ロンドンとスコットランド各地を結んでいる寝台特急カレドニアン・スリーパー。
英国に現在残るたった2つの寝台特急のうちの1つとして知られ、現地の人にはもちろん鉄道発祥の地ということで純粋に列車旅を楽しみたい観光客にも人気の路線となっています。
今回はそんなカレドニアン・スリーパーをロンドン〜エディンバラ間で利用したので簡単な乗車レビューを紹介します。
今回紹介する客車は2019年中旬まで使用されていた旧型客車のものです。
現在新しく導入された新型客車の1人用個室には、プライベートのトイレ・シャワールームが設置されより広々とした空間のものとなっています。
新型客車についてはこちらをご参照ください。
1. 乗車前は1st classラウンジで
今回利用したのはカレドニアン・スリーパーの一等個室寝台。そのため、カレドニアン・スリーパー乗車前にはターミナル駅のファーストクラスラウンジを使用することができます。
今回はロンドンを始発とする列車を利用したので、乗車前にロンドン・ユーストン駅にあるヴァージントレインズのラウンジで時間を過ごしました。
コーヒーや紅茶、コーラをはじめとするソフトドリンクは飲み放題。またクッキーやナッツなどスナック類もサービスに含まれています。
アルコール類は別料金ですがバーカウンターで注文可能です。
カレドニアン・スリーパーの発車時刻は夜23時50分。そのため乗車前にシャワーを浴びることも可能。タオルの貸し出しもあります。
尚、新客車のクラブルーム(ファーストクラスに該当)を予約すると、客室内にシャワー・トイレが完備されていますが、旧客車にはそのような設備がなかったので、寝台特急乗車前に汗を流せるというのはとても嬉しいかぎり。
2. チェックインをして乗車手続き
カレドニアン・スリーパーの発車時刻は23時台後半ですが、発車の1時間半以上前である22時頃から乗車受付が開始されます。
ホームに行くと、そこでまず乗車券の確認と簡単な客室の利用方法などの説明をうけます。
その後、自分の客室へと向かいます。
この車両デザインを見るだけでもテンションアップ。なんと驚くことに、この車両は国鉄時代に製造されたもので既に50年近くが経つ名客車。
そんな貴重な車両に乗れるということだけでなく、日本ではなかなか経験することのない寝台列車の旅ということで気分も高揚します。
客室へと続く通路は本当に狭く、1人なんとか通れるくらい。
すれ違うことは不可能です。
3. 一等客室(国鉄マーク3客車)・アメニティ
今回利用したカレドニアン・スリーパーで使用されている客車は国鉄マーク3A客車。1970年-80年台に製造された客車で現在まで数十年にわたり使用されてきました。
ちなみに2019年春に新型客車に置き換えが決定しているため、この客車を楽しめるのはもうあとわずか。
もちろん古さをところどころ感じるとはいえ、内装は何度か改装されており現在でも十分に使用できるものになっています。
コンセントはありませんが、現在では欠かすことのできなくなったUSB端末も完備。スマートフォンの充電が可能です。
各客室内には水道も完備されており、冷水と温水両方とも利用可能。
歯を磨いたり、洗顔をしたりするのにとても便利です。
ファーストクラスにはタオルを含めアメニティが用意されています。
アイマスクやイヤーピース、ミストスプレーや洗顔ソープ、スキンローションなど。そして1人につきペットボトルの水1本もついています。
お手洗いは列車内のものとしては珍しく男女別。
もちろん水洗で、トイレットペーパーも水に流していいタイプのものになっています。
4. ラウンジカー(国鉄マーク2客車)
カレドニアン・スリーパーのファーストクラスの醍醐味といえば、ファーストクラスの乗客優先で使用可能なラウンジカー。1960年台から70年台にかけて製造された国鉄マーク2客車が使用されていました。
ビストロカーのようにディナーや朝食を食べることができるほか、コーヒー・紅茶などを飲んだり、ただ談笑を楽しんだりと自由に使うことが可能。
カレドニアン・スリーパーはもともとスコットランドをベースにしている鉄道であるため、乗員の皆さんもスコットランド出身。そして、そこで提供される食事もスコットランド料理がメインになります。
こちらは好き嫌いがはっきり分かれるスコットランド名物ハギス(奥)。
羊の内臓のミンチをハーブや玉ねぎ、オーブ麦などとともに羊の胃袋に詰めて茹でたもので、スコットランドの伝統的なメインディッシュとされています。
出発時間の23時50分を待たずとも、乗車後すぐからラウンジカーの営業が始まるため、早めに食事をとりベッドで休むことも可能です。
こちらはファーストクラスの乗客には全員無料でサービスされる朝食メニューの1つ、ハイランドブレックファスト。スコットランドの伝統的な朝食で、淹れたてのコーヒーや紅茶と一緒に提供してくれます。
その他、スモークサーモンやサンドイッチ、サラダなどいくつかのメニューの中から好きなものを選択することができます。
また朝食は希望すれば客室へのルームサービスも可能。朝ゆっくり過ごしたいという方には嬉しいサービスです。
5. 列車の車窓
寝台特急なため、夜間はなかなか車窓を楽しむことはできませんが、早朝から日が昇り始めることにはかなり美しい英国郊外の景色を楽しむことができます。
今回はラウンジカーから日の出が美しいスコットランドの大地を少し撮影してみたので、車窓を見てみたい方はこちらの動画をご覧ください。
6. 最後に
いかがでしたか?
今回は新客車導入前の旧型客車による寝台特急カレドニアン・スリーパーのファーストクラスを使った旅の様子を紹介しました。
古い客車とはいえ必要な部分は現代にも適応するよう改装されており、予想以上に快適。まさに高速で移動するホテルという感じで、元々持っていた寝台列車のイメージを180度覆すものでした。
英国は鉄道発祥の国とも言われ、列車を使った旅行は高貴な遊びの一つ。是非英国旅行中には日本ではなかなか体験できない寝台特急の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
カレドニアン・スリーパーの予約方法についてなど詳しいことはこちらの記事も参考にしてください。
英国に現存するもう一つの寝台特急、ナイト・リビエラの乗車レビューも書いているので興味がある方はこちらも参考にしてください。
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