中欧に広がる美しいチェコ共和国の南ボヘミア地方に、タイムマシンで中世へと旅をしたような感覚を味わえる場所があります。それが、チェスキークルムロフ(Český Krumlov)。
石畳の路地、バロック様式の建物、そして川に映る中世の城は、世界中の観光客を魅了し続けており、またその歴史的な価値と美しさから、ユネスコの世界遺産に登録されるほど重要な場所となっています。
この記事ではそんなチェスキークルムロフ観光の情報をまとめて紹介します。
1. 世界遺産の町チェスキークルムロフ
チェスキークルムロフは、チェコ共和国の南部に位置し、ヴルタヴァ川(Vltava River)の川岸に広がっています。町周辺は緑豊かな丘や森に囲まれており夏のリゾート地として大変観光客に人気の町となっています。
13世紀頃から発展し始めた古都でありながら、現在まで中世の街並みが綺麗に残されていることもあり、1992年以降ユネスコ世界文化遺産に登録されました。
町の象徴的存在でもあるチェスキークルムロフ城は現在博物館や美術館として一般公開されており、また芸術や文化の町として夏場を中心に数多くのイベントが行われる小さいながらも活気のある町となっています。
2. チェスキークルムロフへの行き方
チェスキークルムロフへはチェコ共和国の首都プラハから陸路でアクセスするのが一般的です。
日本からプラハ国際空港への直行便がないため、エミレーツ航空でドバイ経由やエールフランスでパリ経由でプラハに入るのが一般的となっています。
2-1. バスでのアクセス
プラハからチェスキークルムロフへの最も一般的なアクセス方法は、バスを利用する方法。乗り換え無しでプラハとチェスキークルムロフを移動できるというだけでなく、最も本数が多く安価な選択肢として人気があります。
プラハ中心地に位置するフロレンツ(Florenc)もしくはナ・クニーゼツィ(Na Knizeci)バスターミナルからバスが運行されています。
2-2. 電車でのアクセス
バスと比べると所要時間と運賃が若干多めにかかりますが、鉄道での旅行が好きという方はチェコ鉄道を使ってアクセスが可能です。
プラハからチェスキークルムロフまで直通する列車は平時運行されていないため、近隣都市であるチェスキーブジェヨビツェ(České Budějovice)で乗り換えが必要となります。
チェスキーブジェヨビツェからチェスキークルムロフまではローカル線への乗り継ぎ、もしくは前述のバスへの乗り継ぎが可能です。
プラハ中央駅(Praha hl.n)発着:チェコ鉄道
所要時間:約3〜3.5時間
2-3. レンタカーでのアクセス
現地でレンタカーを利用するというのもおすすめな方法の一つ。所要時間2時間程度と最も早く移動することが可能です。
チェコ共和国国内の高速道路は車線が広くまた直線的で運転しやすいので、海外での運転に心配がない方は旅行の効率が格段に上がるので是非車での移動も検討してみるといいかもしれません。
2-4. ツアーでのアクセス
個人での遠方への旅行に不安があるという方におすすめなのがプラハ中心部から催行されている現地日帰りツアーに参加する方法。
チェスキークルムロフは世界中の旅行者が憧れる町ということもあり、各社さまざまなツアーを販売しています。
日本語でのツアーはあまりありませんが、英語が不自由な旅行者にもなれているので最低限の指示がわかれば問題無し。また日帰りであまり時間が無いという条件の中では効率的に見どころを周ることができます。
こちらの現地ツアー検索サイトを使うと予約に関しては日本語でのサポートを受けることが可能ですので参照してみてください。
3. おすすめ観光日数
観光の見どころとなるチェスキークルムロフ歴史地区エリアは端から端まで歩いても15分程度の小さな町。街並みを一通り見るだけであれば半日程度から楽しむことができる町なので、プラハからのデイトリップ先としても大変人気があります。
一方、チェスキークルムロフ城内の見学(ガイドツアーのみ)をしたり、人気アクティビティであるヴルタヴァ川のゴンドラライドなどを行うのであればある程度時間に余裕を持たせたプランニングがおすすめ。
特に、サマーシーズンの日中は日帰り観光客が多く訪れ混雑するため、半日では名所をまわりきれないという可能性もあります。
おすすめはチェスキークルムロフ内での1〜2泊。観光客で溢れる前後、静かな朝夜の時間帯はまさに中世の街並みを楽しむのに最高の雰囲気を醸し出してくれ、写真映えも倍増。
日帰りで訪れる際は時間の利用を効率化するために、プラハ発のツアーも選択肢。チェスキークルムロフ城への優先入場(Skip the line)付きガイドツアーが含まれているものがおすすめです。
4. チェスキークルムロフ観光の見どころ
チェスキークルムロフは小さい町で、石畳に覆われた中世の可愛らしい街並みを楽しむのが人気。そんな中でも訪れたからには絶対に欠かせない見どころや展望ポイントがあるので、9箇所紹介します。
