本ブログでも度々登場しているヨーロッパの最強格安航空会社LCC、ライアンエアー。欧州最大手航空会社でありながら、巷ではその評判や口コミを見ているとそれはもう酷いもので、二度と乗らない、荷物制限が厳しすぎる、なんていう情報が広がり、今では敬遠される動きがあります。
一方で、そういう悪評はライアンエアー側も随分と認識しているようで、最近はサービスも改善されてきたなんて話も聞かれます。
そんなライアンエアーにこの度乗ってみたのでレビューを紹介します。今回紹介している空港の情報はすべてコペンハーゲンのLCCターミナルです。
ライアンエアーのメインハブであるダブリン空港ではやや事情が違ったので、最後に追記しました。
1. ライアンエアー
格安の代名詞、ライアンエアー。今回はコペンハーゲンからダブリンまでの往復チケットを予約しました。
そのお値段、早く予約をすれば普段はなんと往復で3000円程で手に入ります。ただ私の場合は、スーツケースの預け入れが必要だったこともあり、上位のチケット「Plus」を1万3千円程で購入しました。
ちなみにコペンハーゲンからベルギーのブリュッセルまで800円なんていうチケットもかなり頻繁に売られており、実際に何度か10ユーロ以下の航空券を使用した事があります。
先に結論から言うと、少し高くつきますが日本人の「一般的な」旅行「初心者」にはこの「Plus」がおすすめです。
2. Plusチケットの特徴
Plusチケットをおすすめする理由はいくつかあります。キャンセルや変更時の手数料等はあまり考慮する必要がない場合がほとんどだと思うので省きますが、特に日本人的に嬉しいのが
・事前座席指定無料
・スーツケース預け入れ1つまで無料
・空港でのチェックイン無料
の3つ。
Plusチケットを購入することで、フラッグシップキャリアを利用する際と同等のサービスを受けることができます。
3. チケット印刷
ライアンエアーの予約後に重要なのは、事前にオンラインチェックインが必要なこと、そしてその際に各自で搭乗券を印刷するかアプリで搭乗券を各自用意する必要があるということです(Plusチケットを購入した場合には空港でのチェックインも無料)。
この一手間を忘れて空港にいくと印刷料金という名目のペナルティーを60ユーロ程取られるので注意してください。
ちなみにパスポートコントロールを抜けるような国境を跨ぐ移動をする際には、後述するVISAチェックがあり、その場合はバーコード付きの搭乗券ではなく、予約確認書の印刷しかすることができません。
4. 必須のVISAチェック
国境審査が必要になる越境(非シェンゲン圏 例: イギリス→シェンゲン圏等)を伴う便を使用する場合には、必ずセキュリテーチェックに行く前に空港のチェックインカウンターにいきVISAチェックというものを受けなければなりません。
これはライアンエアーを含む一部LCCに特有のルールなので、搭乗前にパスポートやVISAなどを確認し入国が認められるかどうかを航空会社側で事前確認するというもの。
必ずセキュリティチェックの前にチェックインカウンターに並ばなければいけないためタイムロスが生じます。
尚、VISAチェックが必要かどうかは予約後の予約確認書に記載されている他、オンラインチェックインができない、搭乗券にバーコードが表示されないなどの違いでわかり、いずれにせよチェックインカウンターで正規の搭乗券を用意してもらう必要があります(この場合は前述のペナルティー費用はかかりません)。
許容荷物のチェックもその際に行われることが多く、オーバーサイズや重量オーバーの荷物を持っていると追加料金を請求されることもあるので十分注意してください。
特に、最も安い料金である「Value」チケットを購入している場合、25 cm x 40 cm x 20 cmの小さなハンドバッグ(座席の下に入るサイズ)1つのみ持ち込みが可能です。
オーバーヘッドコンパートメントに収納するキャリーバッグやチェックインバッグなどは追加料金が必要となります。
5. LCC専用ターミナル
