ノルウェー観光の大目玉であるフィヨルドめぐり。
その中でも観光客に特に人気なものに、ノルウェー最大規模を誇る大人気なソグネフィヨルドの支流であり、世界遺産に登録されているネーロイフィヨルドを1日で回ることができるナットシェル周遊チケットというものがあります。
今回は、実際にこの周遊チケットを使い、ベルゲンからオスロへノルウェー横断しながらフィヨルドを含む美しい大自然を満喫してきたので、実際の行程を写真とともに皆さんに紹介します。
春から秋にかけて限定で行われるをソグネフィヨルド端から端まで満喫するフェリーの行程が長いソグネフィヨルド・ナットシェルについてはこちらの記事で紹介しています。
1. ノルウェー・ナットシェルとは
ナットシェルとはノルウェーのベルゲンにオフィスを持つ「フィヨルドツアー Fjord Tours」という会社が販売しているフィヨルド観光周遊チケットのこと。
バスツアーのようなものではなく、公共の交通機関を主に使いながら美しいフィヨルドを満喫できるようにチケットをうまく組み合わせてパッケージングされているものです。
主に鉄道、バス、クルーズがセットになっており、メインのフィヨルドクルーズだけではなく車窓からも景色を楽しめるのが特徴。
また、オスロ〜ベルゲン、ベルゲン〜ベルゲン、オスロ〜オスロなど発着地を変えることができるのも特徴で、ノルウェーの複数都市を周遊しながらフィヨルド観光を組み込むこともできます。
ソグネフィヨルド、ネーロイフィヨルド、ハダンゲルフィヨルドなど各地いろいろなフィヨルド向けナットシェルチケットが販売されていますが、今回はナットシェルの中で最も基本ルートといわれる世界遺産ネーロイフィヨルドをまわる周遊チケットをとって観光してきました。
ナットシェルチケットを個人で直接予約する方法はこちらの記事で紹介しています。
2. ベルゲン中央駅発
私はベルゲン発オスロ行きのナットシェルチケットを予約。
ということで、当日出発前の朝にベルゲン中央駅にあるノルウェー国鉄Vy(旧国鉄NSB)のオフィスに立ち寄り、必要なチケットを受け取りました。
各乗り物につき1枚のチケットが発券されるため、今回受け取ったのは6枚。
- ベルゲン〜ヴォス(鉄道*)
- ヴォス〜グドヴァンゲン(バス)
- グドヴァンゲン〜フロム(クルーズ)
- フロム〜ミュルダール(鉄道*)
- ミュルダール〜オスロ(鉄道)
全て乗り継ぎがうまくいくようにぴったりと合わせて組まれています。
現在オンラインで予約した場合にはQRコード付きのe-チケットが発行されるため、駅でのチケット引き換えは必要なくなっています。
このナットシェルチケットを使った周遊観光者が非常に多いこともあり「電車が遅れて乗り過ごした」なんていうトラブルが起きないようになっています。
実は今回も*印をつけた1と4の行程でトラブルがあったのですが、結果として無事に最終目的地であるオスロに定刻通りつくことができました。
3. ヴォス行きベルゲン鉄道
まずはベルゲン中央駅からヴォス Vossまでベルゲン鉄道を使って。。。の予定だったのですが、架線工事のためなんとベルゲン中央駅発着の列車が全て運休。
ということでノルウェー国鉄が用意した振替輸送用のバスを使い、ベルゲンから少し離れたデール Dale駅へと向かい、そこからベルゲン鉄道に乗り込みました。
バスの到着が遅れたこともあり、定刻より30分遅れてデール駅を発車。
振替輸送用のバスが全て到着するのを待っての発車です。
第1の目的地ヴォス Vossまでの車窓。3月中旬とはいえまだまだノルウェーは冬。川も凍っていました。
そんなこんなでいきなりトラブル発生も難なく過ごし、山深くなる景色を見ながら進みます。
ヴォス Voss駅についたらそこで下車。ナットシェルを使って乗車している旅行客が非常に多いのですが、行程によってヴォスで降りる人とミュルダールまで行く人など様々。
他の旅行客と話してたらつい、、、なんてことがないように自分の降りる駅はしっかりと確認しておきましょう。
4. グドヴァンゲン行きバス
ヴォス Voss駅に到着すると、フィヨルドクルーズの出発地であるグドヴァンゲン Gudvangen行きのバスが待機していました。
このバスはナットシェル周遊客専用のバスのよう。ナットシェルはベルゲンからオスロなど都市間を移動する行程を組むため、大きなスーツケースを持った人等にも対応したバスが用意されていました。
列車の遅延もありましたが全員問題なく乗り込み今度はバスからの車窓です。
山奥に入っていけば行くほど「冬」を感じられる車窓に。出発地ベルゲンは春の兆しが感じられていましたが、まだまだ山肌が凍りついています。
30分ほどバスに乗車しているとグドヴァンゲン Gudvangenに到着。
ここからはナットシェル周遊チケットの本命であるフィヨルドクルーズになります。
5. ネーロイフィヨルドクルーズ
多少の遅れがありましたが、もちろんこのバスの乗客が全員船に乗ることを待ってクルーズ船が出航。
いよいよ出航です。後ろを振り返るとさっきバスで走ってきたスケールの大きい山間が。
クルーズに乗り込む前はずっと曇っていたり霧が出ていたのですが、なんと運がいいことか突然青空がのぞき始めました。
