ユネスコ世界遺産の暫定リストに登録されており、将来的な本登録が期待されているボスニア・ヘルツェゴビナ中部に位置するヤイツェ Jajce。
14世紀にボスニア王国の首都として要塞を中心とした街が築かれ、その後オスマン帝国やオーストリア・ハンガリー帝国の統治下で様々な文化を取り入れながら発展してきました。
ボスニア紛争後に大きなダメージを受け、現在もまだ復興途上の側面もありますが、その美しい景色を求めて近年観光客が徐々に訪れるようになってきた街です。
今回はそんなヤイツェの見どころを11箇所紹介します。
1. ヤイツェ要塞
現在のヤイツェは非常に小さな街ですが、中世ボスニア王国では首都として繁栄した歴史のある街。
14世紀〜16世紀にかけ様々な段階を踏まえながらヤイツェの街の防衛のために標高470mの山の上に要塞が、そして街を取り囲むように城壁が築かれました。
第2時世界大戦やボスニア紛争中に損傷を受けたものの現在は修復されています。
ヤイツェの街にいるとどの角度からでも見えるヤイツェ要塞。要塞内部は有料となっていますが、そこからはヤイツェの街並みを360度見下ろす事ができます。
名称(英語): Jajce Fortress
住所: Harmani, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
2. ヤイツェ旧牙城・城壁
要塞タウンであるヤイツェ。14世紀から16世紀にヤイツェ要塞とともに街を取り囲むように城壁と監視塔が作られました。
その中でも唯一円筒形をしている塔がベアタワー(熊の塔)と呼ばれる街の西側にある監視塔。大きさも高さも街の中で最大級となっています。
名称(英語): Bear Tower
名称(ボスニア語): Medvjed kula
住所: Medvjed kula, 70101, Svetog Luke, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
3. ヤイツェの滝(プリヴァの滝)
ヤイツェのシンボルとして最も人気な観光名所がヤイツェの滝とも言われるプリヴァの滝。プリヴァ Pliva 川とヴルバス Vrbas 川が交わる場所となっています。
ヤイツェで最もフォトジェニックな場所となっており、歴史的な建物と水量が多く壮大な滝を両方カメラに収めることができる展望ポイントが複数整備されています。
ただ、ヤイツェ要塞と滝を一緒に写真を撮る場合には、川を越えて街の対岸に行く必要があり、ヤイツェの中心部から交通量の多い道路(歩道無し)を20分程歩く必要があるので、細心の注意が必要です。
滝壺部分は有料となっていますが、その迫力を楽しみたい人におすすめ。水しぶきでびしょ濡れになるのを覚悟して近づいてみてください。
名称(英語): Pliva waterfall
名称(ボスニア語): Plivski vodopad
住所: Jajce 70101
4. カタコンベ
1400年代初旬にボスニアやクロアチアで権力を握った貴族 Hrvoje Vukčić Hrvatinić。そんな時代にカタコンベと呼ばれる地下墓地が作られました。
現在ボスニア・ヘルツェゴビナに残るカタコンベはごくわずかとなっておりとても貴重な文化遺産となっています。
第2時世界大戦後に旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国を築き上げ絶対的なリーダーとして活躍したヨシップ・ブロズ・チトーが、戦時中の1943年にこのカタコンブスに潜伏していたと言われています。
名称(英語): Catacombs
名称(ボスニア語): Katakombe
住所: Svetog Luke, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
5. 聖マリア教会と聖ルカの鐘塔
12-13世紀にかけてもともとこの地にはロマネスク様式の教会があり、後の15世紀前半にゴシックへと改装されました。
この場所で1461年、当時のボスニア王国の国王であった Stjepan Tomaševićがローマ法王より戴冠を受けるなど、歴史のある教会跡が今もヤイツェ中心部には残っています。
オスマン帝国時代にはモスクとして使用されることにったものの、1658年と1832年に大火に見舞われ、最終的に現在のような外壁だけが残る姿へとなってしまいました。
名称(英語): St. Mary’s Church wity St. Luka’s Bell Tower
名称(ボスニア語): Crkva svete Marije sa tornjem svetog Luke
住所: Svetog Luke, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
6. ウーマンモスク
「女性のモスク」という名前がつけらたボスニア・ヘルツェゴビナの文化遺産。オスマン帝国時代の1813年に作られました。
ミナレットも無く、一見モスクには見えない小さな建物ですが、テント状の木造の屋根の下にはモスクを象徴するドーム状の天井が隠されており内部は石造り。
ボスニア・ヘルツェゴビナでは非常に珍しいタイプのモスクとなっています。
名称(英語): Woman Mosque
名称(ボスニア語): Ženska Džamija
住所: Gornja mahala, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
7. シナン・ベイモスク
1600年代後半にSinan Bey Dozabićの寄付によって設立されたモスク。非常に小さなモスクですが、すらっと伸びる高さ14mの木造のミナレットが象徴的です。
モスクの象徴であるドーム状の屋根はこちらも単層木造屋根の下に隠されています。
