世界で5番目に小さな国で、世界最古の共和国として知られているサンマリノ共和国。
世界遺産にも登録されているティターノ山の頂上に位置するサンマリノ旧市街からの景色を一目見ようとする観光客を世界中から引きつけています。
そんなサンマリノは360度イタリアに囲まれている内陸国であるため、イタリアを経由してのみアクセスが可能。
今回はボローニャを起点にトレニタリア(旧国鉄)の利用方法と最寄り街リミニまでの行き方、そしてそこからサンマリノ旧市街までのアクセス方法を紹介します。
1. トレニタリアを使ってイタリア鉄道の旅
まずはイタリア各地からイタリアの旧国鉄であるトレニタリアを使って、サンマリノ共和国に一番近い街、リミニ Riminiの駅へ行く必要があります。
ボローニャ発を例にトレニタリアの利用方法を紹介していきます。
a. トレニタリア使用列車
リミニへと運行している列車の種別は以下の通り。
- フレッチャブランカ(FB)
- インターシティ(インテルシティ: IC)
- レッジョナーレ・ヴェローチェ(RV)
- レッジョナーレ(R)
フレッチャブランカは日本でいうところの新幹線こだま、インターシティは特急列車、レッジョナーレ・ヴェローチェやレッジョナーレは各駅停車・快速に該当します。
運賃はフレッチャブランカ>インターシティ>レッジョナーレとなっています。
ボローニャからリミニへとアクセスする場合には、フレッチャブランカを利用した場合には約1時間、インターシティで1時間15分程度、リッジョナーレで1時間30分程度の所要時間となります。
上2つの特急列車と下2つの各駅停車では利用方法が若干異なるため、個別に紹介していきます。
a-1. FB/ICの利用方法
トレニタリアでインテルシティやフレッチャブランカを含む特急列車は全席指定となっているため、乗車前に座席指定をする必要があります。
また、乗車券は公式HP等を使って事前にオンライン購入した方が安く、また空席率や乗車日までの日数などによっても料金が変動します。
当日空席があれば駅窓口で乗車券を購入することも可能ですが、その場合は割引のない標準料金が適応されます。
路線や季節によっては大変混雑するため、特急列車を利用する際には極力事前予約をするようにしましょう。
a-2. R/RVの場合
各駅停車に該当するレッジョナーレは全席自由席で、乗車券事前購入による割引制度はありません。
オンライン購入も可能ではありますが、その場合乗車可能列車が指定されてしまうため旧な予定変更などに対応ができなくなってしまうためお勧めできません。
リッジョナーレを利用する予定の場合には、乗車前に駅で乗車券を購入しましょう。
b. 乗車券購入方法
トレニタリアを乗車券購入方法を紹介します。
b-1. オンライン購入の場合
最もダイレクトな方法はトレニタリア公式HPから乗車券を購入する方法。イタリア語のほか英語や中国語に対応していますが、日本語対応はありません。
言語的な心配がある方は、フランス国鉄などヨーロッパ各国の鉄道会社による共同資本で運営されているレイルヨーロッパ公式HPを利用することで日本語を使った手続きが可能です。
オンライン予約をした場合には、登録したメールアドレス宛に乗車券をダウンロードするためのリンクが送られてきます。
そちらからQRコード付きのPDFファイルをダウンロードし乗車日に印刷して持参する必要があります。
尚、オンライン購入したチケットを持参する際は後述する乗車前の「チェックイン」は必要ありません。
b-2. 当日購入する場合
乗車日当日に駅構内でチケットを購入する場合は2通りの方法があります。
自動券売機利用
自動券売機は英語対応しており、タッチパネル式で非常にわかりやすく旅行者であっても簡単に乗車券を購入することができます。
支払いはクレジットカードのほか現金が利用可能です。
チケット窓口利用
ほぼ全ての駅には有人のチケット窓口も併設されているため、セキュリティの面で不安がある場合には窓口利用がオススメです。
大きな駅の窓口では長い列になっていることが多いということ、窓口係員はあまり英語を話す人が少ないというデメリットがあるため、こちらを利用する際には目的地と乗りたい列車番号(特急乗車の場合)をスマホ画面などに表示させておくと話が早いかもしれません。
窓口や券売機でチケットを購入した場合にも同じくQRコードが記載された乗車券が発券されます。
この場合には、乗車する前に日本でいう改札に該当する「チェックイン」を行う必要があります。
