旧ソ連回帰を目指し、欧州最後の独裁国家と呼ばれる東欧ベラルーシ。
以前は観光客の入国が著しく制限されており、ビザ取得など大変だったこともあって観光で訪れるには非常にハードルの高い国でしたが、現在はビザフリーでの滞在が条件付きで認められるようになりました。
今回はベラルーシの首都、ミンスクで訪れたい観光スポットを20箇所紹介します。
1. 独立広場
ミンスクの中心的な広場の1つであり、国会議事堂が位置する独立広場。1934年に建設されました。
この広場の特徴は何と言っても、国会議事堂前に立ちはだかる大きなウラジーミル・レーニン像。多くの旧ソ連国で取り壊し、あるいは禁止された中、ベラルーシは旧ソ連回帰をすすめるためにもレーニンは保護の対象。
世界的に見ても珍しくなってしまったレーニン像を間近で見ることができます。
独立広場はミンスクのメイン道路沿いにある大きな公園なため、散歩をしたり、天気がいい日には外でランチを食べたりするのにも最適な広場。
クリスマス時期には、社会主義を象徴とする赤い星を冠した巨大クリスマスツリーが登場します。
名称 (英語): Independence Square
住所/マップ: Ulitsa Sovetskaya 11, Minsk
2. 聖シモン・エレーナ教会
ミンスクの独立広場の一角にあり、ベラルーシでは珍しいローマ・カトリック教会。1910年に完成されました。
赤いレンガ造りの建物が特徴的です。
ソ連時代には教会としての使用が禁止され、長い間映画館として使用されていましたが、ソ連崩壊に伴い1990年に再度カトリック教会へと返還されました。
内部は白を基調とした落ち着いた内装になっており、祭壇にはイエスキリストのイコン画が描かれています。
この教会が有名な理由はもう1つ。
ベラルーシはチェルノブイリ原発事故の影響を強く受けた国の1つ。
教会前にあるこの鐘は長崎の浦上天主堂から送られたもので、その鐘の下にはチェルノブイリや核実験が行われたニューメキシコなど、世界で核の被害を受けた国から寄せられた土が埋められています。
日本からは、広島、長崎、そして福島の土が埋められており、日本語とロシア語での説明書き、国旗が掲揚されています。
名称 (英語): St. Simon and Helen Church
公式HP: chyrvony.by
住所/マップ: Ulitsa Sovetskaya 15, Minsk
3. KGBメインオフィス
KGB (Komitet Gosudarstvennoy Bezopasnosti)、またの名を国家保安委員会。
ロシアでさえKGBの名称は現在使われていませんが、ベラルーシではKGBの名称はもちろん、ソ連KGBの機構をすべて受け継いで運営されているとされています。
そんなKGBのメインオフィスが堂々とミンスクの中心通り沿いに。未だメディアや野党に対する情報統制が敷かれているとされるベラルーシ。
国外はもちろん、国内の監視をも強める諜報、防諜、犯罪捜査、政府通信機関の中心的存在に色々と考えさせられます。
もちろん現在も本部として機能しているため、内部の見学はできません。
公式HP: kgb.by
住所/マップ: Prospekt Nezavisimosti 17, Minsk
4. 聖母マリア大聖堂
ミンスクにあるもう1つの有名なカトリック教会。1710年にイエズス会系教会として建設されました。
その後、戦争での損傷、ソ連時代での閉鎖など様々な出来事があったものの、その都度修復を経て、1993年に再度カトリック教会に。現在の建物は1997年に修復された姿となっています。
内装は白とピンクを基調としたバロック様式。18世紀に描かれたというフレスコ画は一見の価値ありです。
運が良ければ、2005年に設置されたオーストリア製の立派なパイプオルガンの音色を聞けるかもしれません。
名称 (英語): Cathedral of Saint Virgin Mary
住所/マップ: Ploshchad’ Svobody 9, Minsk
5. ミンスク市庁舎
聖母マリア大聖堂の向かいに立つのがミンスク市庁舎とそれを囲む市庁舎広場。
もともとこの石造りの建物は1591年から1601年の間に建てられ、ミンスク市の行政の中心として使用されてきました。
また他にも、ミンスクオーケストラが置かれたり、音楽学校のキャンパスになるなどの機能も果たしてきたんだとか。
