先で1日に撮影する枚数がだいたい250枚〜300枚程度なのですが、撮影中にバッテリーがなくなって困ったということはありません。
もちろんオーロラ撮影やタイムラプス撮影など、極寒の環境の中撮影したり、長時間撮影し続けるような際には予備バッテリーがあると安心ですが、バッテリーのサイズもコンパクトなのでかさばりません。
2-5. 写真撮影の楽しさ
やはり写真を撮るということは楽しさが伴うべきもの。
カメラのシャッターを押して「パシャ」というシャッターの開閉音は、まさに写真を撮っている楽しみを増幅させる大きな要素です。
また、絞りやシャッタースピードの調整など最初は少し難しく感じてしまう部分も、慣れてくると調整することで出てくる写真の空気感を変えることができるため写真をとるという楽しみが増していきます。
スマホカメラではどうしても「記録に残すため」の写真撮影になりがちですが、ミラーレス機を使うことでコンパクトながら作品にもなるような「記憶に残る」写真を撮ることができるようになります。
3. フルサイズセンサーカメラと比較
実際この記事を読んでいる人の多くが、フルサイズ一眼カメラにしようかマイクロフォーサーズ規格を含むミラーレスカメラにしようか悩んでいるのだと思います。
私的に言わせれば旅行カメラということを考えればミラーレス一択。今まで30カ国以上私の愛機であるオリンパスカメラと訪れましたが、行く先でいつも満足のいく画をうつし出してくれます。
ここでは、特に旅行カメラとしてマイクロフォーサーズ規格カメラが優秀である理由を挙げていきます。
3-1. 旅スナップに求めるもの
旅行先のスナップ写真に求めるものがどこにあるのか、をよく考えてください。背景までくっきり写っているシャープな写真なのか、それとも背景がとろけるようにボケているような写真なのか。
国内でポートレートやアート作品を撮影する際にはボケということも重要になってきますが、旅スナップで求めるものはやはり全域にわたってしっかりとピントがあったシャープさ。
ボケ味ではフルサイズ一眼に劣ると言われるマイクロフォーサーズですが、逆にいうとシャープな写真は極めて得意になります。
ここでキーとなるのが絞り(F)値。F値が高いほどシャープな写真になる一方、シャッタースピードが下がり手ブレしやすくなります。
フルサイズカメラの場合、シャープな写真を得るためには
- 絞り(F値)を上げる→シャッタースピードが下がる→手ブレが起こるため三脚を使う
- 絞り(F値)を上げる→シャッタースピードを下げたくない→ISO(感度)を上げる
の2通りがあります。前者の場合は三脚という大きな装備品がいること、後者の場合にはISOをあげることによって写真にノイズ(ざらつき)が加わるという大きなデメリットが。
一方、マイクロフォーサーズカメラの場合はF値が低いままでも写真全域にわたってシャープな写真を描出させやすいため、街角スナップや風景撮影にはもってこいです。
また手ぶれ補正機能が極めて優秀なので、動体を撮る時を除いてはISO800以上にあげてシャッタースピードを稼ぐような必要も全くなし。
フルサイズの絞り値F16がマイクロフォーサーズのF8と同様のシャープ具合になるため、いかに広範囲にピントが合ったシャープな写真に有利かがわかるかと思います。
3-2. ボケ味に不満なし
そんな特徴から、一部でよく言われる「マイクロフォーサーズはボケない」という悪評。これは本当でもあり、嘘でもあります。
写真のボケは撮影時のF値によって決まり、F値が小さいほどボケの大きい写真になります。この最小F値はレンズの性能によって決まり、最小F値が小さいレンズほどボケ味の出しやすいレンズということになります。
しかし前述の通り、同じ最小絞り値F1.8のレンズを用意しても、マイクロフォーサーズのF1.8のレンズはフルサイズレンズのF3.6と同じボケ味となるため、同じF値同士で比較した場合には「ボケ量が少ない」と言われてしまうのです。
ですがそこはマイクロフォーサーズ規格。逆転の発想で、他のメーカーにはLeicaマウント(100万以上)を除いて発売されていないない最小絞り値がF0.95という「人間の目より明るい」というレンズが廉価で複数メーカーから開発導入されています。
このようなレンズを使うと、スナップ写真であっても合焦しているポイントの5cm先はピントが外れてるというほどのカミソリのようなボケ味を表現することも可能。
決してマイクロフォーサーズがボケないわけではなく、その規格を生かしたレンズ構成になっているため用途に沿ったレンズを選択すればいいのです。
もちそんそこまでカミソリのようなボケ味が必要なく、記念撮影の際やテーブルフォト、料理の写真を撮る際に背景がいい感じにぼけた写真が撮りたい、という場合には1~2万円程度で購入できる最安値レンズでも十分なボケ味を表現しすることができます。
「ボケない」という風評は私は迷信だと考えています。事実この写真のボケ味、素晴らしくないですか?
