冬場の北欧旅行の山といえばオーロラ観測と撮影。私も北欧に在住しているメリットを存分に発揮しながら、様々なオーロラポイントで計3000枚ほど撮影してきました。
使用しているカメラはオリンパスのミラーレス機、プロカメラマンの装備とは程遠いものですがそれでもなかなかの作品を残せるようになってきました。
最近はそんなミラーレスカメラの普及などもあり、誰でも比較的性能の高いカメラを持ち歩くようになり、旅行の必需品の1つになっています。
今回はそんなアマチュアカメラマンがプロ並みのオーロラ写真を撮影するためのポイントを紹介します。
1. 必須撮影機材
まず撮影に絶対に必要なの物がカメラです。
最近のカメラはコンパクトデジタルカメラでもシャッタースピードや絞りを自由に設定可能なマニュアルモードが付いているものがほとんどになってきていますが、オーロラ写真を撮影する上ではこのシャッタースピードを自由に変えられるということが必須になります。
カメラによってはMモードと書いてあることもあるので、お手持ちのカメラを確認して見てください。
シャッタースピードが何かわからないという方に簡単に説明します。シャッタースピードが速いとは、シャッターを押した際に「カシャッ」となるような状態、遅いとは「カッ・・・・・シャ」とシャッターが開いてからとじるまでの時間が長い状況を指します。
オーロラ撮影においてはこの「シャッタースピードを遅くする」ということがキーになります。
また、このシャッタースピードを遅くして撮影する際にもう1つ必須なのが三脚。手持ちでは、手振れをしてしまいシャープな写真を撮ることができません。
風が吹いてもブレないようなある程度しっかりしたものを選ぶ必要がありますが、旅行で持ち運ぶということも念頭にその中可能な限り小型で軽量のものを選ぶといいでしょう。
そして、その他防水耐性、防寒性能なども重要になってきます。
これからカメラの購入を検討しているという方は、私が使っている比較的安価で高性能なカメラ機材を紹介していますので、こちらの記事をお読みください。
2. カメラセッティング
カメラのセッティングがよくわからない、という方に私の基本設定を紹介します。まずはカメラをマニュアルモード(Mモード)に設定して、下記3つのポイントの数値を変更してみてください。
感度 ISO
感度 ISOとは、カメラをいかに光に対して敏感にするか、という設定項目になります。
オーロラ撮影時には基本的には600〜1600程度にしてみてください。
ISOの値を大きくすればするほど、ノイズの量が増え画質が低下しますので、オーロラを写せる範囲内でなるべく小さい値にすることをお勧めします。
オーロラが強い際には数値を弱めに、オーロラが弱い際には数値を高くします。
シャッタースピード
シャッタースピードの基本は6秒にしています。
シャッタースピードを長くしすぎると、動きの活発なオーロラなどではぼんやり写ってしまうので、短い方がシャープなオーロラが撮影できます。一方、オーロラの強さが弱い際には逆にシャッタースピードを長くすることで、カメラに弱い光も取り込むことができるようになります。
絞り
絞りはレンズ側の設定で、これもいかに光を取り込むかということになります。オーロラ撮影時には絞りの値は可能な限り低い数値に設定します。
レンズによって最低値は決定されてしまっているので、選べる一番小さな値を選択してください。
F1.8、F2.8等を選べれば最適、レンズの性能が低いとF4程度になってしまうかもしれません。これは低ければ低いほど条件がいいです。
フォーカス
焦点をどこに合わせるか、ということですが、これは「無限遠」に合わせます。簡単にいうととにかく遠いところにフォーカスを合わせるということです。
星に焦点を合わせたり、はるかかなた遠くの建物やライトに焦点を合わせることで無限遠とすることもあります。
まとめ
この3つの設定項目を臨機応変に変更してベストな設定を探すことになります。
全くわからないという方は
- ISO 800
- シャッタースピード 8秒
- 絞り F2.8以下 (最低値を選択)
- 無限遠
でまず撮影してみててください。
もしオーロラがしっかり写っていなければISOの値を大きくする、もしくはシャッタースピードの値を大きくして調整しましょう。
肉眼でもはっきり見えてオーロラが明らかに刻々と変化しているような場合には、シャッタースピードの値を小さくしてみてください。
3. 誰も教えてくれない撮影のコツ
ここからはどういう条件で撮影したらいいか、ということになります。ここでは雲がない、太陽活動が活発など当たり前のことをいうつもりはありません。
オーロラを綺麗に撮影する際のポイントは、オーロラだけではなく周囲の風景をどう写真に組み込むか、ということがキーです。オーロラだけの写真は思い出にはなりますが、第3者に見せた時に感動させられるような「画」にはあまりなりません。
ではどうしたら綺麗な風景と一緒に撮影できるか。ポイントは「月」になります。
月明かりは大地を均等に照らすため風景を浮かび上がらせます。逆に、人工灯は局所を集中的に照らしてしまい、撮影した際に白飛び(写真が真っ白になってしまう)やハレーション(レンズ表面の光の反射が写り込んでしまう)の原因になるのであまり好ましくありません。
1つここで例を下に示します。
左側はアイスランドの新月の際に撮影したもの。周囲が暗すぎて、かなり寂しい写真になっています。右側の写真は、スウェーデンのキルナで撮影したもの。こちらは半月から満月に向かうような月の形で、夜に月明かりで自分の影が見えるような状況でした。
その差は一目瞭然、どちらがいいかはいうまでもありません。
よくオーロラは月明かりがないほうがいい、という迷信がありますが、実際にオーロラの写真を撮ろうとする際には月明かりは強い味方になります。
月明かりの唯一のデメリットは、オーロラが出現した際に月が撮影範囲に入ってしまうと、かなり写真の質を下げます。月そのものを撮影しないように気をつけてください。
こちらの写真は満月の夜に撮影したオーロラの写真。街灯の光もあり非常に明るい環境でしたが、はっきりとオーロラを捉えることができました。
満月のおかげもあり遠くに見える険しい山々の姿もしっかりと写すことができ、自然と人々の暮らし、そしてオーロラを1枚に収めることができた作品です。
満月がベストとは言いませんが、ある程度の月明かりはむしろ撮影にとってプラスに働くのでうまく活用したいところです。
こちらの記事でオーロラ撮影について様々な角度から解説しているのであわせてお読みください。
4. 最後に
いかがでしたか?
オーロラの撮影、難しいと思われがちですがコツを掴めば意外と簡単です。
三脚に固定したカメラで、シャッタースピードを調整できるカメラをお持ちであれば、誰でもある程度ちゃんとした写真を撮ることができます。
そして、プロ並みの「美しいオーロラ」写真を撮るためのコツは、月明かり。せっかく日本から遠く離れてオーロラを観測しにいくので、綺麗な写真を残せるようトライしてみてください。
北欧(ヨーロッパ)にオーロラを見に行こうと計画している方は、こちらの記事をご覧ください。私が過去に訪れてオーロラを観測した場所についてそれぞれ紹介しています。
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