トレニタリアの駅には一般的に改札ゲートはありませんが、駅構内やホーム内にこのような機械が設置されており、乗車券を挿入することで打刻が行われます。
この打刻を行わずに乗車すると、車内検札の際に不正乗車を疑われ運賃を別途請求される可能性がありますので注意してください。
c. インターシティ車内
トレニタリアに限らず、欧州の鉄道は座席が固定されており進行方向に必ずしも向かって着席できるとは限りません。
そのため、特急列車など座席指定が必要な列車を利用する場合には、窓口でチケットを購入する際に希望の座席を伝えておくと考慮してくれるかもしれません。
尚、公式HPや券売機を使った予約の際には原則座席指定はできません。
d. 一般注意事項
イタリアで鉄道を利用する上での注意事項をいくつか紹介します。
尚、ここで取り上げるものはすべて実際に2018年にボローニャからリミニへと移動する際に経験したもので、誇張などは一切ありません。
非常に身近なものだと考えて警戒してください。
d-1. トレニタリアの慢性遅延に注意
イタリアの鉄道はどの路線にも当てはまることですが、10分−20分程度の遅延は比較的頻繁に発生します。
遅延頻度は以前よりは随分と改善されてきましたが、それでもやはり短い時間での乗り継ぎや時間に余裕のないスケジューリングはご法度です。
特に、雪や大雨、ストライキなどが発生した際には大規模な遅延が発生することも多くなっています。
ここで紹介している写真は実際に私がトレニタリアを利用した際の電光掲示板。表示されている10本の列車全てが遅延しており、便によっては90分遅延となっています。
ですので、イタリアで鉄道を使った移動をする際には時間には余裕を持った計画をしてください。
d-2. 自動券売機使用時ロマに注意
ローマやミラノなど大きな駅では不慣れな観光客を狙って親切を装った物乞いやスリ多発しています。
特に駅や空港バス専用の自動券売機を利用している旅行客は格好のターゲットとなります。
これらの犯行は大部分、というよりも90%はロマ(ジプシー)によるものです(ほとんどの場合スカーフを巻きカラフルなロングスカートを履いた浅黒い肌の色をした10台〜40台女性)。
頼んでもないのに勝手にボタンを押して操作を代行しようとしたり、無理やり話かけてきてかなり強引な手口で関与してチップを請求してきたり、一人が話しかけている間に仲間のスリが2−3人背後で貴重品を狙ったりと手口は様々。
ですので周囲を見渡しロマ(ジプシー)の存在が見えない、もしくは警察や軍が駅構内を巡回している場合、もしくは絡まれた際に強い態度で拒否の姿勢を示せる人などに限って自動券売機を使用することをおすすめします。
間違ってもその場を逃れるために彼らにチップを渡さないように。その行為が彼らの行動をエスカレートさせます。
私が遭遇したのは、自動券売機を利用している観光客と思われる男性1人に対し小学生くらい〜20台前半くらいのロマ(ジプシー)が4人も集っている光景。
その集られている男性は慣れているのかちょっと手荒な方法によって蹴散らしていましたが(注: 暴力行為は別のトラブルの原因になるのでお勧めはできません)、いずれにせよ周囲にそのような集団がいないかを事前によく確認することが大切です。
複数人で旅行する際には購入者以外の人がしっかり周囲を見張ること、そしてひとり旅の場合には有人窓口を使うなどしてリスクを避けることができます。
ヨーロッパ各地を旅行しましたが、イタリアのロマ(ジプシー)による強引な物乞いや犯罪はヨーロッパでも1、2を争う酷さですので決して油断はしないようにしてください。
D-3. 駅構内で話しかけてくるホームレスに注意
駅構内で発車プラットフォームなどを探したりしていると、突然話しかけてくる手ぶらのイタリア人男性がいます。
一見ホームレスには見えませんが、薬物中毒者やアルコール依存症を抱えたホームレスの場合がほとんどです。
アジア人など明らかな旅行者を見つけては困っていることを教えてあげるよと色々親切に話しかけてきますが、全てチップ目当て。
彼らは犯罪行為は行いませんが、教えてもらったのにチップを払わないと突然怒り出したりというトラブルがあるため、「イタリアの駅で親切はありえない」と肝に命じてください。
実際ボローニャ駅で列車を待っているわずか20分の間に3回も声をかけられましたがすべて物乞い。
何か不明点や困りごとがある際には、制服を着たトレニタリア職員や駅を警備している鉄道警察、州警察、軍関係者に尋ねるようにしてください。