3-3. かさばらないコンパクトさ
旅カメラとして忘れてはならないのがカメラやレンズの大きさ。
フルサイズカメラやその一回り小さいAPS-C規格のカメラは、センサーサイズが大きい分レンズが大きくなり、故にカメラ本体も大きいのが常識。
一方マイクロフォーサーズ規格カメラはもともとハンディでどこにでも持ち出せることをコンセプトにしているため、全てを画質を犠牲にすることなく小さくまとめることに成功しました。
カメラは精密機器ですのでもちろんスーツケースに入れることはできず基本的には手荷物。
旅行先では大きなカメラはそれだけで体力的な負担にもなりますし、さらに機内持ち込み荷物制限などを考えると手荷物を極力減らすのが常識です。
7mmの超広角レンズや400mmの超望遠レンズでも、マイクロフォーサーズ規格のレンズでは片手で余裕で持てるほどコンパクト。
マイクロフォーサーズ規格の「巨大」「でかい」「重い」と呼ばれるプロレンズやハイエンド機でさえ、同じ画角のフルサイズ用レンズやカメラと比較すると、圧倒的にコンパクトであることに気づくはずです。
普段から外に気楽に持ち出せるレンズでないと旅行では使えません。
3-4. 写真サイズ
旅行先となると非日常の連続。その土地ではなんてことない日常の光景ですら、珍しく思わずシャッターを切ってしまうもの。
写真を撮った後はもちろんコンピュータに取り込んで保存していきますが、その時バカにならないのが写真1枚1枚のサイズ。
マイクロフォーサーズ規格のカメラで撮影した写真もスマホ写真と比べればサイズはとても大きくなりますが、それでも2000-3000万画素程度が主流のマイクロフォーサーズ規格カメラでは、フルサイズ一眼のものより小さく納まることが多く経済的。
たくさん撮影した写真を選別し削除してコンピュータのスペースを確保するなんていう無駄を省くことができます。
最近フルサイズ一眼レフカメラでは4000万画素以上の高画素を売りにしたカメラも多くありますが、そんなカメラで撮影したカメラはjpeg1枚でも40MBくらい容量を使ったりするので、スナップ撮影に使うには非現実的です。
よく言われることですが、撮影した写真を映画館のスクリーンで写したり、何十メートルにも及ぶような大きなポスターに使ったりしない限り必要ありません。
よく言われることですが、画素数が高ければ高いほどいいというものでもありません。
むしろ画素数が増えれば増えるほど、ブレ等失敗のリスクが上がるため三脚撮影が必須になったり、手ぶれ補正機能を使っても微妙なブレが取りきれなかったりと、お手ごろに撮影できるものとは離れて行ってしまいます。
スナップ写真が中心となる旅行カメラとしてはマイクロフォーサーズ規格のカメラは最適な画素数になっています。
3-5. ゴミの乗らないセンサー
レンズ交換式のカメラを使うのであれば、旅先でもその恩恵を生かして場面にぴったりなレンズに交換して撮影したいところ。
センサーというのが画像にとって決定的な要素で、ここにほこりの1つでもつくと画像に大きくシミがついたりと非常に繊細な場所。
マイクロフォーサーズ規格の元祖オリンパスのセンサーは昔からゴミが乗りにくいと評判で、事実私も旅先では何十回とレンズ交換しますが未だに埃がついてセンサーが汚れたという経験がありません。
センサーサイズが大きく、さらにミラーなど複雑な構造をしているフルサイズカメラだと屋外でのレンズ交換もある意味命がけなところがありますが、オリンパスカメラだと周辺の環境にかかわらずレンズ交換を楽しめます。
3-6. 驚異的な手ぶれ補正
旅先でもちょっと写真にこだわりたい人がやりたいと思うこと、それが長時間露光。
夜景をより華やかに見せたり、滝の水の流れをより強調したい場合などに使われます。
通常こういったテクニックは三脚の利用が常識。
ですが、業界最高水準とされるオリンパスカメラで採用されている驚異的な手ぶれ補正機能を活用すれば手持ち撮影でも可能になります。
