「スウェーデン」という言葉にアンテナを張っている北欧好きの方はご存知の方が多いかもしれませんが、最近衝撃的なニュース(スウェーデン語)がありました。
それは、勤務時間中にも一時帰宅してセックスができるように「有給セックス休憩」を認めるべきだ、という提案を42歳のおじさん市議会議員、ペルエリック・ムスコス Per-Erik Muskosが行なったというもの。
我々日本人からするとまったくその意味も価値観がわからないのですが、スウェーデンにいると「彼らならそういう発想を持ってもおかしくない、、、」と思ってしまうこともしばしば。
そんな理由をスウェーデンに生活基盤を置いた私なりに勝手に解釈してみたいと思います。
1. 性行為は当然のもの
まず突然ですが、セックスは生命が継代するためには絶対に必要なことで、ある意味動物である限りタブー視することさえもおかしな当然のこと、だという考えがあります。
海外のドラマや映画ではほぼ100%性行為シーンがあり、朝も夜も関係なく「セックス」という言葉がテレビで連発。
場合によっては10分に1回は言ってるだろ、っていうくらい連呼したり、昼間からど真面目に「なぜ生物学的に生物はセックスを必要とするのか」なんていうテーマでディスカッション番組が放送されたりは日常茶飯事。
男女が一緒に集まっていたとしても若者の恋話として生々しいリアルなセックスが語られたりと、話題にタブーはありません。。
つまり、そもそも「セックス」という言葉や行動は、人間として当然行うもの、という認識があるためこのテーマにも何ら抵抗がないのです。
そのため、議会などオフィシャルな場であっても、我々からすると「大逸れた」と思ってしまう提案ができてしまうのです。
2. 性は武器
性に寛大なスウェーデンと言われますが、特に思うのが女性が「性」を武器にするということ。
誤解があるといけませんが、女性は女であることを誇りに思い、そのメリットを最大限使おうとします(特に男に対して)。簡単に言えば「露出」します。女の体を晒すことは女の使命といわんばかりの晒し方。
夏に海や海岸沿いにいけばトップレスなんていうのはゴロゴロいますし、夏場晴れた日に街中歩いてみると、ビキニのような胸しかかくしてないような服をきていたりなんていうのは毎日の光景。
冬場でさえ、ピッチピチのスキニーパンツなどで体のラインをこれでもかっていうくらい出してきます。つまり性は恥ずべきことではなく、どんどん表に出すべき武器として考えている人がとっても多いのです。
フェミニストグループがトップレスでパレードなんていうのもよくある話。
つまり、性にまつわる話をすることには男女何の抵抗感も慣れきっているので特別なこととはみなされません。
3. 健康にいい神話
これは日本の女性誌などでも書かれたりしていたりすることですが、「セックスは健康にいい」という神話があるのも事実。根拠が本当かはわかりませんが、少なくともそう信じる人は相当数います。
性行為の頻度と離婚率や、性行為の頻度と肥満率の相関、性行為の頻度と心筋梗塞の頻度などなどなど、簡単なインタビュー調査のようなものから科学ジャーナルに出るような専門的な研究まで、広い媒体で色々と言われてます。
今回の提言も、セックス休憩があれば免疫力の向上や睡眠の質向上による業務効率向上が狙える、というようなセックスと健康との相関を理由の1つとしています。
4. 男女共働きへの理解
スウェーデンでは男女共働きが当然、専業主婦というのはかなりのマイノリティです。
少なくとも「結婚したら専業主婦になりたい」なんていうと白い目で見られる可能性がとても高い、そんな文化だったりします。
その分、育児休暇制度や保育園やベビーシッターのようなシステムもある程度は整っており、いざ子供ができればそれなりの保証もあります。
しかしながら、その一方スウェーデンでも先進国と同様例外なく将来的な人口減が問題となっており、現在はそんな人口不足に備え移民で労働力を賄っているのも事実。ですので、子供を産み育てるということについては各自治体もかなり推進しています。
男女共働きですので、仕事によっては夜過ごす時間が少なくなりがちだったり、仕事の疲れなどから夜そういう気分にならないこともあるでしょう。
そんな中、夫婦の時間を少しでも増やすために、夜だけでなくても日中にも夫婦で愛を深める時間が必要だ、というのはある意味理にかなってるのかもしれません。
5. トンデモ提案で話題作り
実はこの路線が一番濃厚で、事実こう話題になってるので市議の思惑としては大成功だと思いますが、スウェーデン議会ではよくこういうとんでもない提案がされ、半分冗談のように受け止められながら報道が広がることがよくあります。
今回も、法案として可決するかは別にして話題作りが目的だったということもあるでしょう。
これはスウェーデンに限らず欧米諸国でよく見られますが、例えば最近話題になったオーストラリアでの「授乳」問題。オーストラリアの上院議員が議会場内で堂々と赤ちゃんに授乳したということが話題になりました。
オーストラリアでは母親の権利として公共の場(電車内や人前含む)での授乳が以前から認められるようになったものの、議場内では以前禁止という保守的な規定があったことに抗議。
結果世論の支持もあり規定が変更され、議事堂内で堂々を母乳を与えるという歴史的な出来事が起こったのです。そしてその様子を写した写真が一瞬にして世界中に広がりました。
今回もこの市議により「セックスは権利だ!」というメッセージを性の解放に慎重な保守層(スウェーデンではそれでも少数派)へ届けるため、そして自分の支持層に対して「私はこんなに性にオープンだ」ということをアピールするための政治的パフォーマンスがあるのではないか、と考えています。
何より売名行為としては大成功。世界中で名前と顔が放送されてますよ、ペルエリック・ムスコスさん。
最後に
というわけで、勝手にスウェーデン市議の提案を解釈してみました。
ただはっきりいうと、スウェーデンの年間労働時間はたったの1700時間。月に20日、1日8時間労働を1年行なった場合には1920時間ですので、かなり少ない水準です。
どのくらい少ないかというと、欧州ではフィンランド、フランスに次いで「ダントツ」に少ない労働時間(見ていて本当に働く時間が少ないのがよくわかります。。。)。
そんな家にいる時間がずば抜けて長い国民にもかかわらず、この市議の主張は「カップルが一緒にいる時間が不十分」だなんて、、、。何を考えてるんだか、というのが本音だったりします。
というか、彼らの勤務時間の短さ故にかなり不便な思いをしたのでむしろもっと働けよって思うし、ある時間になったらみんな一斉に帰宅して、1時間以内に家と職場往復して、セックスしてみんなスッキリ、、、ってどんな世界だよって思いますけどね。
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