バルト3国の1つであるリトアニア。まだまだ観光地としての知名度は世界的に見ても低く、日本人にとってもあまり馴染みがある国ではありません。
ですが、中世ヨーロッパの雰囲気をそのまま残し街ごと世界遺産に登録されている首都ヴィリニュス市街地だけでなく、リトアニア全国に世界遺産を含む多くの観光資源があることから、コアな旅行者を中心に人気になってきています。
私自身、北ヨーロッパに属する国は全て訪れたことがありますが、その中でもリトアニアは私が心からお勧めできる国の1つです。
今回は、何故そこまでリトアニア旅行をお勧めできるのか、理由を10項目紹介します。
1. 豊富な観光資源
リトアニアというとパッと有名な観光地が浮かばないかもしれませんが、訪れてみると実際にはかなり観光資源に富んだ国だということがわかりました。
多くの旅行客がエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国を1週間程度で駆け足で廻りますが、実際にはリトアニアだけに1週間滞在しても十分に楽しめる国です。
街ごと世界遺産登録されている首都ヴィリニュスの旧市街は比較的大きく、観光客がいつでも見学できる教会や大聖堂が20以上。
それに博物館や美術館も充実しており、何より中世ヨーロッパの姿を感じることができる町並みは、まさに息を飲むとの言葉がぴったり。その美しさは何日見ていても飽きることはありません。
リトアニア第2の都市カウナスは、「命のビザ」で有名な元駐リトアニア領事杉原千畝の足跡を辿る旅が人気。
街を歩いていると所々で杉原千畝の記念碑を見つけることができますし、リトアニア一の親日エリアでもあります。その他城や教会、博物館など訪れるべきところは多岐にわたります
さらに、リトアニア第4の都市シャウレイの近くには知る人ぞ知る世界遺産、十字架の丘がありコアな個人旅行客を惹きつけています。少しアクセスは大変ですが、十分に足を延ばす価値があります。
2. 格安の物価
バスト3国に共通して言えますが、リトアニアはユーロ圏の中では最も物価の安い国々だと言えます。
ヴィリニュス中心部のレストランでさえ、前菜とメインコースにアルコール類を頼んでも3000円弱程度。少しローカルなレストランにいくと立派なサーロインステーキが600円程度なんてこともあります。
アルコール類も安く、ビール1杯1〜2ユーロ程度。北欧諸国を旅するときと違ってお財布事情をあまり気にしなくていいのは嬉しいところ。
ホテルも例外ではなく、中級ホテルであれば1泊30ユーロ〜40ユーロ程度。ゲストハウス(民宿)だと20ユーロ程度から、ホステルに至っては3〜5ユーロ/ベッドととにかく安く泊まれます。
バジェット旅行をするにも、普段はなかなか出来ないラグジュアリーな旅行をするにも、出費を抑えた経済的にも嬉しい旅行になります。
3. 破格の航空券
リトアニアを訪れる方の多くはバルト3国を周遊するパターンか、欧州他地域から入国するかに分けられると思います。
バルト3国周遊の場合にはバスなど地域間輸送網が発達しているので問題なしですが、域外からの旅行者も実は気軽に訪れることができるのはあまり知られていることはありません。
ヴィリニュス国際空港は隣国ラトビアの国営LCCキャリアであるエアバルティックがハブ空港と使用しているだけでなく、欧州格安航空会社の代名詞であるライアンエアーやウィズエアー等もリトアニア各地の空港に就航しており、空路での格安アクセスが可能。
例えば、デンマークの首都でスカンジナビア航空が日本と結んでいるコペンハーゲンから、杉原千畝ゆかりの地として有名なカウナスまで、ライアンエアーが10ユーロという破格の値段で航空券を販売しています。
またコペンハーゲンから電車で30分、スウェーデンの第3位の街マルメの空港から首都ヴィリニュスまではウィズエアーが格安航空会社が8ユーロ〜で販売中。
他にもイギリス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、オランダ、ベルギー、フランスなど各地から格安航空会社が運行しています。