もともとの建物は1847年にロシア皇帝ニコライ1世の命令により取り壊されてしまったため、現在のものは2004年に、壁の厚さにいたるまで忠実に再現しながら再建されたものになっています。
名称 (英語): Minsk City Hall
住所/マップ: Ploshchad’ Svobody 2, Minsk
6. 聖霊大聖堂
ロシア正教の大聖堂であり、ベラルーシにおける正教会の中心となっている聖霊大聖堂。
もともとは1600年代にカトリック教会としてバロック様式で建設されましたが、1852年にロシア正教の教会へと変わっています。
特にこの教会で飾られているイコン画「ミンスクの聖母」は奇跡を起こすと信じられており、1日を通して参拝者があとをたたない大聖堂。
礼拝が行われている際には、教会の外にも設置されたスピーカーで説教や美しい賛美歌の声が流し出されます。
名称 (英語): Holy Spirit Church
住所/マップ: Ploshchad’ Svobody 23а, Minsk
7. 精神の聖シリルの教会
聖霊大聖堂の隣にある同じく正教会系の教会、精神の聖シリルの教会。
こちらは聖霊大聖堂と異なりとても落ち着いた静かな雰囲気になっています。
また、ミンスク神学校 Minsk Theological Academyとしても使われているため、学生さんが出入りしている他、ちょっとした展示や教育スタッフと思われる人材も配置されていました。
こちらでは美しいフレスコ画やイコン画を間近で見ることができます。
名称 (英語): Church of St. Cyril Of Turov
公式HP: minda.by
住所/マップ: Ulitsa Zybitskaya 25, Minsk
8. 聖ペテロ・パウロ大聖堂
1613年に建設され、ミンスクに残っている最も古い正教会である聖ペテロ・パウロ大聖堂。
度重なる戦火や閉鎖などを経験しながらも、ミンスクに残る唯一のユネッサンス様式の建築としても知られています。
この大聖堂には3枚の非常に重要な殉教者のイコン画があり、ミンスク住民の信仰を支えています。
名称 (英語): St. Peter and St. Paul’s Cathedral
公式HP: спп.храм.бел
住所/マップ: Ulitsa Rakovskaya 4, Minsk
9. KFC
世界中で最もインパクトの強いケンタッキーフライドチキンがミンスクにあります。
長年アメリカなど西側諸国からの経済制裁を受けていたにもかかわらず、ミンスクにはKFCやマクドナルド、バーガーキングなど多くのアメリカ系ファストフード店が進出しており、中でも人気でどこの店舗も常に混んでいるのがKFC。
そんな西側の象徴とも言えるKFCと、共産圏でよく見られるコテコテの彫像のコラボレーションを見ることができるのがウーリツァ・ネミガ通り添いにあるKFC。
このアンバランスさがなんとも言えません。
住所/マップ: Prospekt Pobediteley 1, Minsk
10. ズヴィスロチ川前のスターリン様式マンション
ミンスクを代表する景色の1つと言えるのがズヴィスロチと呼ばれる川前にそびえ立つ、スターリン様式の超巨大マンション群。
横幅約400メートルというサイズ感がおかしくなるほど巨大であり、また夜はライトアップされるためその姿は特に圧巻。
Airbnbなどを使うとこの建物の中の部屋に泊まることができそうなので、チャレンジャーの方はトライしてみてください。
住所/マップ: Staražoŭskaja vulica 8, Minsk
11. 涙の島
ズヴィスロチ川に作られた小さな人工島、通称涙の島。
ここには1979年から1988年に行われた旧ソ連によるアフガニスタン戦争で犠牲となったベラルーシ人兵士が祀られています。
モニュメントには、悲しみにくれる未亡人や家族、修道女の姿が表されており、犠牲となった700人の名前が刻まれています。
名称 (英語): Island of Tears
住所/マップ: Island of tears, Minsk
12. トラエツカヤ旧市街
ミンスクの街は第2次世界大戦でナチスドイツによって街は壊滅。その後ソ連の発展とともに街は急速に再建されましたが、共産党政権ということもあり無機質で鉄筋コンクリート中心の街並みが作られました。