D-4. 車内に乗り込んでくるロマに注意
車内であっても油断はできません。ロマ(ジプシー)が車内に乗り込んではスリを行うというのも極めて一般的です。
犯罪に手を染める多くが未成年者のため、逮捕されても翌日には釈放されるためこの手の犯罪がなくなることはありません。
常時2−3人で行動しており、車内でターゲットを探しながら徘徊していたり、注意を引くために紙を配布して回ったりと手口は様々。
特に座席指定の必要のない列車や空いている列車を利用する際には身の回りに十分注意するようにしてください。
心配な方はボックス席などを利用し、現地イタリア人と相席をすることをお勧めします。
また座席指定が必要で車掌による巡回や検札が常時行われている特急列車のほうが、スリなどのリスクは低くなります。
2. サンマリノまでのバスの旅
a. リミニからサンマリノまでの行き方
リミニに到着したら、駅前の広場に出ます。
すると、駅の目の前にバーガーキングがありその目の前がバスターミナルとなっています。
リミニからサンマリノまで向かうバス乗り場は、バーガーキングの目の前の歩道を駅に離れる方向に歩いて約15m程の場所にあります。
サンマリノ行きのバス停には大きく「San Marino」と書かれているため見過ごす心配はありません。
この写真からはわかりにくいですが、左側に見えるのが駅の建物、右奥に見える黄色い建物の1階部分がバーガーキングとなっています。
サンマリノへと向かうバスはこのリミニが始発となっており、ほとんどの場合定刻発となっています。
時刻表は季節によって変動があるので、最新のものはバス運行会社公式HPにある時刻表PDFファイルを参考にしてください。
乗車券はバス運転手から現金もしくはクレジットカードを使って直接購入します。
夏場などの観光シーズンには混雑緩和のため、バス停前に専用の係員が配置され乗車券販売を行うこともあります。
バスは通常の観光バス。車内にはWi-Fiやトイレなどの設備はありません。
バス乗車時間は道路状況にもよりますが終点まで50分〜1時間程度で、サンマリノ旧市街へ行く場合にはこの終点で下車します。
バスは旧市街のすぐ手前にある駐車場内にて停車するため、そこから約200m程歩いて旧市街へと到着します。
リミニへ戻る際にはバス下車場所と同じ場所から乗車となります。
尚、道中はカーブが非常に多くまた急勾配な斜面をひたすら上り下りしていくため、車酔いしやすい人はスマホの利用を避けるなどしっかりと対策をすることをお勧めします。
b. リミニ利用時の注意点
リミニは単位人口当たりの犯罪率がイタリアで2番目に高い街として知られ、実際駅周辺の雰囲気はあまりよくありません。
サンマリノにアクセスする際にはバスの発着時刻の問題があるため夜間にこの駅を利用することはないと思いますが、平日日中でも駅周辺には顔にまでタトゥーを彫り込んだギャング風の若者や北アフリカ系移民などがたむろしていたりと、少し不安に思うこともあるかと思います。
リミニ駅からサンマリノ行きバス停までは目と鼻の先であり、イタリア人の人通りも多いため何かに巻き込まれるということはないと思いますが、特に観光するものもないためリミニの街を歩き回ったりというのは避けた方が無難です(特に女性だけの場合など)。
バスの待ち時間が長い場合には、警備が比較的しっかりしているリミニ駅構内で待機することをおすすめします。
3. 最後に
いかが今回はサンマリノ共和国までの行き方をトレニタリアの利用方法と合わせて紹介しました。
サンマリノ共和国の旧市街は小高い山の頂上に位置しており、まさに難攻不落という言葉がふさわしい土地柄。
そのため建国以来2000年近く独立を保ち、史蹟も多く残っています。またサンマリノから見下ろす風景は欧州でも1、2を争う絶景。
世界有数の狭い国土ながら非常に魅力の詰まった国ですので、是非イタリアを訪れる際には合わせてサンマリノにまで足を伸ばしてみてください!
こちらの記事ではサンマリノ 観光前に是非押さえておきたい情報をまとめているのでどうぞあわせて参考にしてください!
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実際の宿泊記はこちらの記事で紹介していますので是非参考にしてください!
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