イギリスとフランスやベルギーなどを2時間前後で結ぶ国際高速鉄道、ユーロスター。
鉄道と一言で言ってもシェンゲン協定非加盟国であるイギリスと、シェンゲン協定加盟国を結ぶ国際特急であるため、他の欧州域内を走る国際列車とは事情がことなります。
それに起因して少しややこしい手続きが必要になるのがこのユーロスター。
今回は初めてユーロスターを利用する方向けに、利用時当日にどのような手はずを踏むのかを順を追って紹介します。
1. ユーロスターチケット購入方法
ユーロスターのチケット購入方法は主に3つ。
当日購入する場合、事前に公式ページから購入する場合、欧州鉄道切符を総合的に販売するレイルヨーロッパのサイトから購入する場合にわけられます。
当日空席がある場合には当日購入も可能ですが、満席になることも多いためお勧めできません。航空券を購入する場合と同様、事前にあらかじめ座席を確保しておくことをお勧めします。
事前購入した場合にはメールで送られてきたものを各自で印刷するペーパーチケット、スマートフォンで表示させるモバイルチケット、もしくは当日駅構内のチェックイン機を使用して発券する3通りの方法があります。
ユーロスター公式HP(英語のみ)
レイルヨーロッパ公式HP(日本語対応)
2. 乗車当日の手続き
今回は一例として、イギリスの始発駅であるロンドン セントパンクラスインターナショナルSt. Pancras Int’l 駅とベルギーのブリュッセルとを結ぶ路線で紹介します。
基本的にはユーロスターに乗車する際には同じ手続きを踏むことになるため、行き先などに関係なく読んでください。
2-1. ロンドンセントパンクラス駅
イギリス側の始発駅となるのがセントパンクラスインターナショナル駅。
キングスクロス駅に隣接してありますが、ユーロスターの発着駅ということでインターナショナルの冠がつけられています。
駅に入ると、そこはまるで空港の中にいるかのよう。そんな駅構内の中心部にユーロスターの搭乗ゲートがあります。
International Departuresという表示とともに列が作られています。
ユーロスターの乗車手続きには以後説明する荷物検査や入出国審査があるため、乗車時間にゆとりをもって駅に到着しておく必要があります。
ロンドンから乗車する場合には、改札を発車45分前に締め切ることがチケットに書かれていますので、飛行機に乗る場合と同様最低でも1時間〜1時間半前にはこの列に並び始めることをお勧めします。
2-2. 改札
この列を抜けて最初にくるのが改札ゲート。パスポートの種類によって改札がわけられており、EU加盟国のパスポート保持者とそれ以外で使える改札が異なります。
「All Passport」と書かれた改札へと向かってください。改札を通る際には、チケットに書かれたバーコードを改札機にスキャンして通過します。
2-3. 手荷物検査
改札を抜けるとまず手荷物検査があります。
この際、荷物は全てカバンやジャケットの中にいれるよう指示されます。空港のように液体類持ち込み制限やコンピュータを別に出さなければならないというような指定はありません。
荷物を全てX線スキャンに通したのち、乗車客は空港と同様に金属探知機を通過します。
荷物を全て回収し、身なりを整えたら次のセクションへと進みます。
2-4. 入出国審査
手荷物検査を終えると今度はそのまま入出国審査へと進みます。
このエリアは写真撮影禁止なため実際にはお見せできませんが、ユーロスターを利用する場合には、乗車駅で到着国側の入国審査が行われるという特徴があります。
イギリスを出国する際には、出国審査はなくフランス国境警備隊によるEU側入国審査が行われます。
フランスやベルギーからユーロスターに乗車する場合には、まずEU側の出国審査が行われ、その後イギリスの入国審査が行われます。
2-5. 搭乗前待合室
無事に入国が認められ、到着国側の入国スタンプ(EU側はフランス)をもらうと待合室へと通されます。
ユーロスターへの乗車は発車時間の20分前に開始されるため、それまではこの場所で待機します。
簡単なレストランやカフェなどもあるので、車内に飲食物を持ち込む場合にもこちらでの購入をお勧めします。
2-6. 乗車
出発20分前になると、場内放送とともにモニターにプラットフォーム番号が表示されます。
番号を確認したら乗車する列車へと向かいましょう。
3. ユーロスター列車
現在ユーロスターで主に使われている車両はクラス373(左)と374(右)。
クラス373はフランスで開発されたTGVの改良型動力集中式列車で、374はドイツ製の最新式動力分散式電車となっています。
ユーロスタークラス374の二等席の車内はおちついたデザインでありながら足元に余裕がある座席配列。
車内では無料WiFiも利用可能ですが、トンネル内や郊外を走っている際などは電波が弱くあまり使えませんでした。
クラス374の最高時速は時速320km。チャネル海峡を抜けフランスへと入ると時速営業最高速度300kmで駆け抜けます。
4. 到着後
すでに乗車前に入国審査を済ませてあるため、目的地到着後は列車を下車し、そのまま特に手続きがあるわけでもなく駅を出ることができます。
一応駅には税関があり、税関スタッフが待機しているため必要がある場合には立ち寄ってください。
5. ブリュッセル南駅乗り場
ユーロスターのベルギー側出発駅はブリュッセル南駅。駅構内の一角にユニオンジャックが描かれた「Channel terminal」という標識があり、こちらがユーロスター乗り場となります。
このゲートをくぐったのちは、改札、手荷物検査、出入国審査と同じ手順を踏むことになります。
6. 最後に
いかがでしたか?
今回は国際特急とは言ってもちょっと特殊なユーロスターの利用方法を紹介しました。
列車に乗るというよりは、空港から国際線に乗ると考えた方がいいかもしれません。
乗車前に様々な手続きがあり、改札ゲートの締め切りが45分前だったりと、気軽にふらっと乗れる特急列車ではないことだけは間違いありません。
ですがこの記事を読んでくださったあなたはもう当日どのような手続きが待っているのかを理解し不安も解消できたはず。
チャネル海峡通過中はトンネル内ですが、フランス国内と走る際などは絶景が広がるので、美しい景色を堪能しながら快適な高速鉄道の旅を楽しんでください!
- ユーロスター公式HP(英語のみ)
- レイルヨーロッパ公式HP(日本語対応)
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