日本発行パスポートを持っていればビザを申請することなく旅行で短期滞在が出来たヨーロッパ諸国(一部除く)。
そんなヨーロッパ諸国も2023年より入国者管理と国境管理の厳格化を目的に新たな枠組み「欧州渡航情報認証制度 ETIAS(エティアス)」を導入することが決まっています。
2023年以降、EU外から渡欧する人はこのETIASの事前申請が必須。今までビザフリーで自由に渡航できた日本人も例外ではありません。今回はこのETIASについで知っておかなければならないことをまとめました。
1. ETIAS, ESTA, ビザの違い
2023年に導入が決定しているETIAS。
もともとアメリカで同様の電子渡航認証システム(ESTA)というものが国境管理厳格化の一環として2008年に導入されたものを、ヨーロッパEU諸国が追従する形で開始するものになります。
今までは事前の申請もなく短期渡航であれば自由に入出国ができていたビザフリー市民(日本含む)ですが、これにより渡航前に事前の承認を受けなければいけなくなります。
簡単に言うとETIASはビザ(査証)の簡易版。しかしビザ申請と比較すると費用や所要時間、また審査の難易度が異なり、一人一人厳格に審査されるビザとは根本的に異なるとも言えます。
もともとETIASはあくまでビザフリー市民に適応されるもの。データベースと照合され、危険人物と判断されない限り原則承認されるものと考えて差し支えはありません。
ただしビザを持って入国する場合とは異なり、ETIASの承認を受けていたとしても最終的な入国許可は国境管理を行う入国審査官によって行われます。そのため入国時に不審な点があれば最悪入国拒否ということもあり得るのは、導入前と変わりません。
2. ETIAS取得が必須の国とシェンゲン協定
ETIASが導入されるのはシェンゲン協定加盟国。人の移動の自由化を目的に結ばれた協定で、EU(欧州連合)・EFTA(欧州自由貿易連合)加盟国から以下の29ヵ国(ミニ国家含む)が加盟しています。
アイスランド | ノルウェー | スウェーデン | デンマーク | フィンランド |
ドイツ | フランス | ベルギー | オランダ | スイス |
リヒテンシュタイン | モナコ | イタリア | アンドラ | スペイン |
オーストリア | ハンガリー | チェコ | スロベニア | スロバキア |
ポルトガル | ギリシャ | マルタ | ラトビア | エストニア |
リトアニア | ギリシャ | バチカン | フランス | (2022年6月現在) |
シェンゲン協定加盟国間の移動には国境審査が省略され、国内旅行をしているかのように入出国をすることが認められています。
しかし2023年以降、これらシェンゲン協定加盟国に入国する非シェンゲン圏の市民に対して、ETIASの事前承認が求められることとなります。
3. ETIAS申請が必要な人
ETIASの申請が必要な日本人は原則ビザを必要としない範囲でシェンゲン圏に滞在する全ての渡航者。
短期旅行者、ビジネスにおける渡航、トランジット、治療目的など90日を超えない短期滞在者となっています。
また空路に限らず陸路、海路など全ての渡航経路に適応されます。
駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジンに日本人向け情報が出ているのでこちらも参照してください。
4. ETIAS申請方法と費用・有効期限
ETIASは電子申請・電子承認制度。申請は全てオンラインで行うことができます。
現状まだ申請の受付は開始されていませんが、ETIAS導入後はインターネットサイト(PC/モバイル)より渡航先や渡航目的、保安に関する質問事項などに回答することで申請が完了される簡易なものとなる見込みです。
手数料は申請者1人につき一律7ユーロの予定。18歳未満、70歳以上の申請者には手数料は課されません。
ETIASの有効期限は3年間もしくは申請時に使用したパスポートの有効期間が終了するまでとなっています。
ETIASを取得していたとしても、ビザフリー市民に対するシェンゲン圏滞在のルールである過去180日間で最大90日までの滞在という条件は変わりありません。
5. 申請に関し注意が必要な人
原則は承認されると行ったETIASですが、一部申請にあたり注意が必要なケースがあります。ETIASの目的は入国者の把握と保安の向上。
そのため過去に逮捕歴、もしくは前科がある場合には、その程度と内容により場合によって承認がおりないという可能性がでてきます。
軽度な違反(軽犯罪、交通違反等)や年月の経っている前科については大きな問題にならないことが予想されますが、申請時には注意が必要です。
ETIASの承認が降りなかった場合には異議申し立てができますが、それでも承認されない場合にはシェンゲンビザの申請が必要となります。
ETIAS導入後の前科がある場合の海外旅行に際してはこちらのサイトを参照してください。
6. 最後に
今までは事前の申請なく自由に渡航できたシェンゲン協定加盟国ですが、2023年よりETIASの事前承認が必須となります。
これは一見すると一手間増えて面倒に思えますが、これにより入国者の管理がより厳格に行われるようになり治安の向上が期待されています。
そのため日本人旅行者にとってはメリットが大きいのも事実。しっかりと事前に制度を理解し、旅行準備を進めるようにしてください。
ETIASに関する最新情報についてはETIAS.co.jpを参照してください。日本語でわかりやすく説明されており、さまざまな疑問に回答しています。
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