通常ライアンエアーを含むLCCを利用する場合にはLCC専用ターミナルが用意されている事が多いです。今回利用したコペンハーゲンの空港もその1つ。
LCC専用ターミナルは手荷物検査場を抜けて免税店エリアを超え、さらにそこから15分程度ひたすら歩いていく空港の最果てにありました。はっきり言ってお年寄りにはきついと思います。
そして配管むき出しの無機質な空調もあまりよくないターミナルに小さな売店が1つという最低限の設備しかありません。
ちなみにお分かりでしょうか。フロアの高さが地面と同じ高さにあります。つまり搭乗デッキというものがありません。
これは空港使用税・使用料を安くするためにLCCではよく見られる方法で、大抵徒歩で搭乗するか、バス移動で沖止めの飛行機まで行くことになります。
6. ゲート前搭乗手続き後
通常は搭乗ゲートで搭乗手続きを行うとそのまま機内へ乗り込みますが、LCCの場合はちょっと事情が違うことが多くあります。
まず、ライアンエアーの搭乗手続きおよびゲートクローズは出発時刻よりかなり早い時間に行われ、出発30分前にゲートに着いたらすでに締切になっていたなんてことも。
無事に搭乗手続きを行うと、搭乗準備が完了するまでゲート内の側待合室もしくはボーディングブリッジ前の空きスペースでしばらく待機となります。
これは、LCC特有のゲート待機時間最短化と効率化のためで、航空機到着後まだ前客の降機が完了する前に搭乗手続きを終えようとするため。
待合室がある場合はまだいいものの、ボーディングブリッジの狭い空間で下手すると数十分待たされたり、ひどいと雨が降りしきる中タラップの前で待機させられる、なんてケースもあります。
いずれにせよ航空機運行のための効率化を最優先するが如く、乗客の快適度は二の次。立ったままの待ち時間がフラッグシップキャリアと比較してもかなり長くなるため、子連れや高齢者にはなかなか厳しいと言わざるを得ません。
7. 搭乗・機内
搭乗準備が完了すると、一斉に航空機へと移動が開始されます。
格安航空会社ということで、ボーディングブリッジはほとんど使用されず、航空機まで歩いて移動するかバスでの移動が原則です。
一般のお客さんはというと、優先客の搭乗後に一斉に飛行機へ向かいますが、見ての通り飛行機備え付け(よくある可動式のタラップではなく、飛行機側に備え付けの階段というのがポイント)の梯子のような階段で搭乗するので必然的に長い行列が、、、
そして搭乗前に待ち構えるのは急な階段。
やはり高齢者は使うべきではありません。また赤ちゃんを連れていたりすると大変そうです。
8. 座席
ライアンエアーはメインテナンスやスタッフ教育に関わるコスト削減のために所有機材は全てボーイング737型機に統一。
座席ははっきり言って狭く、ナショナルフラッグキャリアと呼ばれる航空会社のエコノミークラスと比較すると、拳2つ分狭くしたような感じ。
座席を狭くする分、シート前ポケット等もすべて省かれています。リクライニング等は出来ない仕様で、もちろんモニター等のエンターテイメント設備もありません。
体格の大きな人は少し辛いかもしれません。
ちなみに、LCCの特徴として、到着後ほとんど清掃する時間もない中折り返し運行ということが頻繁に行われるため、床に多少のゴミが散らばっていたり、シートの上にポテトチップがおっこっていたりということはしばしばあります。
こればかりは運としかいいようがありませんが、経験的には2回に1回は汚い印象があります。
9. 機内サービス
キャビンアテンダントはかなりフレンドリー、言い方を換えれば結構適当でラフ。ズボンからシャツが出ていようと気にしないような感じです。
ライアンエアーの特徴として、キャビンアテンダントはシートベルトサイン消灯後、空飛ぶセールスマンになります。コーヒー紅茶から始まり軽食、機内販売までとにかく売ろうとセールスをかけてきます。
ノルマがあるのかもしれません。結構頻繁に商品紹介のアナウンスをしたり、ディスカウントを持ちかけたり、次回使える割引クーポンが当たるスクラッチくじを売りにきたり、、、笑
まぁ別に完全スルーでも構いませんし、ほとんどの人が何も買ってないんですが、私はコーヒー一杯だけ購入しました。