そんな中、大戦前のミンスクの姿を再現させようと1980年代にベラルーシの若者や学生を中心に作られたエリアがトラエツカヤ旧市街です。
小さくカラフルで可愛らしい、まさに古き良きヨーロッパを感じさせる街並みとなっており、中にはホテルやおしゃれなカフェ、博物館など観光客向けの施設が一通り。
すべてを歩いても10分程度で見て回れる小さなエリアですが、ベラルーシのもともとの姿を再現した人気エリアとなっています。
名称 (英語): Trinity Suburb
住所/マップ: vulica Maksima Bahdanoviča 1, Minsk
13. 10月広場
ミンスクにあり、独立広場に次いで大きな広場が10月広場。
ソ連が誕生するきっかけもなった10月革命(1917年10月25日〜、別称ソビエト革命)を記念して名前がつけられました。
周囲にはコンサートホールやカルチャーセンターなど文化的な施設や政府機関が立ち並び、またクリスマスマーケットや街のお祭りなどのイベントが開催される広場になっています。
名称 (英語): October Square
住所/マップ: Kastryčnickaja plošča 1, Minsk
14. 大統領府
ベラルーシの独裁政権の権力を象徴する場所である大統領府。と同時に、ベラルーシで最も嫌われている建物の一つとも言えます。
大統領府前には常に複数人の軍人が警備をしており、写真撮影も場合によっては禁止されることも。
大統領府周辺にはソ連製の戦車がモニュメントや赤い星をモチーフにしたものが多数あり、ベラルーシが社会主義的な強権的国家であることを感じさせる場所です。
名称 (英語): Administration of the president of Republic of Belarus
公式HP: president.gov.by
住所/マップ: vulica Karla Marksa 38, Minsk
15. 勝利広場
ベラルーシを象徴する広場の1つである勝利広場。大祖国戦争(第2次世界大戦中のソ連とナチスドイツとの戦い)での犠牲と、自由の獲得を記念しています。
広場中央には、ソビエト軍とベラルーシ人パルチザンを追悼するための高さ38メートルのモニュメントが建てられており、その前には不鎮の火が常時焚かれています。
勝利広場の地下部分には1985年に作られたメモリアルホールがあり、当時の写真やプロパガンダ、戦死後にソ連の英雄として受勲した566人の名前が刻まれています。
名称 (英語): Victory Square
住所/マップ: Ulitsa Zakharova, Minsk
16. ミンスクメトロ駅
1984年に開通したミンスクメトロ。他の旧ソ連各国で見られる地下鉄とは違い、とても浅いところを走っているのが特徴です。
そんなミンスクメトロの構内や入口部分にはソ連を感じさせるものがたくさん。ソ連国旗の象徴でもあった鎌と槌のシンボルや、レーニンの像などが未だに残されています。
またソ連時代に作られた各駅には、それぞれ特徴的で豪華な内装が施されているため用がなくてもあえて下車して見て回るというのも面白いでしょう。
地下鉄に乗るということだけでも、他の西側諸国とは随分と違う制度がとられているため、いい経験になります。地下鉄の利用方法についてはこちらの記事で紹介しています。
17. ベラルーシ国立ボリショイ・アカデミー劇場
ベラルーシのオペラ・バレエの中心地がベラルーシ国立ボリショイ・アカデミー劇場。バレエというとロシアがすぐに思い浮かびますが、もともと同じ国だったベラルーシでもその高いクオリティは有名。
時期によって様々な演題が公演されており、料金も数百円からと非常に手頃なためおすすめです。
またミンスクにバレエ留学にきている日本人は意外にも多く、ここボリショイアカデミーに所属している日本人のダンサーさんも複数人いるんだとか。日本人の鑑賞者も多いとのことでした。
名称 (英語): National Academic Bolshoi Opera and Ballet Theatre
公式HP: /bolshoibelarus.by
住所/マップ: Ploshchad’ Parizhskoy Kommuny 1, Minsk
18. ベラルーシ国立図書館
ベラルーシ最大の図書館がミンスク郊外にあるベラルーシ国立図書館。
現在の建物は2006年に建設されたもので、22階建。高さ72mのガラス張り多角円形の建物が特徴的です。
