まだ日本でIELTSの知名度があまり無い時期から実体験をもとにしたIELTS対策をこのサイトで幾度となく紹介し、今ではIELTS対策の記事としては随一の知名度をいただくことができています。
そんな私も2016年に念願の海外生活を始め、結果として非英語圏含め欧州3カ国に長期滞在することとなりました。
そんな中、とあることから再度IELTS受験が必要となったことから、6年ぶりにIELTS Academicモジュール(ペーパーベース)を受けてきました。
この記事では実際に海外生活で英語力はどう変わったのか、IELTSの問題傾向なども含めて検証していきます。
1. 海外生活5年でのスコアの変化
まずは気になる、海外生活をすると英語力がどれほど変わるのか、というポイントから。
こちらが2016年にヨーロッパの大学院出願用に取得したIELTS Academicモジュールのスコア。

初回受験時はオーバーオール5.5から始まったものの、集中した6ヶ月の対策でオーバーオール7.0を取得、見事念願の留学を果たすことができました。
特にリーディングに関してはこちらの記事で紹介している精読と多読を繰り返し、当時は自分の真の英語力を考えても驚いてしまう8.5のスコアを獲得。
一方、下馬評通りライティングは苦戦し、なんとか最低必要条件である6.0に届いた、といった感じでした。

そしてこちらが2022年1月に受験した最新のIELTS Academicモジュールの結果。順調に英語力は伸びていたようで、無対策で受験しましたがオーバーオール8.0を獲得。
リーディングに関しては海外大学院生活やその後の勤務先で多量の英語文献を読むこともあり、日頃から鍛えられていたためスコアは8.5を維持。
リスニングは海外生活の効果が高かったようで、聞き取れない箇所等もほぼなく自信を持って8.5のスコアを取ることができました。
一方で、日本人が苦手とされるアウトプットに関しては、スコアは上がっていたとはいえ、6年の海外生活としては少し寂しい0.5の上がり幅という結果になりました。
2. スコア変化の自己分析
6年に及ぶ海外生活でIELTSのスコアは上昇。オーバーオール1.0の上がり幅となりましたが、一方でインプット科目とアウトプット科目で上がり幅に大きな差が見られました。
やはり試験という性格がある以上、いくら普段英語に囲まれる生活をしても対策の必要性というのは変わりそうにありません。
海外で生活をしている中の自分の英語の使い方を踏まえた上で自分なりに分析してみます。
a. リスニング
海外生活をしていると避けては通れないのが英語のリスニング。
学校に通っている間は授業や友人との会話、一人でいる時であっても駅や空港の構内、バスの車内など常に英語が流れている環境に身を置かれることとなります。
こうした環境はたとえ自分では勉強をしているつもりはなくても自然の英語力の向上につながり、特に英語耳の構築には役立っていると間違いなく言えるかと思います。
リスニング試験パート1はまさに日常のリスニングがテーマ。駅構内の放送や、道案内、チケットの購入など現地で生活をする上で不可欠な英語力が試されます。
またパート2は話者1人が何かトピックについて一方的に説明するようなガイダンス形式、こちらも落ち着いて聞くだけなので特に難しい理解力も必要ありません。
海外生活をしていると、どんな環境であれこれらの簡単な内容を聞く能力は自然と身につくのでしょう。
一方で、パート3や4に関してはトピックがややアカデミックな内容になり、途中内容を理解しきれないと所謂「ひっかけ」の部分で誤答してしまったり、解答箇所を見失ってしまったりという失敗につながるかもしれません。
いずれにせよ、海外生活は長ければ長いほど英語耳はついてくると感じました。
b. リーディング
もともと留学前にIELTS8.5を取っていたためスコアの伸びはありませんでしたが、非常に高い8.5維持という形になりました。
ただ実感は少し異なります。
仕事でも多量の英語文献を扱うため、リーディング力は衰えているとは思っていませんでした。しかし、いざ実際に試験を受けてみると、試験慣れをしていなかったということもあり時間配分に苦戦。
英文自体はさほど難しいとは思いませんでしたが、一方で時間に追われるプレッシャーから読んでも読んでも頭に残らないという焦りに直面しました。