露光時間2秒程度であれば素人でもブレなしでくっきりな写真撮影が可能。ツワモノでは5秒でも手ブレしないなんていう人もいます。
手ブレの許容が少ないフルサイズ一眼レフカメラではまず常識的に考えられないことですがマイクロフォーサーズでは現実的に可能です。
3-7. 自撮りもできる
忘れてはいけないのが、旅先では景色と一緒に自分達も入りたい!という思い。言葉の壁やカメラ機能的な問題もあり、なかなか海外だとカメラを他人に預けるということには躊躇しがちです。
マイクロフォーサーズ規格の多くのカメラにはバリアングル液晶モニターが付いており、手持ちでの自撮りも可能。
極端に重いレンズをつけていたりしない場合には女子でも余裕。旅先での思い出が風景写真だけじゃ寂しいですもんね。
よく旅先で大きなフルサイズ一眼カメラを持っている人を見かけますが、そうなるともはや片手での手持ち撮影は男性でも不可能。
せっかくいいカメラを持っているのに、自撮りは画質もへったくれもないスマホのインカメで、なんていうのを見ると悲しくなります。
高画質カメラで自撮りをしておけば後から編集もできますし、アートフィルターやポートレートモードを使えば最初から美肌で撮影できたり瞳に自動でピントがあったりと、自撮りのクオリティも上がること間違いありません。
3-8. 水をもろともしない
次にオリンパスのOM-Dシリーズの屈強さ。特に水や寒さにとことん強いのが特徴です。
Youtubeなどを見るとカメラごと丸洗いしている動画なんかもたくさん出てきて、水中撮影でもしない限りは全く問題なさそうな密閉具合。
これも作りが精巧でしっかりしているオリンパスのクオリティならでは。
左の写真はアイスランドの滝に近づいて撮影した際のもの。まるで土砂降りの中撮影しているような環境で、電化製品にはあまりに過酷な環境ですが、オリンパスの防水(正確には防滴)性能は異次元レベルのため全く問題なし。
周りの人を見ると皆カメラを守ろうと必死になっていましたが、海に潜るでもない限り水は怖くありません。
右の写真はスウェーデン北部でオーロラ撮影後の写真。当時外気温はメーカー耐用限度を超える−20度でカメラ本体もキンキンに冷えており、そのまま何の対策もすることなく室内に持ち込んだところこうなりました。
一瞬にして結露し、その結露した水が冷やされカメラごと凍結したという一場面です。
ズームレンズも凍結し物理的に完全に動かなくなったのでさすがに壊してしまったかと思ったのですが、その後数分して凍結が治るとカメラは普段通り正常に機能。
ずぶ濡れになっても凍っても壊れない、それがオリンパスのカメラです。
3-9. 開放で撮りたくなるレンズ
カメラ界の常識としては、「絞り開放=描写が甘い」。ピントが合っているのになんとなくソフトフォーカスがかかったような、きりっとした絵にならないということがあります。
もちろんこの特徴は逆に肌を綺麗に見せたいポートレート撮影においては有用ではあるのですが、旅行カメラとして使うのであればやはり開放からシャープであるというのが望ましいもの。
通常の風景写真などではF値をある程度絞って撮影するのが常識となっています。ですが、マイクロフォーサーズ規格のレンズにはその常識は通用しません。
センサーサイズが小型な分レンズの作りに余裕があるため、絞り開放でもピントが合っている部分は隅々までシャープな画を出すのが得意。
この写真はブリュッセルの世界一美しい広場と言われるグラン・プラスで撮影したものですが、フルサイズユーザーの方は驚くこと間違いなし。
なんと使用レンズの最小絞りであるF2.8を使った絞り開放撮影、さらにシャッタースピード2.5秒、ISO400という状態で手持ち撮影したものです。
開放からシャープな画を出してくれる高品質なレンズ、業界最高水準の手ぶれ補正機能といったまさにオリンパスカメラとレンズの特徴を最大限に引き出して撮影した写真とも言えます。
3-10. ここぞという時の8000万画素撮影
