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ヘルツェゴビナの穴場!オスマン建築の石橋を見にコニーツへ行ってきた

コニーツの石橋
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古代から人類が住み続け、特にオスマン帝国時代に大きく発展を遂げたコニーツ Konjic。ボスニア・ヘルツェゴビナの中でも南部のヘルツェゴビナ地域にあり、首都サラエボからは直線距離で約40km南西にあります。

水が非常に綺麗で、また世界で最も冷たいことで知られるネレトヴァ川の南北に街が広がり、特に中心部には観光客にも人気なオールドブリッジがあるなど最近注目されはじめています。

今回はそんなコニーツの街に足を運んできたので、実際の街並みの雰囲気を紹介していきます。

1. 鉄道で始まるコニーツ旅

ボスニア鉄道

今回の旅は、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボからボスニア・ヘルツェゴビナ連邦鉄道を使ってコニーツ入りしました。

今では世界中でも珍しいであろう手書きの切符を片手に乗車。

わずか1両の客車に対して1両の機関車というなんとも贅沢な電気の使い方をした客車列車。客車には全面にグラフィティが描かれているものの安全上は全く問題なし。

日本ではもう見ることはなくなりましたが全席6人がけのコンパートになっています。

サラエボ〜コニーツ間は鉄道で約1時間半。乗客数も多くはなく、殆ど貸切のような状態。言い換えれば私たちのために電気機関車が客車を引っ張っているような非常に贅沢な鉄道旅をしてしまいました。

空調もない昔ながらの客車列車。暑い日だったので窓を全開に開けて外の風を楽しみました。

切り立った崖横を通ったり、非常に立派な石橋を渡ったり、非常に大きな高低差を蛇行しながら上下するあたりはさすが世界で最も成功した国の一つである旧ユーゴスラビアの鉄道という感じ。

道中には英語で「Hello! Tito」と描かれた旧駅舎まで。Titoとはもちろんユーゴスラビアの父であり初代大統領ヨシップ・チトーのことです。

今回利用した列車はサラエボ〜コニーツ間を運行する各駅停車。予定より30分ほどの遅着となりました。

コニーツ駅は街の規模を考えるとなかなか立派な駅。こちらにもユーゴスラビア時代に建てられたことを示す記念碑が埋め込まれていました。

駅から街の中心部までは徒歩5分。観光スタートです。

2. 他宗教の街

もともとコニーツをはじめボスニア・ヘルツェゴビナは多民族・他宗教の国。オスマン帝国時代にイスラム教へと改宗したボシュニャク人、カトリック教徒のクロアチア人、そして正教徒のセルビア人が主に住んでいます。

その他宗教が故に、ユーゴスラビアからの独立の際に対立が表面化し第2次世界大戦後最悪とも言われる紛争が起こったことは皆さんも知っている通り。

現在ボスニア・ヘルツェゴビナという国はセルビア人主体のスルプスカ共和国と、ボシュニャク人とクロアチア人主体のボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の2つの構成体に分かれており、政治・教育・警察など全てが別々に行われている状態が続いています。

コニーツはその中でもボスニア・ヘルツェゴビナ連邦に属しており、人口の半数近くがボシュニャク人、そして2−3割がクロアチア人と言われています。

コニーツのカトリック教会

街の中心部には大きなカトリック教会である聖ヨハネ教会。クロアチア人の信仰の中心です。

一方、写真を撮り損ねましたが、やはり同じくセルビア正教会も街の中に一つあり、こちらはセルビア人の信仰の場。

コニーツ中央モスク

一方人口の過半数以上を占めるイスラム教徒のためのモスクは多くあり、2016年に作られた非常に大きなコニーツ中央モスクをはじめ街の中に点在しています。

もともとオスマン帝国時代に建てられたモスクも多く、第二次世界大戦やユーゴスラビア紛争時に損傷を受けたものの現在は復旧され、国の文化遺産として保護されています。

小さな街ではあるものの、カトリック教会、セルビア正教会、そしてモスクと3民族3宗教が現在もこの街で生活していることをすぐに感じ取ることができます。

3. コニーツ市民の日常

コニーツの街並み

コニーツは非常に小さな街。国の正式な人口統計は紛争後行われていませんが人口は3万人ほどと言われています。

ネレトヴァ川の北側にある街の中心部のメインストリートにはレストランやスーパーマーケット、ベーカリーなどが数軒立ち並ぶ程度でい日中とは言えとても静か。

一方、このエリアは夜間になるとパブなど一部のお店は音楽を爆音で鳴らし大変賑やかになり、地元の若者の溜まり場のようになっていました。

一本道を入ると、コニーツ市民の買い物の中心とも言えそうな屋外マーケットが行われていました。

野菜などの生鮮品はもちろん衣料品や電化製品など日常で必要なものはなんでも売っている雰囲気。イスラム教のつながりもあってか、トルコからの輸入品も多く見られました。

中には300円ほどの「ルイ・ヴィトン」や50円の「バーバリー」なんかも。もちろん偽物です。

4. 複雑な民族事情

ボスニア・ヘルツェゴビナの街にいくと避けては通れないのが民族問題。ユーゴスラビア紛争後に各民族の溝はより広がり、今も「Controlled anger」によって支配されていると現地の人が言うほど。

