フィンランド国鉄が所有し、通勤輸送を主な目的として運行しているヘルシンキ近郊列車。
ヘルシンキ市交通局がフィンランド鉄道から独立運営しており、空港を含む市内・周辺地域への観光利用に大変便利。
今回はそんなヘルシンキ近郊鉄道の利用方法と特徴を紹介します。
高速鉄道や夜行列車を含む長距離都市間路線の利用方法をお探しの方は、こちらのフィンランド鉄道紹介記事を参考にしてください。
1. ヘルシンキ近郊鉄道運賃設定
ヘルシンキ近郊列車の運賃はトラムやバス、地下鉄と共通のゾーン定額制となっており、観光客でもわかりやすい料金設定になっています(クリックで拡大)。
例えば、ヘルシンキ中心部の移動であれば、自動券売機からの購入の場合ゾーンAチケット、ヘルシンキ中心部からヘルシンキ・ヴァンター空港まで行く場合にはゾーンABCチケットを購入します。
乗車券は購入から(もしくは打刻後)90分間有効となり、その間であれば近郊鉄道やバス、トラムなどへの乗り換えも自由に行うことができます。
その他1日券〜7日券まで選べるデイチケットなどもあります。
2. 乗車券購入方法
ヘルシンキ近郊列車を利用する場合には、駅備え付けの「HSL/HRT」と書かれた青い券売機を利用します。
この券売機はバスやトラム、メトロの券売機も兼ねており、同様の手続きで購入が可能です。
大きな機械(写真中央)は現金対応のもの、小さな機械(写真右)はクレジットカードのみ対応可能となっています。
尚、写真左の緑色の券売機は都市間(長距離)鉄道専用の券売機となっていますので間違えないよう注意してください。
目的地がどのゾーンに含まれるか既にわかっている場合にはこちらをクリックすることでクイック購入が可能ですが、目的地のゾーンがわからない場合には駅名をタイプして検索、購入することも可能です。
その他の購入方法としては「R-キオスク」の店員から直接購入する方法があります。
こちらも料金は自動券売機と同様ですが、発行される券の形式が違うこと、そして乗車後に打刻が必要となる点が異なります。
3. 乗車方法
自動券売機で乗車券を購入するとこのようなレシートタイプのものが発行されます。一方、キオスクで購入した場合にはICカードタイプのものが発行されます。
フィンランドの鉄道は日本のような自動改札機がないため、チケット購入後はそのまま列車へと乗り込みます。
レシートタイプの1回券チケットには購入時間とそのチケットの有効期限(Voimassa/Giltig)が書かれており、この時間内であれば列車下車後に乗り換えやバス・トラムなどを利用することも可能です(打刻不要)。
一方、自動券売機で購入したレシートタイプの24時間券などは、初回使用時に車内に設置された黄色い打刻機を使用しないと有効とはみなされません。
キオスクで購入したICカードタイプのものを使用する場合には写真左端に見えているICカード専用検札機にかざし打刻が必要になります。
尚、有効な乗車券を持っていない場合や、デイチケットなどで打刻漏れがある場合には係員による抜き打ち検札により80ユーロの罰金が科されるので注意してください。
4. 使用列車
フィンランド近郊鉄道で使用されている車両は全て電車タイプのもので、主にSm4型とSm5型の通勤用電車が使用されています。
このようにHSL/HRTというロゴも描かれており、都市間輸送を行う長距離・高速鉄道とは完全に使用列車が区別されています。
こちらはSm5型電車の車内を撮影したもの。
車内も通勤用ということで、2人掛けシート、4人・6人掛けボックスシートの3種類のみの設定になっています。
また立ち席にも対応してハンドレールなども設置され、収容人数を増やすために座席がないスペースも多く取られています。
冬場は寒さが厳しいこともあり、ドアは基本的には駅停車中も閉じたまま。乗降時にはドア横に設置されているボタン(緑色に点滅)を押してドアを開けます。
5. 運行路線図
近郊列車は全てアルファベット1文字で路線が表記されており、全ての列車はヘルシンキ中央駅を起点としています(クリックで拡大)。
本線とされるD・R・T・N・K・Z線や、ヘルシンキ空港にも停車する環状線であるP・I線、沿岸線と言われるY・X・U・L・E・A線など豊富な路線網となっています。
6. 最後に
運行会社が全てヘルシンキ市交通局ということでヘルシンキ近郊列車はバス、トラム全てが同一料金体系で接続しているため、乗り継ぎをする場合にも便利。
特に空港とヘルシンキ中央駅をつなぐP線やI線などはほとんどの観光客が使うといってもいい路線なので、是非簡単に利用方法を予習して実際に乗車してみてください。
フィンランド鉄道を使った長距離路線の利用方法については別記事で紹介しているので、フィンランド列車旅を検討している方はどうぞあわせて参考にしてください。
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