この理由は、リトアニア政府が空港使用料を極めて安く設定しており、欧州の有名格安航空会社が凖ハブ空港のような形で運用しているため。
他では考えられないような安い航空券を購入することが出来るので、欧州どこにいても気軽に訪れることができます。
4. 人の良さ
一般的にリトアニア人は英語をあまり話しません。特に一定の年齢層になると簡単な英語でさえほとんど通じませんし、あまり英語で話したがることもありません。
ですが、それでもなんとか身振り手振りで案内してくれたり、ちょっと共産圏の名残なのかあまり笑うこともなく淡々と助けてくれる感じは、逆になんとも言えない温かみを感じます。
逆に英語を話せる人に関しては、旅行者と英語で話したがる人も結構多いようで、よくすれ違いざまに声をかけられたりと皆フレンドリーに感じました。
また、もともと移民が極端に少ない国ということもあってか反移民感情を持っているような感じはなく、またあまり人種差別的なことを感じません。
アジア人差別・軽蔑という意味では、パリやローマなど他の欧州主要観光地の方が根強く残っているように思います。
5. コアな旅行者気分
リトアニアに旅行に行ったことがある人は身の回りのどの程度いるでしょうか。またリトアニアに行くというと周りの人はどういう反応をするでしょうか。
まだまだ日本人にとっては観光地としての知名度は低く、世界的に見てもまだまだ旅行客が多いとは言えません。
有名な世界遺産「十字架の丘」を訪れても観光客は自分一人だけ、一人で世界遺産を独占なんていう体験も出来てしまいます。
リトアニアを旅行する難易度は全く高くないのにもかかわらず、その観光客の少なさと知名度からまるで自分がコアな旅人になったかのような気分になるに違いありません。
6. 発達した国内交通網
リトアニアはEU加盟国であり、その立地から対ロシア防衛の観点からとても重要な国。ということでEUからかなり巨額の援助を受けながら国内の交通網が整備されてきました。
まだまだソ連時代の古いものも多く残ってはいるものの、主要都市ではバスやトラムが住人の足として根付き、都市間の移動は最新の車両も多く導入されている高速鉄道や高速バスでスムーズに行うことができます。
特に高速バスは定時運航率が高く、また非常に本数も多いため観光にも最適です。
7. 安定した治安
様々な国を旅行してきましたが、リトアニアの治安の良さは最高水準、少なくとも主要都市では夜間も含めて犯罪に巻き込まれるような雰囲気は微塵も感じさせません。
首都ヴィリニュスなど観光客の多いエリアでは、夜間にカメラをぶら下げた人も普通に街中を歩いています。
実際現地の人に聞いても、犯罪らしい犯罪はほとんど起きていないと言っていました。
理由の一つに移民や難民がほとんどいないこと。欧州が難民危機に巻き込まれる中、嘘か本当かリトアニアで自ら難民申請したのはたったの3人だとか。「リトアニアは移民に不人気なんだ」と笑いながら話していたのが印象的でした。
またそれほど平均所得は高くないにもかかわらず観光客に法外な値段を突き付けたり、スリやひったくりを狙うというような雰囲気も全くありません。
旧共産圏の名残なのか、従順なキリスト教国の所以か、なんとも言えない犯罪を抑止する雰囲気があります。
8. 親日感情を持っている人が多い
もちろん人にもよると思いますが、リトアニア人は日本に対して少し他のアジア諸国とは違った印象を持っている人が多いように感じました。
基本リトアニアのある一定の年齢層以上の人は、共産主義時代の名残なのか人種に限らず観光客(リトアニア語を話さない人)に冷たいように一見思えるのですが、日本からきたということを伝えると突然笑顔で何かいってくるということを何度か経験しました(もちろん何言っているかは不明)。
カウナスにある杉原千畝博物館の職員に聞いてみると、リトアニアでは学校教育の一環として杉原千畝の功績をはじめとして日本の歴史も少し学ぶということ、そしてカウナスの公立学校の中高生は全員杉原千畝博物館に社会科見学に行くとのことでした。