夜間にはナイトクラブも顔負けなくらい派手にライトアップされるなど、図書館らしくない一面も。
図書館最上部は展望台となっており、周辺を360度展望することができるようになっています。
名称 (英語): National Library of Republic of Belarus
公式HP: nlb.by
住所/マップ: Prospekt Nezavisimosti 116, Minsk
19. 中央駅・ミンスクゲート
ミンスクを発着する鉄道の中央駅であるMinsk-Passazhirsky Station。列車で入出国する場合にはこちらの駅を利用します。
駅にはレストランやお店が入っている他、周囲にも大型のショッピングモールがあるなど常に賑やか。治安も問題ありません。
駅を出て真っ先に目に入るのがミンスクゲートと呼ばれる巨大な建物。
特に夜間はライトアップされて見事な光景。ミンスクの玄関口として国内外に国力を示す場所にもなっています。
名称 (英語): Minsk-Passazhirsky Station
住所/マップ: Privokzal’naya Ploshchad’ 3, Minsk
20. 大祖国戦争博物館
大祖国戦争博物館はミンスク最大の博物館で、第2次世界大戦中にナチスドイツと戦った際の記録が展示がされています。
当時の歴史はもちろん、戦時品や当時の生活。犠牲となった兵士の遺品など様々なものを見学することができます。
そして、この博物館でもっとも人気なのがソ連軍兵器がそのまま展示されているエリア。
戦車や機関銃、航空機など、西側諸国ではまず見られない赤い星のついたソ連軍兵器が広大なスペースにずらりと並べられています。
軍事マニアはもちろん、第2次世界大戦をソ連側という視点から見ることができる博物館になっているため、歴史を様々な方向から理解するという意味でも一訪の価値ありです。
名称 (英語): Great Patriotic War Museum
公式HP: warmuseum.by
住所/マップ: Prospekt Pobediteley 8, Minsk
最後に
いかがでしたか?
ベラルーシの首都ミンスクにある観光名所を20箇所紹介しました。
ヨーロッパに位置しながら、現代においてもソ連回帰を目指すベラルーシ。西側諸国ではまず見られない光景がたくさん残っており、一歩足を踏み入れてみればとても刺激的な観光になることまちがいありません。
突然始まったビザフリー制度で現在は比較的訪れやすい国にはなっているものの、いつまで続くのかなど今後が予想できません。
また、現在は治安も含め国内情勢は極めて安定しているものの、ルカシェンコ大統領の今後次第では政局が突然変わることも。興味がある方は早い時期の訪問をおすすめします!
ベラルーシに宿泊となると、手続きの問題やら英語の問題やらで最適な宿泊先を探すのが簡単ではありません。
特に、外国人はチェックイン時に滞在登録をしなければならず、Airbnbなどに宿泊する場合には自ら警察署で手続きをしないといけないなど面倒も多いため宿泊先には注意を払う必要があります。
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ホテル名: Hotel Garni
英語スタッフ: 常駐
インビテーションレター発行: 可(ビザフリーの場合不要)
滞在登録: 可
ホテルランク: 3つ星
宿泊料金: 4000円/泊〜
詳細・空室照会
エクスペディア:Hotel Garni
Hotels.com:Hotel Garni
たくさんの見どころを知ることができてとても参考になりました。KGBの建物も大統領府も知らずに通り過ぎていました。改めてそれぞれを見て来ました。
5月9日はベラルーシ戦勝記念日(対独戦争)でした。
軍事パレードがあり、夜には花火が上がりベラルーシ中が戦勝記念日
ソ連製戦車、レーニン像を見て、他のヨーロッパと違う、他の東ヨーロッパとも違うベラルーシ。
日本が平和な国である幸せを感じることができました。ビザフリー制度になって早めに訪れる事ができて良かったです。
ベラルーシは他のヨーロッパとはまったく違う雰囲気があり、旧ソビエトの社会主義の世界がそのまま今にみてとれるのでとても興味深い場所だと思います。
ヨーロッパとはいってもまさに色々ある、そんなことを感じさせてくれる国でした。