10. 運行
基本的に目的地へ飛ぶ、ということに関しては他の航空会社と変わりません。定時運行率も高いそうですのでその点はあまり心配はないのでしょう。
逆に、定時運行率を高める為に、たとえ目の前に飛行機が止まっていても、ゲート締め切り時刻が1秒過ぎると絶対に遅れた客を乗せてくれないという厳しさがありますので、遅れることだけはないようにしてください。
最後に
結構散々に書きましたが、もう1回使うか?と言われれば、やはり安さは魅力的ですので答えはYESです。ただこの3つの条件付きです。
- 時間に余裕が有る
- 3時間以内のフライト
- 航空券の値段他社より圧倒的に安い
やはりフルサービスの航空会社に慣れていると結構衝撃も大きいですが、それ以上にあの価格で飛行機を使えるということだけで衝撃なのです。この値段では細かいことは言えません。
逆に絶対使わない条件はこちら。
- ほんの少し多く払えばナショナルフラッグキャリアを使える
- 乗り継ぎが必要
- 到着後重要な用事がある
- 荷物が多い
ちょっと不便で、ちょっと面倒で、あまり快適じゃない、その程度です。
今回はでの搭乗記を紹介しましたが、そうでない場合も何度も使っています。列に延々並んだりちょっと大変なこともありますが、別に早く着くわけではありませんので移動手段と考えれば問題ありません。
尚、今後ライアンエアーの使用を検討している方は、こちらの記事を参考にしてください。利用にあたっての注意点やライアンエアーならではのポリシーなどをまとめています。
やはり最安値だと東京→小田原の電車賃でヨーロッパ各国を結ぶライアンエアーの凄みは無視できません。
少なくても、若者の旅行で使う分には問題はないと思います。実際ヨーロッパで旅客運搬数最大というだけあって広く支持されています。
その価格に恐れることなく是非トライしてみてください!
日本からヨーロッパまでの航空券はもちろん、ヨーロッパ域内周遊旅行で使う短距離線を探す際におすすめなスカイスキャナー。航空会社はもちろん数多くの旅行会社を横断検索し、最安の航空券を探し出してくれます。
目的地がが決まってなくても「Everywhere」と目的地に入力するだけでお得な目的地を探してくれる機能もあり、周遊旅行を計画するのには欠かせないサービス。まだ使ったことがないという方はまずは一度利用してみてください。
最近、VISA CHECK必須のフライトでは、仕様変更があった模様です。
アプリで搭乗券を表示しようとすると「This is not a mobile boarding pass. Please go to check in to print out your boarding pass」と表示され、その画面を見せ、チェックインカウンターでVISA CHECKと搭乗券の発券が行われるようです。ウェブで発券したPDFの搭乗券にはバーコードがなく、チェックインカウンターでバーコードの入った搭乗券が発券されるようです。
つまり、VISA CHECK必須のフライトではVISA CHECKの際に必ず空港で搭乗券を発行するようになったため、事前に搭乗券を印刷してくる必要がなくなり、VISA CHECKの際にオンラインチェックイン済みのライアンエアーアプリもしくは紙で印刷したバーコードなしの搭乗券を提示し、搭乗券を発券する形となったようです。
今まで:必ず事前に搭乗券を印刷→空港でVISA CHECKスタンプをもらう
現在:ライアンエアーアプリもしくは印刷したバーコードなしの搭乗券を提示→カウンターでVISA CHECKと同時に搭乗券発行
最新のアップデートありがとうございます。
以前よりも合理的になっているようで、これはポジティブな変更かと思います。