たった1人の先人による人道支援が、現在の親日感情に繋がっているというのはとても感謝すべきことだと実感します。
9. 団体旅行者がいない
正確に言うと0ではありませんが、団体旅行や大人数のグループの観光客を見かけることはほとんどありません。
少なくとも他の欧州西側諸国ではどこに行っても見られるような大規模な中国人団体ツアーのような目立つグループはなく、あっても10人程度の小規模なもの。
そのため団体でごった返す中観光したりしたり、団体ツアー客と同じレストランに鉢合わせたりという心配は無用で、他の旅行客に対するストレスなく自分のペースで見て回ることができます。
逆に、リトアニア観光では教会をはじめとした中世の建物巡りだったり小規模の博物館を回る機会が多くなるので、あまり大人数のグループは適さないのかもしれません。
10. 美味しい食事
リトアニアの食事と聞いてどういうイメージを持つでしょうか。バルト3国に共通して言えることは、とにかく食事が美味しく手が込んでいるということ。
リトアニア伝統料理であってもなくても、肉料理も魚料理も関係なく、メニュー上の何をたのんでも外れということはありません。さらに食事の値段も非常に安くコストパフォーマンス抜群。
欧州諸国色々旅をしてきましたが、リトアニアを含めバルト3国の食事がもっとも高評価です。
最後に
いかがでしたか?
物価が安くて、治安もいい。食事も美味しいし人も親切。観光地としては最適な条件が整っています。
戦後の復興に時間がかかったこともあってまだまだ観光地としての知名度は低いですが、EU加盟国として近代化が急速に進んできており、日本からの観光客も安心して滞在できる環境が整ってきました。
リトアニアに今すぐにでも行きたくなった方、是非次の目的地候補に追加してみてはいかがでしょうか。
見所が非常に多いので、リトアニア滞在の日数をしっかりと確保した旅行計画をお勧めします!
彼がリトアニア人なのでリトアニアについてずっと調べてたらたどり着きました。
私自身はリトアニアにまだ行ったことはありませんが、この記事を読んでとても行きたくなりました。
日本人にとってはあまり馴染みのない国ですが、このようにリトアニアの良さに気付いて発信してくださる方がいて大変嬉しく思います。
今年旅行する予定なのでとても楽しみです。
本当に旅行してて楽しめた国でした。
是非生の目で見て色々感じ取ってきてください!
こんにちは。リトアニアの織物雑貨をいくつか持っているので、リトアニアがどういうところかが知りたくなり、検索したところ、こちらのブログに行きあたりました。
私はまだ海外旅行は、憧れているばかりで
ヨーロッパには一度しか行った事がなく、
それこそ王道な地が先かな?って思いますが、
記事を読んで、とても魅力を感じ訪れてみたいと思いました(^^)
ブログを見ていただいてありがとうございます。日本語のリトアニア観光記事はインターネット上No1を自負しているので是非参考にしてください(笑)。
ヨーロッパにあまりいったことがなく王道が先、という気持ちはよくわかりますし、多くの方がバルト3国を訪れるようにはなっていないのもそれが理由だと思います。
ただ観光地化しきってないというのは逆にいうと旅行はしやすく、治安面でも観光客狙いの犯罪などは滅多に起こらないので安心という考え方もできます(もちろん不便が全くないとはいいません)。
特にビリニュスの旧市街はかなり綺麗で、少なくとも観光業に携わっている人には英語も通用しますしヨーロッパ他国を観光するのと心理的にはさほどかわらないかなーと思います。
仕事しているので、長く休めるGWに一人旅をしています。今年はハンガリー、昨年はチェコに行きました。来年はリトアニアにいきたいとこれを読んで思いました。ハンガリーもチェコもあまり食べ物がおいしくなくて残念でしたが、リトアニアには期待できそうです。一人きままに歩くにはとてもいい感じの国ですね。
アクセスですが、札幌からなので、混んでいる成田をさけ、いつもインチョン経由で行っていましたが、ここはいけるのかなと調べ中です。
