東欧、旧ユーゴスラビア連邦の構成国で近年ではボスニア紛争で世界的に知られることとなったボスニア・ヘルツェゴビナ。
紛争後20年以上が立つとはいえ、まだ国内の交通インフラは未熟なまま。一方観光需要は急速に伸びている国ということで初めて訪れる方にとってはなかなか移動方法に困ること人が多いように思います。
今回はボスニア・ヘルツェゴビナ国内の主要な移動手段となるバスの使用方法を、バスルートの探し方や予約方法などわかりやすく紹介します。
1. 2つのバス会社HPを抑えよう
ボスニア・ヘルツェゴビナ国内でバスを探そうと考える際には、ぜひカバーしておきたいサイトが2つあります。
逆にいうと、この2つを押さえておけば国内の移動ルートや周辺国への国際バスの大部分をカバーすることができます。
a. GetByBus
GetByBusはデンマークに本社を持つ欧州でも最大級のバス情報サイト。
運行会社ではありませんがボスニア・ヘルツェゴビナ内を運行している複数バス会社と提携しており、ホームページ上でバス路線検索から乗車券の事前購入まで大変わかりやすく行うことができます。
特にクロアチアをベースにするバス会社との提携が強く、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ間を結ぶ国際路線や、観光客が非常に多く使うモスタルを結ぶ路線に強いのが特徴。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナで有名な観光地へバスで訪れる際にはまずこちらのサイトを使って検索してみてください。
公式HP: https://getbybus.com/en/
提携バス会社(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ国内運行)
- Croatia bus
- Globtour
- Salinea
- Jadran ekspres
- Autoprevoz Mostar
- Prevoz Putnika Zavidovići
網羅している路線の一例
- Sarajevo〜Mostar
- Sarajevo〜Konjic
- Mostar〜Dubrovnik(クロアチア)
- Mostar〜Kotor(モンテネグロ)
- Sarajevo〜Belgrade(セルビア)
b. Centrotrans
1963年からボスニア・ヘルツェゴビナの国内路線を主にバスの運行を行っているCentrotrans。サラエボに本社を置く国内近距離・長距離バスの最大手で、現在はベルギーに本社をおくEurolinesグループに加盟しています。
地域に根付いたバス会社ということで、首都サラエヴォを中心にボスニア・ヘルツェゴビナの大小様々な街を結ぶ長距離バスのほか、地域内の路線バスや空港シャトルバスの運行も行っています。
ホームページは英語にも対応しており、時刻表を検索したり、路線によっては事前に乗車券も購入することが可能ですが、一方で若干手続きが面倒ということがあります(後述)。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナのほとんど全ての街をカバーしているため、GetByBusで検索に出てこなかったような路線を利用する際にはこちらを使ってみてください。
公式HP: http://www.centrotrans.com/
網羅している路線の一例
- Sarajevo〜Banja-luka
- Sarajevo〜Jajce
- Sarajevo〜Tuzla
- Sarajevo〜Wien(オーストリア)
- Sarajevo〜Zagreb(クロアチア)
2. 両運行会社の違い
a. GetByBus
GetByBusを通して予約を行なった場合のバス乗車方法は基本的に欧州どこの国でも共通。
予約時に入力したメールアドレス宛に乗車券が送られてくるので、そちらを持って直接予約したバスに乗り込みます。
バスチケットは印刷しないといけない場合と、スマートフォン画面上でQRコードを表示させればいい場合のことがありますが、そのような情報も全てチケット上に英語でわかりやすく指示が書いてあるので安心。
また、バスターミナルの地図や、何分前にバス停にいなければいけないのか、荷物の追加料金があるのかなどの情報も全てチケットと一緒に送られてくるインフォメーションに書かれています。
非常にシンプルなため、海外でのバス利用になれない観光客にも比較的わかりやすく使っていただけると思います。
b. Centrotrans
一方若干トリッキーな面があるのがCentrotrans。
チケットをインターネット上で購入した場合、予約メールアドレス宛に確認メールが届きますが、これのままでは乗車することができなくなっています。
まずバス乗車「1時間前」までにターミナルのCentrotransチケットカウンターにいき、実際のチケットと交換する必要があります。これを怠ると混雑した路線では空席として一般販売に回されてしまう可能性があります。
基本的にCentrotransは国民の足を直接担う会社ということで、どんなに小さな街のバスターミナルであっても必ず窓口があり、またチケットカウンターはバス発着時間であれば早朝から深夜まで営業しています。
チケットカウンターで予約確認メールを印刷したものを見せるかスマートフォン等で表示させると、実際の乗車券をその場で渡してくれます。
サラエボのような大きなバスターミナルでは、事前に発券済みのものを封筒に入れて当日用意しておいてくれるので、確認メールを見せれば即チケットと引き換えることができます。
この時片道チケットを予約した場合には片道乗車券と領収書が、往復の場合には復路のチケット(仮)が発券されます。
なぜここで(仮)とつけたかといえば、往復切符を購入した場合には復路分のリコンファームが必要ということ。
確認メールでは、「24時間以内に窓口に電話でリコンファームすること」と書いてありますが、実際には当日乗車前にバスターミナルの窓口に出向き、時間を確定すれば構わないとのことでした。
ただし、バスの乗客人数は全てターミナルのチケット窓口で管理されているため、たとえ復路のチケットを既に持っていたとしても、必ずチケットカウンターに行き(仮)のチケットに押印してもらい乗車券を有効化する必要があります。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ国内企業でまだ完全にインフラが整っているわけではないようで、かなりアナログな乗客管理をしていたためこのような一手間が必要になるのだろうと思います。
3. 当日購入?事前予約?
