イギリス最大の都市であり、世界中から観光客が集まるロンドン。
大英博物館やバッキンガム宮殿、ビッグ・ベン、タワーブリッジなど、誰もが一度は名前を聞いたことのある観光名所が街の至るところにあります。
そんなロンドン旅行で頭を悩ませるのが、やはり物価の高さ。
ホテル代はもちろん、地下鉄に数回乗り、レストランで食事をして、人気の観光施設に入るだけでも、思った以上の金額になることがあります。
特に日本円に換算しながら旅行していると、「昼食だけでこの値段?」と驚いてしまうことも珍しくありません。
ただし、ロンドンは何も考えずに観光すると高くつく一方、仕組みを知っている人には意外と節約しやすい街でもあります。
私自身、ロンドンに住んでいた頃に何度も感じたのが、単純に安いものを探すよりも「お金を使わなくても楽しめる場所」と「お金を使う価値がある体験」を分けることの大切さです。
この記事では、ロンドンらしさを削らず、旅行費用を上手に抑える8つの方法を紹介します。
※交通料金や割引内容は変更されることがあるため、旅行前に各公式サイトの最新情報も確認してください。
1. 空港から市内までは、ホテルの場所で交通手段を決める
ロンドン旅行で最初にまとまった出費になりやすいのが、空港から市内への移動です。
ヒースロー空港からロンドン中心部へ向かう代表的な方法には、次の3つがあります。
| 交通手段 | 所要時間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヒースロー・エクスプレス | パディントンまで約15分 | 最速。早期予約なら割安になることもある |
| エリザベス線 | 中心部まで45分以内 | 速さと利便性のバランスがよい |
| 地下鉄ピカデリー線 | 中心部まで1時間弱 | 時間はかかるが、比較的安い |
料金だけを見るなら、地下鉄ピカデリー線が有力です。ヒースロー空港の案内でも、地下鉄は市内へ向かう交通手段の中で安価な選択肢として紹介されています。
一方、必ずしも一番安い方法を選べばよいとは限りません。
例えば宿泊先がパディントン周辺なら、ヒースロー・エクスプレスやエリザベス線を利用すると移動が非常に楽です。逆にサウスケンジントンやピカデリー・サーカス周辺に泊まるなら、ピカデリー線のほうが乗り換えを減らせます。
以前、パディントン駅直結のホテルを利用した際は、長時間のフライト後に重いスーツケースを持って地下鉄を乗り継がずに済むことが、想像していた以上に快適でした。
ロンドン地下鉄は便利ですが、古い駅ではエレベーターがなく、長い階段や通路を歩かされることがあります。同じ駅名でも、乗り換える路線によっては延々と構内を歩くこともあります。
空港アクセスでは、運賃だけではなく、
ホテルまでの乗り換え回数
階段の有無
到着する時間帯
スーツケースの大きさ
最寄り駅からホテルまでの距離
まで含めて考えるのがおすすめです。
タクシー代や体力の消耗まで考えれば、数ポンド高い直通列車のほうが結果的に得になることもあります。
各交通手段の最新料金と所要時間は、ヒースロー空港公式サイトで比較できます。
2. 地下鉄では紙の切符を買わない
ロンドン市内の移動では、地下鉄、バス、エリザベス線、オーバーグラウンドなどを何度も利用することになります。
その際は、紙の切符ではなく、タッチ決済対応のクレジットカードやスマートフォン、またはオイスターカードを利用しましょう。
ロンドン交通局のPay as you goには、利用したゾーンに応じた1日・1週間の上限額が設定されています。一定額に達すると、それ以上乗っても同じ対象範囲内では運賃が加算されない仕組みです。
旅行者が毎朝「今日は一日券を買うべきか」と計算しなくても、自動的に運賃が調整されるのが便利なところです。TfL公式のPay as you go案内でも、紙の片道・往復切符より安く利用できると案内されています。