少し風が強かったものの、まだ雪が残るフィヨルドの景色は絶景そのもの。
ダウンジャケットに身を包みながら寒さに負けず皆デッキに集まります。
ずっと大小様々な山々の間を進みます。空気も澄んでいて人工的なものが何もない空間。
でもたまに麓に小さな集落が。道路もなさそうだしこういうところでの生活はどういうものなんでしょうか。まさにスローライフ。
時間が経つとまた雲が増えてきました。寒さが強まるとともに雲が山々を覆います。
晴れていた時の優雅なフィヨルドの雰囲気とは一変し、自然の厳しさを表す光景に。
だいたい2時間程度のクルージングを楽しみ、終着地フロム Flåmに到着しました。
6. フロム観光
フロム Flåmからはフロム鉄道に乗ってミュダール Myrdalへと向かいますが、ここでアクシデントその2。
なんとミュダール Myrdalからオスロ Osloへ向かうベルゲン鉄道が雪崩の影響で運休になっているとのアナウンス。
もし運休が解除されない場合にはここフロム Flåmからオスロ行きの直通振替のバスが出るとのこと。その距離にして320キロ。
300キロ超えのバス(しかもフィヨルド地帯)はきついなぁー。。。
と思いつつもまだフロム鉄道発車予定時間までは3時間以上余裕があり、ベルゲン鉄道の復旧を直前まで待ってフロム鉄道の運行を判断すると駅員がアナウンスしていたため、とりあえず周辺散策をしました。
ちなみに冬場に雪崩で運休というのはよくあることらしく、振替輸送もしばしあることなんだとか。
ただナットシェル利用者は海外からの観光客も多いため、何があっても当日中に最終目的地へと運べるよう色々な手段を用意しているそうです。
さすがノルウェー。フロムの駅構内では巨大トロールがお出迎え。
フロムにはお土産屋やカフェ、レストランのほか無料の博物館なんかもあって結構時間を使えます。
博物館ではフロム鉄道開通の軌跡や旧式車両などが展示。
このフロム鉄道はこの地域の発展には欠かせない山間鉄道で、ノルウェーにおける鉄道の最高傑作だと言われています。
フロムは夏場はハイキングが楽しめるリゾート地として宿泊する人も多いんだとか。
そしていよいよフロム鉄道発車時刻。心配そうに集まる乗客を前に「嬉しいニュースだ!」と駅員意気揚々と運行のアナウンス。
行程通り無事に帰れることになりました。
実はフロム鉄道はノルウェーでも観光客動員数で3本の指に入る有数の人気名所。
やはりこれを目当てに来ている人もいるくらいなので、運休となると相当精神的なダメージが大きくなってしまいます。
7. ミュルダール行きフロム鉄道
出発時刻ギリギリになりフロム鉄道がやってきました。現在フロム鉄道の運行会社はノルウェー国鉄Vy(旧国鉄NSB)になっているため、機関車はVy(旧国鉄NSB)のもの。
それ以外のマーケティングや路線維持はフロム開発者と別の会社が行なっている珍しい形態をとっています。
客車は少しレトロな木造の内装となっていて、観光列車の雰囲気を出していました。
このフロム鉄道、海抜2mのフロム Flåmを出発し、標高865mのミュルダール Myrdalまで一気に登る登山列車。
180度カーブを含むいくつもの急カーブとトンネルを通りながら急勾配を上っていきます。
途中車内アナウンスがあり、有名なショース滝 Kjosfossenという美しい滝の前で列車が停止。写真撮影のために数分間時間を取ってくれますが。。。
そこは標高669m。滝は完全に凍結していて、暴風極寒。一瞬外に出て皆車内へ退避という感じでした。
そこからほどなくしてミュルダール駅に到着しました。
標高が一気に上がったこともあり辺り一面真っ白。さらに風も強くノルウェーの冬が半端なく厳しいことを3月中旬に感じることになりました。
乗客は皆我先にと駅舎へ避難。そりゃ雪崩も起きるなと。
夏にフロム鉄道に乗車した際のレビューをこちらの記事で行なっています。冬と夏の景色の違いを感じてみてください。
8. オスロ行きベルゲン鉄道
ミュルダール駅で待つこと20分、オスロ行きのベルゲン鉄道がやってきました。列車は完全に雪国仕様。雪で完全に覆われた線路をもろともせず、ものすごい雪煙をあげながら走ります。
オスロ行きの車内はナットシェルの周遊客はもちろん、ベルゲン〜オスロを移動する通勤客や学生などでそこそこ混雑。
座席自体は指定席でゆったりとしたシートでリラックス。3時間程度かけて最終目的地オスロを目指します。
オスロ到着は夜の11時過ぎ。本当に丸1日かけてフィヨルドを満喫しました。
9. 最後に
というわけで3月中旬にナットシェルチケットを使って、ベルゲン発オスロ着の世界遺産ネーロイフィヨルドを周るナットシェル旅行をしてきました。
ガイドツアーのようなものではなくあくまでも交通機関の切符を乗り継ぎがいいようにセットにしたものですが、同じ行程を取る人も多いためわからなくなっても誰かについていけば大丈夫。
トラブルの対応などもしっかりしているため個人旅行者にも安心です。
特にベルゲン〜オスロ間の移動とフィヨルド観光を1日で両方できてしまうこの欲張りな行程はおすすめ。是非ノルウェー旅行の際にはナットシェルを活用してみてください!
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