バスのチケットを事前に購入するか、当日購入するかというのは大きな問題。
スケジュールが確定している場合には事前に購入しておく方が安心な一方、急な変更ができないなどの問題もあるため悩むところです。
基本的にボスニア・ヘルツェゴビナ国内の移動や国際線の移動に関しては、当日でも十分にチケットを購入し乗車できるだけの余裕があると考えておいて大丈夫。
街の大きさに関わらずバスターミナルにはチケットカウンターがあり、その場で行き先を告げるだけで最も早いバスのチケットを購入することができます。
ですが、事前購入を強くお勧めしたい時期もあります。それは6月から9月にかけてのサマーホリデー期間。
この期間は非常に多くの地元民や観光客がバスを使って各地を移動するため、かなり混雑し空席がないということが頻発します。
特に、首都サラエボからモスタルへ向かうような便や、周辺クロアチア、モンテネグロ、セルビアなどの国際バスはこの傾向が強く、当日の空席が1つもないなんてことも起こり得ます。
また、そのような時期にはバスターミナルも非常に混雑し、チケットを購入するだけでも相当な時間がかかるので乗り遅れなどのリスクも出てきます。
ですので、夏休み期間中に旅行で訪れる際にはなるべく事前にオンラインでチケット購入・予約をしておくことを強くおすすめします。
4. 運行スケジュールは?
上記予約サイトでも分かる通り、バスは一応時刻表に従って運行することになっていますが、実際には始発バスターミナルの出発時刻以外は全く当てにならない、と考えておくといいと思います。
特にバスのスケジューリングそのものがおかしい(Google mapのナビシステムで4時間と書いてあるのに、バス所要時間が3時間に設定されている等)ことも多く、時間には相当の余裕をもつことをおすすめします。
特に、国境を通過するような路線では数時間単位で遅れることもよくあります。
モスタル〜コトル(モンテネグロ)の路線を使用した際の例を紹介します。GetByBusで予約したこのバスの予定所要時間は7時発〜13時着の6時間。
途中道路渋滞もなく、また国境もかなりスムーズに通過できたにもかかわらず、コトルに到着したのは夕方の4時半。実際には9時間半かかり大幅な遅着となりました。
ですので、バスを利用する際には十分にゆとりを持ち、乗り継ぎがある場合にはしっかりと余裕を持たせること、夜間到着予定でホテルやゲストハウスに宿泊する予定の場合には、遅延した場合でもチェックイン可能かどうか、フロントがあるかどうかなどを十分に確認するようにしてください。
5. バスの安全性は?
ボスニア・ヘルツェゴビナ国内にはまだごく一部しか高速道路の整備がなく、そのためほとんどの道路は一般道や林道のような場所を走ります。
特に大きな事故は起こってはいないようですが、もともとヨーロッパでは1、2を争うほど運転が荒い国で、急ブレーキや急ハンドルのようなことは当たり前のように起こります。
事実、今回バスの目の前を走る車が追突事故を起こし、それによってバスも急ブレーキ。一部乗客が軽く前座席に打ち付けられるということが発生しました。
またそのようなケースに巻き込まれなくても、急カーブが続く山道を走ったり、長時間未舗装道路を進むなんてこともよくあることなので、乗車中は必ずシートベルトを装着するようにしてください。
バス車内やターミナルの治安は悪いということはなく、身の回りにさえ最低限注意を払っておけば特に問題はありません。
6. 最後に
いかがでしたか?
今回はボスニア・ヘルツェゴビナのバス移動について路線の探し方や予約方法を紹介しました。
サラエボ〜ヤイツェ間のバスでの移動方法(Centrotrans利用)や、サラエボ〜モスタル間の移動方法(GetByBus、鉄道利用)について細かく解説している記事も書いているので、あわせて参考にしてみてください。
まだまだ観光という意味では未開拓な場所が多く残るボスニア・ヘルツェゴビナ。国内の移動はバスが主要手段なので、是非バスを使いこなして穴場探しをしてみてください!
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次サラエボに行くときは必ず戻ってくる、と宣言したくらい一押しの宿泊施設です。
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