4-1. チェスキークルムロフ城
チェスキークルムロフのシンボルでもあり、訪れたからには絶対に見ておきたいチェスキークルムロフ城。
1250年頃、当時ボヘミアで力を持っていたヴィートコフ家によって建設されたものを起源とする歴史ある城で、チェコ共和国でもプラハ城に次いで2番目の規模を誇るとされています。
ゴシック建築、ルネサンス建築、バロック建築など増改築された時代によって異なる様々な顔を持つ複合建築。キャッスルシアターを含む内部はガイドツアーで見学が可能となっています。
公式HP:チェスキークルムロフ城
住所・マップ:Zámek 59, 381 01 Český Krumlov
入場:内部見学はガイドツアーのみ
4-2. チェスキークルムロフ城の鐘塔
チェスキークルムロフ城を訪れた際に合わせて足を運びたいのが城に併設されている鐘塔。
前述の城内部ガイドツアーには含まれておらず別料金となっていますが、チェスキークルムロフを一望する絶景を楽しむことができます。
塔上部へとつながる階段は非常に狭く急なので足腰に不安がある方や小さな子供を連れての際は注意してください。
公式HP:チェスキークルムロフ城の鐘塔
住所・マップ:Latrán 3, Latrán, 381 01 Český Krumlov
入場:有料
4-3. プラーシュトヴィ橋
17世紀から18世紀にかけてチェスキークルムロフ城内にあるキャッスルシアター(城劇場)と第5の中庭を結ぶように作られた複数のアーチが連なる石橋。
24時間無料でアクセス可能な、チェスキークルムロフの街を見下ろす絶景スポットの一つとして知られています。
住所・マップ:381 01 Český Krumlov
入場:24時間無料開放
4-4. 聖ヴィート教会
1407年~1439年に築かれた後期ゴシック様式建築と、その後17〜19世紀に増改築された当時の建築が今にまで状態良く残るカトリック教会、1995年に国家文化遺産に指定されています。
特に17世紀に造られた厳かな祭壇周りは必見です。
公式HP:聖ヴィート教会
住所・マップ:Kostelní, 381 01 Český Krumlov
入場:無料
4-5. ヴルタヴァ川
チェスキークルムロフの町はヴルタヴァ川に沿うようにつくられ、川の北部にはチェスキークルムロフ城が、川の南部には教会や修道院、そして城下町が繋がっています。
そんなヴルタヴァ川、暑さが厳しい夏場にはラフティングやゴンドラでのリバークルーズ、レンタルカヌーが大人気のアクティビティとなっています。
公式HP:ラフティング・カヌーレンタル
ツアー予約:ヴルタヴァ川いかだクルーズ
催行場所・マップ:Kaplická 27, Horní Brána, 381 01 Český Krumlov
4-6. ピヴォヴァルスカー庭園・ミノル派修道院
日中観光客で溢れる歴史地区の中にありながら、人気の少ない静かな環境が整っているピヴォヴァルスカー庭園。
赤十字騎士団の修道院として知られるミノル派修道院に併設されています。修道院内部は夏季期間中博物館として一般公開されており、チェスキークルムロフに根付く芸術・文化・宗教を大人から子供まで楽しみながら学べる場所となっています。
公式HP:修道院博物館
住所・マップ:Latrán 50, 381 01 Český Krumlov
入場:無料(庭園)/有料(博物館)
4-7. スヴォルノスティ広場
チェスキークルムロフ歴史地区、ヴルタヴァ川南側にある中央広場。
広場周辺にはレストランやカフェが多く並ぶ他、観光客に人気な中世の拷問博物館が位置しています。
4-8. セミナールニー庭園
チェスキークルムロフ歴史地区内で最も有名な展望スポットとなっているのが、セミナールニー庭園。背景にチェスキークルムロフ城を映しながらの記念撮影はここが一番おすすめです。
4-9. Hotel Růže 駐車場横空き地
実はほとんど知られていませんが、ガイドブック等でよく紹介されるチェスキークルムロフの風景が撮影されているのがこちらの駐車場。
観光客向けに整備されている場所ではないので記念撮影にはあまり向いていませんが、街並みだけを綺麗に撮りたいという方はこちらからの眺めをズームレンズで狙ってみてください。
マップ:撮影スポットはこちら
5. おすすめレストラン
チェスキークルムロフにも人気のレストランが数多くあり、カジュアルダイニングからフォーマルディナーのお店まで、嗜好と場面に合わせた選び方ができます。
その中でも今回おすすめしたいのがガストロパブ Krčma Šatlava。薪で起こした直火で焼くグリル料理が定評でボリューミーな肉・魚料理を楽しむことができます。
なかなかの人気店のため事前の予約をするか、ピーク時間をずらして利用してみてください。