もちろん相性はあると思いますがリトアニア料理は日本人にもよくあって美味しいと感じました。
街の大きさも適度で首都ビリニュスも1−2日あれば徒歩で隅々までみてまわれます。
基本大手の航空会社はあまり就航しておらず、ライアンエアーやウィズエアーなどの格安航空会社が主に運行しているので乗り継ぎはやや大変になってしまうと思いますが、価値はあるはずです。
Shunさん、
今、Shunさんの記事でバルト三国の猛勉強中です。団体旅行客の押し寄せる前に、是非行きたいと思っています。ところで「10.美味しい食事」の写真のスープはビーツのスープでしょうか。 隣のちくわみたいのは、クリームフィリングのデザートでしょうか?美味しい食事は、旅の楽しみの一つですよね。(とはいえ、海外へ行く時は、お煎餅数袋を持参する和食的人間)
今後も、ご活躍ください。
ありがとうございます。ブログは完全に趣味&時間つぶし的なところがありますが、そんなサイトにもファンがついてくださって嬉しく思います。
スープはおっしゃる通りで、シャルティバルシチェイ(冷製ボルシチ)とよばれるものです。
デザートはなんて名前だったか覚えてませんが、こんがり焼いたワッフルみたいなもので、うる覚えですが中は何も入ってなかった気がします。たっぷり練乳かけて食べる感じでした。
基本泊まる所はケチっても食事はいいもの食べたいと思いますねーやっぱ笑
いつも楽しませて貰っています、本当にありがとうございます。
9. 団体旅行者がいない、の文で初めて誤変換がありました。几帳面な文章で大好きなサイトなので気になりました。重箱の隅をつつく様で申し訳ありませんが当該箇所をコピペします。
『少なくとも他の欧州書庫奥で見られるような中国人の大人数団体のような』
上記の文で変換ミスと思う箇所があります、もし意図的な誤変換でなければ訂正した方が良いと思います。余計な事と思いつつコメントしてしまいました。
コメントとご指摘ありがとうございます。
なにせ一人で運営管理しているので、このような誤変換などをなくしていくというのにも限界があるということもあり、ご指摘は大変助かります。
早速訂正させていただきました。
杉原千畝さんの検索から来ました。リトアニアは魅力的ですね。素敵な記事で分かりやすく、行きたくなりました。ありがとうございました。
とても魅力てきな国で、かなり想像していたものと違う印象をもったいい国でした。
是非機会があれば観光してみてください!
始めまして、2018年3月に雑貨の買い付けも兼ねてリトアニア、ラトビア、フィンランドを2週間程度で廻ろうと考えておりますが、なかなかリトアニアの情報を得ることが出来ずに困ってた所にこちらの頁を見つけました。
リトアニアはビリニュスでカジューカス祭を見学し、そのあとカナウスにも訪問しようと考えておりますが、残念ながらリトアニアに関するガイドブックがあまりに少ないため買い付け交渉が出来そうな工房やショップの情報が分からない状態です。
特にカナウスでオススメのショップや工房が有れば教えて頂けないでしょうか?
コメントありがとうございます。
あまり雑貨店などに精通しているわけではないので、具体的なアドバイスはできませんが、
ヴィリニアウス通り Vilniaus gatvėには個人経営の小〜中規模雑貨店が多く並んでいます。
また、カウナスセントラルマーケットとしても言われえるUrmas shoppingエリアにも同じくかなり多くの雑貨店が入っており、こちらはガレージセール規模から個人経営の小さなお店、中大手のチェーン店までかなり揃っています。
http://www.urmas.net/en/
英語のサイトもありますので、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
返信ありがとうございます。
是非参考にさせて頂きたいと思います。
カナウス意外にもトラカイなど魅力的な場所が多くありますね。
本当にどこを回ろうか悩みます。