前述の通り普段のスナップ写真ではそこまでの高い画素数は不要ですが、ここぞというとき、まさに三脚を立てて本格的に撮影したくなるような絶景を目の前にした時に、オリンパスカメラならではの凄い機能があります。
それがハイレゾショット(OM-Dシリーズの中級〜上級機のみ)。
なんとセンサーをピクセル単位で微妙に動かしながら写真を5枚撮影しそれを合成し、8000万画素(EM-5の場合は5000万画素)の画像を生成するというもの。
画像サイズに直すと10368 × 7776ピクセル。写真1枚のファイルサイズが50MBを余裕で超えてくるのでもはや訳がわからないレベルです。
ここで紹介している写真は、年に数回あるかないかの雪化粧したサンマリノで撮影した日の出直前を撮影したもの。
もちろん8000万画素の元写真はネット上では公開することができませんが、空のコントラストはもちろん、地平線に見える小さな山々、麓にある家々や車、そして朝の霞みがかった空気感が見事に再現されています。
三脚などを使ってカメラを固定した状態での撮影が必須になりますが、景色などをこれ以上ない解像感で撮影できるので、旅行中の「まさに絶景」という風景を最高の状態で持ち帰ることができます。
そしてこちらが日の出の瞬間を撮影した写真。
この8000万画素というのがどのレベルなのか、なかなか想像がつかないと思うので写真を拡大表示してみます。
この部分をトリミングして拡大表示してみます。
いかがですか?実際にトリミングしたとは思えないほど家々や木々がしっかりと写っています。さらに霞みがかった雰囲気などの細かい空気感までしっかりと残っているのがわかるはず。
これがハイレゾショットの本質です。
この機能を使うことで、ソニーの最新フルサイズセンサーカメラで高画素が宣伝文句であるα7R IIIなどよりもさらに大きな画素数で保存することができるので、映画館のスクリーンに映しても余裕。
もちろん連続した5枚の写真を合成するということで動きものには使うことができませんが、風景写真には最適な機能になります。
一方、5000万画素の画像になると撮影後のRAWファイルが70MB近くになり、コンピュータのスペックによっては保存や編集が困難になるため、普段のスナップ撮影に使うのは不向き。
プロフェッショナルでもない限り普段から超高画素と言われるレベルで撮影をするのは利便性からもお勧めできません。
普段は1600〜2000万画素でスナップ写真を撮影し、まさにここぞという時にハイレゾショットを使用するなど用途や目的に合わせた撮影方法を選ぶことができます。
4. 一眼レフ機との比較
最後にフルサイズカメラの中でも特に高級カメラに多い一眼「レフ」と呼ばれるカメラとミラーレス機の比較をします。
ミラーレス機に出来て一眼レフ機に出来ないこと、というのが実は結構あるのです。
4-1. 静音シャッター
カメラというと「カシャ」っという音がするのが当たり前。そう思っている方はおおいのではないでしょうか。
もともとカメラがカシャっと音がするのは一眼レフ機の名残といってもいいほど。一眼レフ機では、センサーの前にミラーがあり、レンズを通じて入ってきた光がミラーに反射し、ファインダーから目視することができます。
しかしミラーがセンサーの前にあるままでは光がセンサーに入らないため、シャッターを切った瞬間にそのミラーが持ち上がり、光がセンサーへと入り、そしてデータとして保存されるのです。
このミラーを上下する際に発するのが「カシャ」のもともとの正体。ですので一眼レフ機では静音シャッター機能というものはありません。
ですが、そもそもミラーがないミラーレス機では常に像がセンサーへと当たっているため、完全なる静音での撮影が可能。
教会や博物館内はもちろん、レストランなどでも周りに気を使うことなく撮影するためにはこの静音撮影機能は不可欠です。
4-2. ファインダーで見える画
スマートフォンやコンパクトデジカメで普段撮影している人にとっては、ファインダーから覗いた写真がシャッターを押した瞬間にそのままの姿で保存される、というのが当たり前だと思っている人も多いと思います。