LCCではよくありますが、運賃が安い代わりに条件が結構シビアと言うことです。いわゆる飴と鞭といったところでしょう。欧州のLCCではライアンエアーが有名ですが、ここはまさに上記そのもので、運賃は桁違いに安い代わりにルールがとても厳しく怠ると高額のペナルティが発生します。自分の友人も欧州でこのLCCを利用したことがありましたが、オンラインチェックインはしたものの、それまでの慣例(搭乗受付済みの電子搭乗券[スマホに内包]でそのまま保安検査へダイレクト※日本では一部の航空会社を除きLCCを含めて標準なサービスである[日航系のQuiC、ANA系のSKiP、Jetstarのモバイル搭乗券など])から、印刷を忘れて高額ペナルティを取られたと言うケースがありました(それと真偽は不明だが印刷物は対象となる所は全てA4でかつ、フルカラー印刷でないと認められない[サイズ違いや黒白印刷はNG]らしい)。オンラインチェックイン忘れでペナルティは他社でもかなりあるものの、チェックイン後は更に印刷が必須と言うことと、また更にカウンター立ち寄り(ビザチェックなど)が必須である事を利用する際に確認が必要であり、怠ると高額ペナルティで最悪な場合は搭乗不可(ビザチェック忘れなど)となります。もちろんタイムリミットもありますから、タイムオーバーの場合は搭乗不可となります。なのでこれまでの慣例が通用しない場合がありますので利用の際は利用する航空会社の公式ホームページをしっかり読むことが何よりも大事であります。日本のLCCでも大手2社(グループ子会社を含む)やローカル会社(SKYMARK,AIRDO,スターフライヤーなど)とは大きく異なる点がありますから、海外ならばなおさらであります。
いまさらですが、僕もシェンゲン圏内だからビザチェック無しっていう経験はありませんでしたね。いずれにしてもライアンですから、受けとくに越したことはないですね。本当は不要であっても、スタッフによって搭乗拒否されることも考えられるし。
シェンゲン圏内の移動であればビザチェックは不要です
あなたの場合はアイルランドからだから必要なだけです。
必要ない 場合はチケットにビザチェックの項目が記載されません。
いたずらに不安を煽るのはやめましょう。
正確な情報を期待します。
めっちゃださいですね…
コメントありがとうございます。ライアンエアーには30回以上搭乗していますが、原則としてシェンゲン圏の移動であってもビザチェックを行うこと、というのが先方の見解です。
ライアンエアーの社内規定には
“all non EU/EEA citizens must have their travel documents checked and stamped at the Ryanair Visa/Document Check Desk before going through airport security.”と書かれており、この規定では行き先や搭乗便による制限は受けません。
コペンハーゲン空港の職員に直接確認したことがありますが同様の見解です。
また、コペンハーゲン〜カウナス間の搭乗券の写真が手元に残っていたので確認しましたが、やはり大きく「JAPAN/VISA CHECK」と書かれています。
従いまして、現地空港職員による現場判断的要素は残っていますが、出国・入国先に限らずVISAチェックは常時必要であると結論付けさせていただきます。
https://www.ryanair.com/gb/en/useful-info/help-centre/faq-overview/passports-and-visas/im-a-non-eu-eea-passenger-do-I-need-extra-travel-document-visa-check
海外サイトでの掲示板などでもこの話題は頻出で、やはり結論はチェックを受けるべき、というものです。ビザチェックをしなくても何も起きないこともあるのかもしれませんが、少なくとも不慣れな旅行者をリスクにさらすような提言は差し控えるべきかと思います。
ちなみにですが、WizzAirを利用した際、ヴィリュニュスーオーレスン間での搭乗前荷物チェックイン時に、ビザチェックのスタンプを頼んでもないのに押された経験があります。格安航空会社の場合、制度解釈が流動的なこともあるのでシェンゲン圏内の移動などに関係なくリスクを回避するべく行動するべきだと考えます。