ただし、一つだけ覚えておきたい注意点があります。
入場時と退場時は、必ず同じカード、同じ端末を使ってください。
例えば、入場時にスマートフォンを使い、退場時に同じクレジットカードの現物をタッチすると、別の支払い手段として認識されることがあります。
Apple WatchとiPhoneも同じ扱いではありません。
正しく記録されないと、それぞれに最大運賃が請求される可能性があります。TfLも同じカードまたは端末でタッチするよう注意を呼びかけています。
また、ロンドン地下鉄は平日の朝夕になると一気に混雑します。
車両は日本の地下鉄より小さく感じる路線も多く、スーツケースを持ってラッシュ時間帯に乗るのはかなり大変です。急いでいなければ、朝夕の通勤時間を少し外すだけでも随分快適になります。
3. 観光地をエリアごとにまとめ、短い区間は歩く
ロンドンの地下鉄路線図を見ると、駅と駅がきれいに離れているように見えます。
ところが地上に出てみると、「わざわざ地下鉄に乗らなくても歩けた」という場所が意外なほどたくさんあります。
実際、TfLによると、ロンドン中心部では隣接する地下鉄駅間のうち109区間で、地下鉄より徒歩のほうが早いとされています。公式の徒歩案内には、街中に設置されている地図や現実的な徒歩時間も紹介されています。
ロンドンに住み始めた頃は、移動のたびに地下鉄へ降りていました。しかし、慣れてくると中心部ほど歩く機会が増えます。
地下深くまでエスカレーターで降り、電車を待ち、再び地上へ上がる時間を考えると、10~15分程度なら歩いたほうが早いことが多いためです。
観光日程は、次のようにエリア単位でまとめると効率的です。
ウェストミンスター周辺
ビッグ・ベン、国会議事堂、ウェストミンスター寺院、セント・ジェームズ・パーク、バッキンガム宮殿を徒歩でまとめられます。
トラファルガー広場・ウェストエンド周辺
ナショナル・ギャラリー、コヴェント・ガーデン、レスター・スクエア、チャイナタウン、ピカデリー・サーカスを歩いて回れます。
テムズ川南岸
ロンドン・アイ周辺からサウスバンク、テート・モダン、シェイクスピアズ・グローブ、バラ・マーケット、タワーブリッジ方面へ歩けます。
サウスケンジントン周辺
自然史博物館、科学博物館、ヴィクトリア&アルバート博物館が近接しています。
私は、ウェストミンスターからセント・ジェームズ・パークを抜け、バッキンガム宮殿へ向かう道が特に好きでした。
地下鉄なら単なる移動で終わりますが、歩けば赤い2階建てバスや黒いタクシー、古いパブ、ロンドンらしい住宅街が目に入ります。節約というより、それ自体が観光になります。
4. ホテルは「中心部かどうか」より乗り換えの少なさで選ぶ
ロンドンの宿泊費は旅行予算を大きく左右します。
だからといって、中心部から大きく離れたホテルを選べば必ず節約になるわけではありません。
郊外のホテルが一泊数千円安くても、毎日長距離を往復すれば交通費が増えます。移動時間が長くなり、疲れてタクシーを使ってしまえば、節約分が簡単に消えてしまいます。
おすすめは、ゾーン2から3程度まで範囲を広げながら、次の条件を満たすホテルを探す方法です。
最寄り駅まで徒歩10分以内
中心部まで乗り換えなし、または1回
利用予定の空港からアクセスしやすい
夜でも駅から歩きやすい
朝食付き、または近くにスーパーがある
ロンドンでは、地図上の直線距離よりも、利用できる路線のほうが重要です。
同じ「中心部まで30分」でも、一本で行けるホテルと、混雑する駅で二度乗り換えるホテルとでは使い勝手がまったく違います。
また、スーツケースがある日は駅の設備も確認しましょう。ロンドン地下鉄には、今でも階段しか使えない場所があります。
私がパディントン駅直結のホテルを利用した際も、宿泊料金そのものは格安ではありませんでした。しかし、空港や市内、さらにイギリス各地への鉄道移動が楽だったため、タクシー代と時間まで含めると十分に価値を感じました。