ですが、一眼レフ機を使用した場合にはそうはいきません。前述の通り、ファインダーから覗いている像は実際にレンズを通して入ってくるリアルタイムの像。
つまりは肉眼で景色を見ているのと同じなので、一般論で周りが暗ければ暗いですし、絞りやISOの情報もファインダーで覗いている間は反映されません。
ですので、撮影したらプレビューで写真を確認し、自分のイメージ通りの写真になっているのか、明るさは十分かなどを毎回確認する必要があります。
一方、ミラーレス機ではセンサーに入ってくる像がそのまま電子ファインダーに映像として映るため、ISOや絞りなどの調整をリアルタイムでファインダー像として確認することができ、撮影した写真もシャッタースピードによる変化を除いては、ファインダーで見た画と同じものとなります。
つまり、もう少し背景をボカしたい、もう少し明るくしたい、という調整を撮影する前に調整することができるのです。
そのため、特に日中は撮影後にいちいち確認する必要がなく、また失敗の可能性を減らすことができます。
まさにスマートフォンカメラの感覚で気楽に撮影できるのがミラーレス機の特徴です。
5. マイクロフォーサーズおすすめカメラ
というわけで、マイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラがなぜおすすめなのかを紹介してきました。
実際に作例もたくさん紹介できたので、どんな写真が撮れるのかのイメージも持っていただけたかと思います。
最後にそのマイクロフォーサーズ規格の中でも特におすすめなカメラを、何十とあるモデルの中から私が使用しているカメラも含め4つに絞って紹介します。
いずれも特徴が随分と違うので、紹介順=お勧め順にはなっていません。目的と好みに応じて選んでみてください。
5-1. パナソニック DC-GH6
まず最初に紹介するのはパナソニックDC-GH6。パナソニックカメラの中でもハイエンドモデルの位置付けです。
画質がいいなど当たり前のことはさておいて、このカメラの特徴はなんといっても動画性能。
ボディ内5軸手ぶれ補正や4K動画機能など、プロのYoutuberやテレビの海外ロケなどでも使用されるほど動画性能が高く評価されています。
旅行先で写真だけではなくて動画もばっちり撮りたい、という人におすすめです。
5-2. オリンパス OM-D E-M1シリーズ
現在私がメインで使っており、このブログで使用しているほとんどの写真を撮影しているのがこちらのカメラ。
オリンパスのマイクロフォーサーズ規格カメラとしてのハイエンドモデルの1つになり、小型で動画性能に特段のこだわりがなければ最善の選択肢になります。
画質はもちろんのこと、とにかくその他の機能が充実。
オリンパスの技術がすべて入ったカメラでもあり、5軸手ぶれ補正や連写機能、オートフォーカス機能などは他社フルサイズ一眼カメラのハイエンドモデルをも凌ぐレベルに仕上がっています。
にもかかわらず、コンパクトには違いなく、旅先で最高の写真を撮りたい、そんな目的にぴったりのカメラです。このカメラについてはこちらのレビュー記事で詳しく紹介しています。
5-3. オリンパス OM-D E-M5シリーズ
こちらも同じく私がサブとして愛用しているカメラ。前述のE-M1の1つ下位(OM-Dシリーズでは中位)モデル。
小型化のためにグリップ部分が省略されていたりと、1日数百枚撮影するヘビーユーザーにはちょっと扱いづらい部分がありますが旅行用としてはコストパフォーマンスのいい機材になります。
個人的な実感ですが、−10度を超えるような極地ではE-M1よりも耐寒性能が強く、バッテリーの持ちもいいなど、寒冷地での撮影では全幅の信頼を置いています。
こちらの記事でカメラレビューをしていますので興味がある方は参考にしてください。
5-4. オリンパス PEN E-PL10