レストラン名:Krčma Šatlava
住所・マップ:Šatlavská 157, 381 01 Český Krumlov
公式HP:http://www.satlava.cz/
予約:電話・店頭のみ
英語メニュー:有り
支払い:クレジットカード・現金
6. ちょっと知っておきたい注意点
チェスキークルムロフでの観光を楽しむために、訪れる前に知っておきたい注意事項を3点紹介します。
6-1. 石畳に注意
チェスキークルムロフの歴史地区は全体が石畳で覆われており、アップダウンも激しい地形となっています。
そのため大きなスーツケースを持っての観光は非常に困難で現実的ではありません。バスや鉄道を使って旅行する際は、なるべく荷物を少なくしキャリーバッグを避けることをお勧めします。
また歴史地区内に宿泊する際は、中心部ではなく歴史地区へと入るゲートから近いエリアで探すか、ホテルに送迎サービスがあるかどうか事前に問い合せをしておくようにするといいでしょう。
6-2. 人種差別的な接客に注意
非常に残念なことではありますが、美しくロマンチックな町にあっても人種差別的な態度をする人がいます。
いくつか他の旅行サイトでも紹介されている通り、特にチェスキークルムロフレストランの比較的年配者の店員にその傾向が高いようで、東洋人に対して無視や満席と嘘をついて入店させないなどの行為が行われているケースが数多く報告されています。
ありがたいことに、そのような事があると今ではGoogleレビューなどで情報がシェアされるので、レストラン利用の際はレビューや評価を事前にチェックするようにしておきましょう。
極端に評価の低いお店(例:グーグルマップで星3以下)を避け、最近のレビューで人種差別的な接客が行われてないかチェックするのも自己防衛の一つの方法です。
もちろん心地のいいサービスを提供しているお店も数多くあります。上記で紹介したレストランは日本人を含む東洋人も数多く高評価を残しいる人気店で、実際に筆者が訪れた際もフレンドリーなサービスをしてもらったのでレストラン選びに迷ったら利用してみてください。
6-3. ぼったくり価格に注意
仕方ないことではありますが、歴史地区内はほぼ全てのものが観光客価格。特にチェスキークルムロフ城内等では水のボトル一本でさえも日本円で700円近くするような料金設定がされていることがあります。
また歴史地区内のキオスクやコンビニも通常の3-5倍の料金設定は当たり前です。
そのため緊急な場合を除いて買い物をする際はチェスキークルムロフ歴史地区の入り口付近にあるスーパーマーケット Coopの利用がおすすめ。
日本でも知られる生協の発祥となった欧州で広く展開するCoop系列のスーパーで、価格は現地に住む人向けの設定となっているため安心して利用することができます。
またヴルタヴァ川沿いにある展望のいいレストランの多くが相当割高な料金設定を行なっているので、利用前にレビューや店頭のメニューで料金を確認するなど注意してください。
店名:Potraviny COOP
住所・マップ:Kaplická 24, Horní Brána, 381 01 Český Krumlov
7. まとめ
南ボヘミアにあるおとぎ話に出てきそうなくらい可愛らしい中世の街。
数多くあるツアーのおかげもありプラハから簡単に日帰り観光が可能なこともあり、世界中の観光客が訪れる人気名所となっています。
是非チェコ共和国を旅行する際はチェスキークルムロフへまで足を伸ばしてみてください。
世界一美しいとさえ言われるチェスキークルムロフを満喫するのであれば、現地で1-2泊の滞在がおすすめ。
筆者一押しのホテルがホテル・アルカディ HOTEL ARCADIE。歴史地区内にありながらバスターミナルに近く、キャリーバッグがあっても比較的苦労少なくチェックインが可能。チェックイン時間が13時と早いのも嬉しいポイントです。
何よりどのスタッフも非常にホスピタリティが高く、フレンドリーな対応をしてくださるので大変心地よくステイすることができます。
チェスキークルムロフ城やヴルタヴァ川を見下ろす絶景の展望を楽しむことができる客室がおすすめ(予約サイトで客室選択時に展望について確認可)。
サービスに含まれている朝食ブッフェもベーシックながらホットミール・コールドミール共に一通りメニューが揃っており、観光前にしっかりとお腹を満たしてから外にでかけることができます。
ホテル名:HOTEL ARCADIE
ホテルランク:3つ星
Booking.com評価:9+
チェックイン/チェックアウト:13時〜/〜10時
住所・マップ:Horní 148, Vnitřní Město, 381 01 Český Krumlov
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