1993年ボスニア紛争に伴う戦闘のため火災に見舞われましたが現在は復興。ボスニア・ヘルツェゴビナの文化遺産として保護されています。
名称(英語): Sinan-Bey Mosque
名称(ボスニア語): Sinan-begova džamija
住所: Gornja mahala, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
8. ヤイツェ民族史博物館
ヤイツェは13世紀末からボスニア王国、オスマン帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、そしてユーゴスラビアと様々な文化の影響を受けてきた街。
そのため、小さな町ではあるものの独自の文化が根付いており、首都サラエボや第2の都市バニャ・ルカとはまた大きく違い風俗をもっています。
そんなヤイツェ独特の文化を学ぶのであれば民族史博物館がおすすめ。この地で発掘された出土品や民族衣装、文化的遺産などを見学することができます。
名称(英語): Ethnographic Museum
住所: 15, Svetog Luke, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
9. シティパーク
ヤイツェの街に沿って流れているプリヴァ川。そのプリヴァ側の周りはシティパークとして整備されており、美しい川の流れを眺めながらゆっくりと散歩をすることができます。
シティパークの一端はプリヴァ滝の上の部分にあたり、少し身を乗り出すと河口部分を見下ろすことができます。
名称(英語): Gradski Park
住所: ul. H.V.Hrvatinića, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
10. ユーゴスラビア人民解放反ファシズム会議博物館
第2時世界大戦中、戦後の世界情勢を決める上で大変重要なイベントがヤイツェで起こります。
それが、後のユーゴスラビア社会主義連邦共和国の起源ともいえるパルチザン組織、ヨシップ・チトー率いるユーゴスラビア人民解放反ファシスト会議(AVNOJ)の第2回会合が1943年11月にこのヤイツェで行われたのです。
その際、6つの共和国を構成するユーゴスラビア連邦を建国すること、そしてヨシップ・チトーがその元帥となることなどが議決されました。
そのためナチスドイツと戦い抜き、南スラブ人のための共通の連邦国家を設立するという大きなイベント、その後約50年にわたり欧州でも有数の発展を遂げたユーゴスラビア誕生の場所とも言える場所がヤイツェなのです。
博物館内には当時の建物が残されており、またチトー率いるパルチザン組織の記録や、ユーゴスラビア連邦設立後のチトーの活躍などについて展示がされています。
名称(英語): Museum of the 2nd AVNOJ session
名称(ボスニア語): Muzej 2. zasjedanja AVNOJ-a
住所: Drugog zasjedanja AVNOJ-a, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
公式HP: http://www.muzejavnoj.ba
11. エスマ・スルタナモスク
最後に紹介するのが、ヤイツェ中心部にある最大のモスク、エスマ・スルタナモスク。エスマ・スルタナとは18世紀にボスニアを統治していたMehmed Pasha Muhsinovicの妻の名前で、1753年に設立されました。
当時のモスクはユーゴ紛争中の1993年に破壊され、現在のものは2010年に再建されたものになっています。
モスクの中は一般公開されており、観光客も見学可能。
最低限ではありますがドレスコード(ノンスリーブ不可)があり、また女性の方はスカーフで頭部を覆わなければならないので内部を見たい方は持参することを忘れないようにしてください。
このモスクを中心に小さな広場が広がり、レストランやバーなどがあつまるとても活気のいいエリアになっています。
名称(英語): Esma Sultana Mosque
住所: Hrvoja Vukčića Hrvatinića, Jajce 70101 ボスニア・ヘルツェゴビナ
最後に
いかがでしたか?
今回はボスニア・ヘルツェゴビナ中部にあるヤイツェを紹介しました。
現在はユネスコの世界遺産登録候補にもリストアップされており、今後経済的、政治的な問題がクリアできれば登録されるのではないかとも言われているヤイツェ。
小さな街の中に歴史、自然、文化が見事に融合したとても見ごたえのある街です。
首都サラエボからも1日数本バスが発着しています(予約方法はこちら)ので、ボスニア・ヘルツェゴビナを訪れる際にはヤイツェ訪問も検討してみてください。
ヤイツェの街並みに興味があるかたらこちらの観光町歩き記事を参考にしてください。
公共交通機関はバスのみで本数も限られているということから、ヤイツェ観光を個人で検討している場合には1泊するのがおすすめ。
ヤイツェ自体は小さな街でホテルも数えるほどしかありませんが、その中で一押しなのがHotel Stari Grad。
客室は綺麗で広々、英語が話せるスタッフもいるため初めての滞在でも安心です。
ヤイツェ旧市街の中心部にありヤイツェ要塞やプリヴァの滝まで目と鼻の先。バスターミナルも近く観光に最適です。
また、無料の朝食ではブッフェメニューとは別にボスニアの朝食で定番のオムレツを作ってくれ、天気がいい日にはホテルに併設したレストランのテラス席で気持ちよく朝の時間を過ごすことができます。
概要・宿泊者レビュー: Hotel Stari Grad
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