旅行カメラとして女子を中心に熱狂的に支持されているPENシリーズ。その中で最新・最強お出かけカメラとして登場したのがE-PL10になります。
その可愛らしい見かけによらず、オリンパスのハイエンドカメラ、OM-D E-M1と同じ画像エンジンを搭載している超本格カメラで、手ぶれ補正や高速連写性能などもプロお墨付き。
一方、その小型サイズを生かして、スマホで簡単にシェアできる機能や自撮りが簡単なバリアングル液晶、多彩なアートフィルターなど、旅行先に気軽に持ち出して思わず写真をとりたくなるような、そんなカメラに仕上がっています。
E-Mシリーズのようなタフな使い方には向いていませんが、旅行先で撮った写真をその場で旅仲間とシェアしたりSNSで公開したり出来る、フットワークが軽くなるようなカメラになっています。
6. 最後に
旅行カメラとしてマイクロフォーサーズ規格カメラをお勧めしたい理由を15個、スマホやコンデジ、フルサイズ一眼カメラと比較しながら紹介しました。
私が海外で生活することになる際に悩みに悩み抜いて購入したのがマイクロフォーサーズ規格のオリンパスカメラ、OM-D EM-5 Markⅱ。その後EM-1 Markⅱを買い足したりなど大好きな規格のカメラになります。
日常のスナップはもちろん、オーロラ撮影や鉄道写真までなんにでも使っていますが、いつも撮れる写真に大満足。
画質はもちろんのこと、その取り回しの良さや悪条件の中でもカメラのダメージを気にせず撮影できる頼り甲斐など、好きな点をあげたらきりがありません。
今回紹介した作例は以下のレンズで撮影しています。興味がある方はレビュー記事を書いてるのでそれぞれ見てみてください。
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
- Voigtländer NOKTON 10.5 mm F0.95
- Voigtländer NOKTON 25 mm F0.95
旅行カメラを探しているという方は是非、マイクロフォーサーズカメラを手に取ってみてください!
ニコンユーザーで、D5とZ7の2台を所有しています。今物欲からいずれ発売されるD6はやめてオリンパス機がきになっているところです。今度、サハラ砂漠に行くのですが、サハラ砂漠の砂でカメラを壊したという話をよく聞きますし、ニコンの場合カメラを防塵・防滴ですが、レンズは防塵・防滴に配慮した設計とメーカーは言っています。オリンパスのように堂々と防塵・防滴を謳っていないので、少し不安があります。多くのフォトバラファーが使用していますし信頼しているのですが。ライブコンポジット撮影をしてみたいのも理由の一つです。レンズも安いですね。
今、狙っているのは安くなったOM5-MarkⅡをとりあえず買ってみるかかOM1-MarkⅡを買って超望遠用に使ってみるかですね。OM5-MarkⅡの場合、高感度耐性が気になりますが。
OM5-MarkⅡもMark1もセンサーは同じなので、高感度耐性という意味ではやはりあまり高望みはできません。
ISO1600が個人的には限界、夜景やオーロラもできればISO800以下で抑えたいというところです。
ただ、明るいレンズが安いのと、手ブレ補正のおかげで望遠レンズでもなければ手持ちでも2秒とかは余裕なので、そういう意味で感度を抑えることは可能です。
オリンパスの防塵防滴は本物です。カメラをよく水で丸洗いしているような人さえもいるくらいなのでなかなか信用できると思います。
とても興味深く記事を読ませていただきました。お写真も綺麗でハッとします。
今までフジのX-T20かX-E3を購入したいなと思っていたのですが、一気にオリンパスも気になってしまいました(笑)
よろしければShunさんのオリンパスに対するこだわりと、「旅行に行くのに最低限これを持っていけば撮れ高は安心」と思うレンズをお教え頂きたいです。
コメントありがとうございます。
