キャッシュレス化した北欧の決済事情と旅行者への注意点

世界で最もキャッスレス化が進んでいると言われる北欧スウェーデン、そんなスウェーデンに私は住んでいます。

日本でもSuicaやiD、Edy等多くの電子マネーが使われ、Appleも独自の電子決済システムを発表するなど世界的に脱現金化が進んでいますが、やはり北欧と比べたらまだまだまだだまと言ったところ。

今回は、特に世界でも有数の電子決済インフラが進んでいる北欧諸国の現状を見ながら、こちらのキャッシュレス社会を紹介いたします。

また最後に、ヨーロッパ旅行で注意すべきレジットカードの利用法ついても紹介していきます。

1. キャッシュレスで世界最先端をいく北欧諸国

デンマークやスウェーデンを始めとする北欧諸国は世界でも有数のカード社会です。

クレジットカードやデビットカードが使えない場所を探す方が難しく、クレジットカード・デビットカードをポケットに入れるだけで財布を持ち歩かない人が非常に増えてきています。

どんな少額決済でも

基本的に金額に関係なくカード決済です。車の購入から水のペットボトル1本、電車の切符までクレジットカードを使うことが出来ます。

スウェーデンに来てクレジットカードが使えない場所として今まで経験したことがあるのは、極一部の露店と有料公衆トイレだけでした。

ちなみに教会の献金までクレジットカードでの支払いを受け付けています。

むしろ現金を使っているのはおそらく観光客だけ、こちらに住んでいる人が現金で支払いをしているのはほとんど見たことがありません。現金支払い=観光客といって過言ではないでしょう。

こちらはコペンハーゲンにある電車の券売機です。これほど多くの電子マネーを含むカードが利用できます。

が、よく見ると現金の投入口は無いのです。現金で切符を買いたい場合には数少ない現金OKの券売機か有人の窓口に並ばなければなりません。

ちなみに最近スウェーデンではバスやトラム乗車の際現金での支払いはできなくなりました。ICカードを事前に用意するかクレジットカード・デビットカードで運転手に支払います。

詳しくはこちらをご覧ください。

割り勘はタブー

例えば日本では割り勘という言葉があります。スウェーデンでは自分で食べたものは自分で払います。

食事後に会計をする際、別々に払う旨をウェイターに伝えれば、一人づつカードを切ってくれます。嫌な顔をするなんてことは決してありませんし、むしろそれが普通なので、ウェイター側から「別々に払う? pay separately?」と聞いてきます。

むしろ現金をジャラジャラだして会計に手間取っている方がスマートじゃないので嫌がられてしまいます。

ではなんでこんなに電子決済が普及しているのでしょうか?そこには国策でキャッシュレスを推進しているという事情がありました。

2. デンマークでの国策から見る脱現金社会によるメリット

キャッシュフリー

デンマーク政府は、最近財務省が推進する経済成長施策のひとつとして「現金清算の義務」を一部で廃止することを認める法案を発表しました。すなわち、お店によっては「うちでは現金使えません」という事が認められたのです。

こんな事ができる理由として、デンマークやスウェーデンではユーロ通貨の導入をしておらず、独自通貨制度(デンマーククローネ、スウェーデンクローネ)を維持しているというためです。

これにより国策として脱現金社会を進めると同時に、電子決済を半強制的に促進することが出来るのです。

それを推し進める理由には主に5つあります。

1. 治安の向上

現金を持ち歩く必要がないため、ひったくりや空き巣、強盗のような現金を狙った犯罪の抑制につながっているとされています。

また現金取扱量が減ることから銀行強盗の件数もここ数年で激減(なんと1/400に減少)しているようです。

ただ一方でインターネットを利用したセキュリティに関する犯罪やスキミング被害が増えており、これによる対策が現在進められています。

2. 店舗の効率化による経済の活性化

消費者の支払いによる時間を短縮することができるほか、売上の日報等を作る管理がしやすくなり、店舗の経営管理を効率的に行うことができます。これにより、生産性の向上が図られると考えられています。

3. 消費者の利便性向上

消費者としても紙幣や小銭を管理したりする必要がなく、支払いの際にはいつも決まったカードやICチップ搭載デバイスを出すだけですので、決済の利便性が向上します。

4. 紙幣発行予算の削減

使われる現金が減ればその分造幣する必要がないので、それに当てられる予算を削減することができます。

5. マネーの透明化

全て電子決済化すると、お金の動きが全て銀行など管理された組織を経由することになります。

そのため、裏で動く現金のようなものがなくなるため、犯罪に関連した金銭の享受が出来なくなるほか、国にとっては個人事業主からの税金の取りこぼしがなくなります。

お金の流れを完全にモニターされるという側面があります。


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3. 現金が使えない社会

スウェーデン国民の97%がデビットカード保有

スウェーデンの銀行では、なんと銀行口座を持つ7歳以上の子供全員に対しデビットカードを発行しており、これは人口の97%がデビットカードを保有していることを意味します。

小さい子供のうちから電子決済を行うことが習慣になっているのです。

電子マネー普及も最高水準

Nearly a third of the Danish population uses MobilePay, a smartphone application for transferring money to other phones and shops, and Sweden, Denmark and Finland lead in credit card payments per inhabitants in the European Union.