ホテル代だけを比較するのではなく、「滞在中の総額」で判断するのがポイントです。
5. 無料の博物館を旅の主役にする
物価の高いロンドンで、旅行者にとって本当にありがたい存在が無料の博物館や美術館です。
例えば、次の施設では常設展示を無料で見学できます。
大英博物館
ナショナル・ギャラリー
テート・モダン
自然史博物館
科学博物館
ヴィクトリア&アルバート博物館
国立海洋博物館
「無料だから小規模」ということはありません。
大英博物館や自然史博物館は、すべてを見ようとすると半日どころか一日でも足りないほどです。Visit Londonの無料博物館案内にも、ロンドンを代表する無料施設がまとめられています。
ロンドンでは天気が急に変わることも多いため、無料の博物館は雨の日の行き先としても重宝します。
ただし、無料だからといって一日に何館も詰め込むのはおすすめしません。
実際に歩いてみると館内はかなり広く、二つも回れば足が疲れます。午前中に一館をじっくり見学し、午後は周辺の公園や街歩きを楽しむくらいがちょうどよいと思います。
入館無料でも、優先入場用の時間指定予約を受け付けている施設があります。混雑期は各博物館の公式サイトから無料枠を予約しておきましょう。
6. 食費は「毎食安く」ではなく、強弱をつける
ロンドンで毎食レストランを利用すると、食費はあっという間に膨らみます。
注文時には料理の値段だけを見ていても、飲み物やサービス料が加わると、会計時に想像以上の金額になることがあります。
そこでおすすめなのが、朝食と昼食を抑え、夕食または一度の特別な体験に予算を残す方法です。
私がよく使う組み合わせは次のようなものです。
朝:ホテルの朝食、スーパーで買ったパンやヨーグルト
昼:スーパーのMeal Deal、ベーカリー、マーケットの軽食
夜:パブやレストランで温かい料理
滞在中に一度:アフタヌーンティなど、ロンドンらしい食体験
イギリスのスーパーでは、サンドイッチやサラダなどのメインに、飲み物とスナックを組み合わせた「Meal Deal」が広く販売されています。
例えばTescoでは、対象商品を組み合わせたランチセットが£4前後で提供されています。TescoのMeal Dealは内容を選べるため、観光途中の簡単な昼食として便利です。
ただし、せっかくロンドンまで来て、すべての食事をスーパーだけで済ませるのは少し寂しいもの。
私自身、ロンドン長期滞在中に利用したアフタヌーンティは、今でも印象に残っている体験の一つです。
クラシックなホテルの内装、何種類もの紅茶、焼きたてのスコーン、きちんとしていながら堅苦しすぎない接客。3時間ほどゆっくり過ごし、お腹もいっぱいになったので、単なるお茶というより観光と食事を兼ねた時間になりました。
毎日なんとなく外食するよりも、普段の食事を抑えて一度だけ本当に行きたい店を予約する。そのほうが出費に納得でき、旅の記憶にも残ります。
7. 有料観光地とミュージカルは、必ず公式割引を確認する
ロンドン塔、ウェストミンスター寺院、ロンドン・アイなど、有料の人気観光地をすべて回ると相当な金額になります。
まずは「本当に中へ入りたい場所」を二つか三つに絞りましょう。
外観を見るだけでも十分楽しめる場所や、無料施設で代替できる場所まで、勢いで予約する必要はありません。
複数の観光施設を回る場合は観光パスが便利なこともありますが、パスを買ったからといって必ず得になるわけではありません。
購入前に、実際に訪れる施設の通常料金を足し合わせてください。元を取るために予定を詰め込み、ロンドン中を移動するようになっては本末転倒です。
鉄道を利用する予定がある人は、National Railの「Days Out Guide」も確認してみましょう。対象施設では2FOR1や割引キャンペーンが実施されることがあります。利用できる施設や必要な切符は変わるため、National Rail公式サイトで条件を確認してください。