旅行でカメラを持って行くときは珍しいかもしれませんが常時7-14mm F2.8 PROを持ち歩いています。ちょっと広すぎると思うときもありますが、旅行の景色を切り取ったりするのには最適です。特に私の場合EM-1 Mark2を使っていて画素的にも余裕があるので、多少の広角歪みに関してはPhotoshopなどで台形補正してしまうので、そうなると25mmくらいの標準レンズ的な絵もトリミングで得られます。
荷物に余裕があるときはそれに追加して最近はフォクトレンダー25mm F0.95を持ち歩いています。こちらは作品作り専用という感じです。
ちなみに背景のボケとかはあまり気にせず、とにかくシャープな写真を撮りたい、旅行先でレンズ交換はしたくないという方は、間違いなく12−100mm F4がおすすめ。実は去年までずっと使っていましたがヘルシンキで階段の上から落としてガラスの藻屑となりました、、、、涙
こだわりは、やはり手ぶれ補正は他社の追従を許さないほど超強力で驚きます。あとはゴミが乗らないセンサー、これは旅行カメラには最適。あとはなんといってもサイズですね。とにかく機動力が高くて使い勝手がいいです。
画質に関してはこのブログで紹介している写真のほとんどがオリンパスカメラの作品なので、どういう絵がとれるかは他の記事も参考にしてみてください(古い記事は解像度低いので最近の記事が参考にはおすすめ)。見ての通りデジカメでとったようなスナップ写真から、作品レベルまでなんでも取れます。
ただ作品作り的な意味では富士フィルムのX-T2は今でも気になることがあります。富士のミラーレスはあまり脚光浴びませんがニコンやキャノン、ソニーのものとはレベルが一段違うなと思うことがしばしばあります。
X-T2のサイズでX-H1の手ぶれ補正がつくようになったら富士も単焦点レンズ専用のセカンドカメラとして多分買います。
ただ、海外旅行で頻用したいいい明るい広角ズームとかお手頃望遠がないので、オーロラとか夜景もよくとる身としては、まだファーストまでにはできないかな、と思ってます。あくまで単焦点をつきつめるというか、、、多分街中でパシャパシャ思うがままとるというよりは、「写真をとる」カメラなので、クオリティ優先なんだと思いますので、一枚一枚こだわりたい人には富士フィルムも全然アリだと思います。
当方フォーサーズEM10mark3⃣を購入致しました。コンデジのレンズ交換できる感覚で購入しました。テスト撮影をしています。鉄道写真ですが動き物は弱いです。60キロ位ならなんとかとれますが100キロだと苦労します
あと動き物に関してですが夕方で露出が厳しいとリバーサルで撮影してるみたく厳しいと感じました。センサーサイズの影響でしょうか、最終手段として4k動画でPCで切り出しで対処できるかなーと考えております。カメラの特性はなんとかつかめてますがより多く撮影しないとわからないです。でも旅行カメラや普段どりには最適です。良い所と悪いところのハッキリしたカメラかなーとおもいます。あとはレンズの集点距離が35フルサイズの1/2 なので感覚がつかみやすいですね、あとOLYMPUSはローエンドモデルでも機能はしっかりしてます。手振れ補正もしっかり効いてて感心しました。
Mark3購入されたんですね!噂によればEM-5 Mark2をも凌ぐ性能になっているんだとか。
動き物を捉えるのはなかなかコツがいります。特にシャッタースピードを下げられないので、採光や絞りなどで調整する必要があります。
が、本格的に鉄道など動き物の写真をやるのであれば40−150 F2.8を購入し、Fを5以下(と言っても相当シャープにうつります)に抑えて撮影すればかなりいい写真が取れますよ。航空写真や野鳥写真の専門家でさえマイクロフォーサーズメインで撮ってるプロがいるくらいなので。
流石にキットレンズや暗い望遠レンズでは厳しいと思います。
マイクロフォーサーズが一番生きるのはやはり風景画かと思います。慣れてくれば通常撮影で2秒、広角レンズであれば3−4秒は手ぶれ補正だけで露出できるようになるので、ISOをあげずにトワイライトから夜景までなかなか綺麗にとれます。