ここコニーツでも例外ではありません。

もともとオスマン帝国時代にムスリム文化が根付いた地域で、現在もイスラム教徒が大部分を占める街。そのため紛争後の復興にはトルコがかなりの投資をしたそうです。

その結果として、この街にはトルコの国旗がいたるところに(写真右は紛争で犠牲となったボシュニャク人の霊園)。

これはトルコのプロパガンダ的なところもあり、近年EUやアメリカとの関係が悪化しているトルコがヨーロッパでの影響力を高めるために復興支援を利用しているためです。

もちろんこれはボシュニャク人にとっては心強いことで、トルコ国旗を見ても自分たちの祖先のようなものなのでいい気分かもしれませんが、同じ地に住むクロアチア人やセルビア人はよくは思わないでしょう。

そしてもちろんEUやアメリカもトルコの影響力拡大には警戒しています。

ちなみに、紛争後ボスニア・ヘルツェゴビナへの支援額はアメリカが1位、そして日本が2位。この2カ国の支援がトルコはもちろんドイツなど欧州経済大国の経済支援額に大差をつけています。

ですが、この国の中で見る国旗はボスニア・ヘルツェゴビナの国旗を除けば「セルビア」「クロアチア」「トルコ」国旗のいずれか。

そして事実、民族によって自分たちの「宗主国」への帰属意識をより高め、これがボスニア・ヘルツェゴビナという1つの国をまとめる力を失わせているのは疑う余地もないのでしょう。

どんな小さな街に訪れても、なんとなくモヤモヤ感が残るのはコニーツに限った話ではありません。多民族共生というのがいかに難しいことなのか考えざるを得ません。

5. コニーツのシンボル石橋

コニーツの石橋

さて、気を取り直してコニーツのシンボル、ボスニア・ヘルツェゴビナを代表するオスマン建築であるオールドブリッジです。

オスマン帝国時代の1682年〜1683年にかけてAli-aga Hasečićによって造られました。第2次世界大戦中に破壊されたものの、2003年〜2009年に復興され現在は国の文化遺産になっています。

この日は曇り気味とはいえ、この時のネレトヴァ川の水は綺麗に澄んでおり見事に6連アーチが反射していて見事。

橋の中央部分にはもともと1682年に造られたことを示す記念碑も設置されています。

日中は個人旅行客はもちろん、トルコなどイスラム教国からの団体観光客も多くとても賑やかな雰囲気。

こういう文化財が修復され、観光客が増えて賑わいを増していくことが本当の地域の復興につながるのでしょう。

あまり天気がいいと言える日ではありませんでしたが、たまに太陽が顔を出すこともしばしば。

そうなるとネレトヴァ川がまるでエメラルドグリーンのように輝きます。

水は透明。泳いでいる魚なんかも遠くからわかります。

この川の水の色は面白いことに数時間おきに変わりました。これは上流エリアでの天気が関係しているようで、雨が降ると濁り、そして時間が経つとまた透明な水にもどるため。

どちらの景色もとても綺麗。

水が澄んでいる時にはお手本のような水鏡に。

どの角度から見ても、この橋、街並み、そして透明な川が見事にマッチしています。

夜間にはライトアップもされ、昼間とはまた違うしっとりとした雰囲気を出してくれました。

6. オスマン時代の木造建築

ネレトヴァ川の南側には昔ながらのオスマン建築で造られた家屋が軒を連ねています。

瓦屋根で、また木材もふんだんに使った構造。

言われなければなんとなく日本の田舎を想像してしまうような、ちょっと懐かしい気分にさせてくれる街並みです。

7. 最後に

いかがでしたか?

ヘルツェゴビナにあり、オスマン帝国時代の建築が多く残るコニーツの街歩きの様子を紹介しました。

紛争後の復興は順調に遂げたように見える一方で、トルコの影響が目に見える形であるなどちょっと複雑な気分にさせる街ではありましたが、ネレトヴァ川やそこにかかるオールドブリッジは大変美しく、これから徐々に観光地として認知されていくのだろうと確信した街でした。

コニーツへの行き方や見どころについてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、さらに興味が湧いた方はあわせて参考にしてみてください。

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コニーツは小さな街で日帰りでも十分楽しめる街ですが、交通の利便性を考えると1泊するのがお得。

コニーツは大きな街ではないとはいえ小中規模のゲストハウスやホテルが何件かありいずれも1泊2〜3000円程度で泊まれるお得な施設になっています。

特にモスタル等と比べると物価も宿泊費も半分以下になるので、コニーツに宿泊し朝一の列車でモスタルに移動すれば節約にもつながり一石二鳥です!

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ノルウェー、スウェーデン、イギリスに留学・長期滞在。都合がつく限りヨーロッパ各地を渡り歩き、決して観光ガイドだけではわからない現地の情報を収集。そんな情報を元に、ヨーロッパの生の観光情報と留学に必要なIELTS対策を紹介中。