ウェストエンドでミュージカルや演劇を見たい場合は、レスター・スクエアの公式チケットブースも選択肢になります。
当日券や割引対象の公演が販売されることがあり、非公式な転売サイトを使うより安心です。最新の対象公演はOfficial London Theatreのチケット案内で確認できます。
見たい作品が決まっている場合は早めの公式予約、作品や座席にこだわらない場合は当日割引、という使い分けがおすすめです。
8. 水筒を持ち、小さな出費を減らす
ロンドン旅行では、大きな買い物よりも、小さな出費の積み重ねが予算を押し上げます。
観光地で買う水、休憩のたびに注文するコーヒー、駅で買うスナック。一回ごとの金額はそれほど大きくなくても、数日続けば立派な食事一回分になります。
そこで役立つのが、空の水筒や再利用できるボトルです。
ロンドンには公共の給水設備が設置されているほか、「Refill London」に参加する店舗や施設では無料で水を補充できます。ロンドン市の案内には給水設備の設置場所や取り組みが紹介されています。
また、ホテルを予約するときは無料のコーヒーや紅茶、冷蔵庫、朝食の有無も確認してみてください。
宿泊料金が少し高くても、しっかりとした朝食が含まれていれば、昼は軽食だけで十分になることがあります。
以前利用したロンドンのホテルでも、朝食のイングリッシュブレックファストが充実しており、つい食べすぎてしまうほどでした。ただ、朝からしっかり食べた日は観光途中に何度も軽食を買わずに済み、物価の高いロンドンでは思いのほか助かりました。
安いホテルを探す際も、表示されている宿泊料金だけでなく、朝食や交通費まで含めて比較してみてください。
実際にはどのように組み合わせる?
例えば3日間のロンドン観光なら、次のように予定を組めます。
1日目:王道のロンドンを歩く
ウェストミンスター周辺から観光を開始し、ビッグ・ベン、セント・ジェームズ・パーク、バッキンガム宮殿へ。
その後はトラファルガー広場まで歩き、ナショナル・ギャラリーを無料で見学します。
移動を徒歩中心にすれば交通費を抑えられ、初日からロンドンらしい街並みを楽しめます。
2日目:無料博物館と特別な食事
午前中は大英博物館、またはサウスケンジントンの博物館を一館だけじっくり見学。
昼はMeal Dealなどで軽く済ませ、午後から予約しておいたアフタヌーンティへ向かいます。
節約日でありながら、ロンドンらしい食文化もきちんと体験できます。
3日目:テムズ川沿いを歩く
ウェストミンスターからサウスバンクを通り、テート・モダンやバラ・マーケット方面へ。
途中の景色を楽しみながら歩けば、有料の観光バスやクルーズに乗らなくても、ロンドンを十分満喫できます。
夜は割引チケットが見つかればウェストエンドへ。見つからなければ、パブで最後の夕食を楽しむのもよいでしょう。
最後に
いかがでしたか?
ロンドンは確かに物価の高い街です。
しかし、地下鉄の支払い方法、ホテルの立地、空港からの移動手段を少し工夫するだけでも、旅行費用は大きく変わります。
さらに、世界的に有名な博物館や美術館の多くが無料で、街そのものが歩いて楽しめる観光地です。
ロンドン旅行で大切なのは、何もかも我慢することではありません。
普段の移動や食事で無駄な出費を減らし、その分をアフタヌーンティ、ミュージカル、歴史的建造物など、自分が本当に楽しみにしている体験へ回すこと。
そうすれば、予算を守りながらも「節約ばかりしていた」という印象のない、満足度の高いロンドン旅行になるはずです。
ぜひ今回紹介した方法を参考に、自分なりのロンドン観光プランを組み立ててみてください。












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