世界各国には様々なお祭りやお祝い事があり、多様化した現代であってもその国の文化をよくみることができます。
北欧ノルウェーで1年を通して最も盛り上がる日、それが毎年5月17日の憲法記念日(ノルウェー語 Grunnlovsdag/英語 Constitution day)。
ノルウェーの国中がお祭りムードになり、それぞれの街や村単位でパレードが行われます。
そんなノルウェーの憲法記念日の様子をノルウェー西海岸ベルゲンの街からお届けします。
1. アイスクリーム食べ放題?
日本を含め世界各国、憲法記念日が祝日として定められている国は多くありますが、ノルウェーの憲法記念日は少し様子が違います。
5月17日の憲法記念日の約1ヶ月頃前から街中には移動遊園地が設置され、パレードのために隊列を組む練習をしていたり鼓笛隊が練習を始めたりと憲法記念日へ向けた動きが各地で見られるようになってきます。
各地それぞれの特色があり、例えば旧市街が世界遺産に登録されているベルゲンでは、ナショナルデーの主役は子供。
子供が好きなだけアイスクリームを食べてもいい日、なんて言われることもあり、子供達もこの日を待ち望みます。
移動遊園地には小さい子供を連れた家族や学生など若い人で盛り上がり、本格的な春の訪れとともに憲法記念日への準備が進められます。
2. ノルウェー国旗に圧倒
ノルウェー人にとって憲法記念日は1年を通して一番大切な日。国民としてのアイデンティティを再確認する日でもあり、国中どこにいっても国旗が掲げられます。
憲法記念日前になると雑貨店やスーパーマーケットなどでノルウェー国旗が大量に山積みで売り出され、ノルウェー人でなくてもおもわずその雰囲気で国旗を買ってしまうほど。
どこを見回してもノルウェー国旗。一軒家はもちろんアパートの各部屋からも国旗が飾られ、出窓に国旗が置かれてない部屋は皆無と言ってもいいほどです。
ノルウェーの民家には赤・青・白の国旗がぴったり。
3. 民俗衣装ブーナッドでお祝い
憲法記念日当日、朝はやくから民族衣装Bunad(ブーナッド)を身にまとい、様々なイベントが行われる街の中心部へと大移動が起こります。
歩いている人はほとんどが民族衣装や正装。ノルウェーでは仕事の時はおろか、ミシュランレストランで食事をするときでさえ正装を着ることは稀、ということを考えるとノルウェー人にとっていかに重要なイベントかがわかります。
この民族衣装Bunad(ブーナッド)は地域性があり、このブーナッドのデザインが出身地を表します。
こちらの販売サイトでは各地域のものを一覧でみることができます。
ベルゲンの女性用ブーナッドは黒がベースで花柄のワンポイントが入ったもの。一方距離的には近いハダンゲルのエリアでは上が青、下が白などバラエティが豊富。
お店で購入することもできますが、親に作ってもらったり引き継がれることも多く、日本の着物と同じく大切にされています。
街の主要道路は全て歩行者天国となり、ブーナッドを着た人で溢れるこの日ならではの光景。
4. メインイベントはパレード
それぞれの自治体で朝から日没まで様々なイベントが開催されますが、その中でもメインとなるのがパレード。
ベルゲンでのパレードは退役軍人など国に多大な貢献をした人を先頭に、街のインフラを支える人、各団体や大学などがグループを作って行進していきます。
ノルウェー軍の現役軍人によるきっちりと整った行進から、お酒を飲みながら演奏や大合唱をする若者グループまで様々。
街を支える消防や救急隊員などもパレードに参加し、日頃の感謝を込めた暖かい拍手が送られます。
アパートのバルコニーからは優雅にお酒を飲みながら特等席からパレード鑑賞。
もちろんこのお祭りはノルウェー人のためだけのものではありません。
外国人であっても、大学や各種学校に所属をしていたり、仕事関係で何らかの組織に所属しているとこのパレードに参加することが可能。
憲法記念日のお祝いを通して国籍や人種に関係なく街が一体となる日ともいえます。
5. 1日の最後に花火で締め
街中心部にある大きな公園広場では日中から音楽イベントなどが開催され大賑わい。
そんな広場では1日を締め飾る花火大会が日没に合わせて行われます。
5月17日の日没、日本では考えられませんが夜の10時半頃。花火大会も夜の11時に開催と、1日が長い北欧ならではのタイムスケジュール。
この花火をもって国中で行われた1日のお祭りが終了となります。
6. 最後に
5月17日、ノルウェーの憲法記念日。
首都オスロでは国王一家など王室メンバーがお出ましになり挨拶をしたり、テレビでは1日中各地の盛り上がりを伝える特番が放送されたりと、ノルウェーの国全体がお祭りモード一色に染まります。
皆が民族衣装を着てパレードを楽しんだり、花火が上がったりと、子供から大人まで誰もが一緒にお祝いできる特別な日です。
日本で言うならば、新年と夏祭りを合わせて国中でイベントをやっているようなイメージ。春にノルウェー旅行をするのであれば、是非この5月17日に訪れてみても面白いかもしれませんよ!
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