ロイター通信

普及しているのはクレジットカードやデビットカードだけではありません。

この記事によると約1/3のデンマーク人が、モバイルペイという同国最大の銀行Danske Bankのスマホアプリを使用した電子決済を使用しているとのこと。電子マネーやスマホアプリでの決済も極めて一般的に行われています。

スウェーデンではSwishと呼ばれるスマホアプリを通した決済もポピュラーです。スウェーデンの民間銀行が共同で立ち上げたシステムで、アプリ上で金額や送金先の電話番号等を入力するだけで送金することができます。

これは、国民全員に割り当てられたパーソナルナンバー(日本でいうマイナンバー)が、電話番号、住所、銀行口座全てを紐づけているために可能になるシステムで、相手の個人情報保護の何かしら1つわかれば全てにアクセスできてしまうという、スウェーデンのシステムに起因します。

スウェーデンでは「ちょっと100クローネ貸して」なんていって紙幣を渡す時代は完全に終わっており、アプリで「100」と入力して送信、そんな時代が来ています。

現金主義は生き残れない

キャッシュレス社会

2016年1月より施行予定の前述したデンマークの法案によると、レストラン・衣料品店・ガソリンスタンドなどの一部の業種で、現金による支払いを断ることができるようになるということ。もはや国によっては現金では商品を購入できない時代が来たということです。

つまり、近々「現金主義者」がもはや何も買えないなんていう時代が来てしまうのかもしれません。

現金がなくなる国

そんな理由から、北欧諸国では近々現金がなくなるのではないか、なんてことまで言われるようになりました。

事実2015年の年間決済額のうち、現金による決済はスウェーデンではたったの3%、デンマークでは5%であったと報告されています。よって年間の紙幣発行額は右肩下がりを続けており、近いうちにキャッシュレス社会が来ると予想されています。

事実、スウェーデン6大銀行のうち、現在において現金での運用を行なっているのはわずか1つだけです。

4. キャッシュレス化の問題点

一方、電子決済に不慣れな高齢者を狙った詐欺事件も少なからずやはり発生しているようです。銀行にいって現金を下ろすという手間がない分、非常に簡単に送金が出来てしまうことからでしょう。

また、最近ではセキュリティの安心を唱ったICチップカードでさえ、データをコピーし偽造を試みるグループがいるとか。セキュリティ面での不安が言われています。

5. 欧州で使うクレジットカードの注意点

クレジットカード

サイン決済不可

日本ではPINコードが思い出せないor設定してない場合には「サインで」と署名による決済ができるますが、北欧を始めヨーロッパだと高級ホテルを除いてクレジットカードの使用をほぼ100%断られます

4桁の暗証番号の設定がきちんとされているか事前に確認しておきましょう。

磁気専用カードは利用不可

それと同様に、磁気カード(ICチップの付いていないカード)の利用もPINコードによる決済が出来ないので断られます。

私の住んでいるスウェーデンでは、セキュリティの観点からICチップ付きクレジットカードが当たり前で、ICチップのないカードは決済用として受け付けてもらえません

日本で発行されているアメリカンエクスプレスカードやダイナースカードの多くは、未だICチップ未搭載ですので、いくら日本でステータスカードといっても全く無力ですので注意しましょう。プラチナカードでもブラックカードでもダメなものはダメです。

ヨーロッパ旅行でのクレジットカードの条件はこちらも御覧ください。

6. 最後に

キャッシュレス社会

クレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマホアプリ、インターネット経由オンライン決済などの電子決済インフラが整ってきている北欧諸国では、もはや現金が使えなくなる日が近づいてきています。

日本もマイナンバー制度が導入され、総務省が電子マネーやポイントカード機能をマイナンバーカードに搭載することを検討していると報道がありました。

現金主義者が多いことで有名の日本でさえ将来キャッシュレス社会に進むことはグローバル化の中で避けては通れない道であることは間違いありません。

日本のキャッシュレス化により消費者にとっても安全で便利な社会になることを願うと同時に、セキュリティー対策も同時に進むことが望まれます。

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4 件のコメント

  • はじめまして。スウェーデンについて調べててこちらに辿り着きました。
    切符に関してありましたが、Suicaは最近ではモバイルSuicaアプリでチャージも楽になってきましたね。
    あと飲食店の会計で割り勘アプリなんてものもできたとこの前ニュースで見まして、日本も変わりつつあるなと思いました。
    セキュリティの面が怖いのはありますが(友人は海外でスキミング被害にあったので)、便利になるのは良いですね。

    • やはり日本の鉄道の一番の問題点は、クレジットカードで切符が買えない、もしくはカードでのチャージができないということかと思います。
      日本人であれば確かにスマホアプリなどで対応できますが、一時滞在の旅行者からするとこれはかなりのハードルの高さ。
      また日本では「日本発行のクレカのみ」対応している店舗も多いので、そういう意味ではまだまだ改善の余地はあるかな、という印象です。

    • コメントありがとうございます。
      せめてクレジットカードがもう少し使えるようになるといいですね。
      特に電車の切符をカードで買えるようにするのはこれだけ外国人旅行者が増えてきた今は急務な気がします。
      切符じゃなくてICカード買うにもチャージするにもやはりカード支払いは最低限具備してほしいと思ってます。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    Shun

    1988年 横浜生まれ。アイルランド、スコットランドへ短期留学後、スウェーデン南部マルメ1年留学、さらにその後英国ロンドンに大学院生として留学。北欧やバルト3国の大部分の都市・街を周遊し北欧の文化や観光情報にも精通。 留学に必要なIELTS対策と北欧を中心としたヨーロッパ観光情報をブログにて紹介中。

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