実際パート1、2にそれぞれ22分程度費やしてしまったことから、最も時間をかけるべきであるパート3は実質15分程度しか残らず、最後の方はものすごく大雑把なスキミングでなんとか解答欄を埋めただけというのが実際。
留学前にとった8.5の方が自信を持って到達できたという一方、今回は運が良かっただけのように思います。
やはりリーディングに関してはいくら仕事で使っているからとはいえ、試験独特の制限時間内に終わらせるというトレーニングが欠けており、またそのスピード感の中でも理解に繋げるというのは試験対策の中でのみ培われるものだと痛感しました。
また、英語のトピックも普段仕事で扱うような内容ではなく、考古学や歴史など読み慣れていないものだったことで、よりイメージがつかなかったというのも時間がかかりすぎた原因。
IELTSはあくまでも「試験」ということで、英語力に関わらず試験対策の重要性を感じました。
c. ライティング
ライティングは6.0かや7.0へと1の上昇。
個人的には7.5くらいもらえるのではないかという自信もあったのですが、もともとライティングはスコアが最も伸びにくい科目として知られていることもあり仕方ありません。
仕事柄英語で論文を書くこともあり、それなりにアカデミックライティングについても自信はあるのですが、やはり試験で問われるものと現実の間には多少のギャップがあるように思います。
流れはなかなかいい感じにまとまったのですが、あくまでも試験なので、限られた単語数の中で高度な文法やトピックにマッチする語彙などを意図的に使うなどのパフォーマンス的要素が必要、今回はその部分が少し欠けていたのかもしれません。
このようなアカデミックライティングに関しては海外生活が長いからと言って身につくようなものではなく、仕事や学校などの環境で大きく変わる能力。
日頃からどの程度論理的な思考をアウトプットする環境にいるかという点が海外生活とスコア上昇との相関を作るかどうかの鍵になります。
その上で、試験対策として文法や語彙力向上は欠かせないものと言えるでしょう。
d. スピーキング
今回最も残念なポイントだったのがスピーキング。留学前からわずか0.5の上昇で7.0というスコアになりました。
試験中も解答後に試験官から「それで?」のように追加のセンテンスを催促される場面もあり、あまりいい手応えはありませんでした。
特にパート3の質問に関しては、聞かれた内容についてシンプルに解答しすぎる傾向があったようです。適切な解答の長さというのがあり、試験ということを意識して少し長めに、もしかしたら少し回りくどく、答えるべきだったのかもしれません。
また試験環境ということへのプレッシャーからか、あまり意図して高度な文法を使って解答するということができず、解答が単調になってしまったというのも反省点。
一方でFluency (流暢さ)については留学前に受けた際よりも格段に向上しているのが自分でもわかりました。話すスピードが上がっている分、もう少ししっかりと内容のある解答をそれなりに高度な文法や語彙を含めて用意することが更なるスコア向上には必要そうです。
3. IELTSの出題傾向の変化
6年ぶりのIELTS受験となりましたが、出題傾向が変わっているかと言われればそうは感じませんでした。
もちろん1回だけの受験だけで近年の傾向を語ることはできませんが、基本的な問題構成に変化はなく、問題の難易度についても過去数年の過去問と比較して遜色があるようには感じません。
ただし、6年前に使用していたIELTS過去問7-9と比較するとリーディングの難易度が若干上がっているような印象を受けました。
リーディングの難易度というのは、決して語彙レベルが上がったとか文法が複雑になったというわけではなく、トピックの専門性が若干上がっているように感じる、ということです。
従来は時々見られた基礎知識や常識レベルで解答できてしまう、もしくは選択肢が絞られてしまうというような問題は一切なくなっており、それぞれ長文の試験適正が向上しているのかもしれません。
また今回のライティングのタスク1は過去と現在の地図2枚を比較するというもの。同室で試験を受けた方に聞いたところ、ここ1年で3回テストを受けたが単純なグラフの読解は1度も当たらなかったとのこと。
数年前は定番だった棒グラフや円グラフの説明というようなものはほとんど使われなくなっているのかもしれません。
4. 最後に
実は今回IELTSの試験を受けた会場はスウェーデンのストックホルム。
日本とは違い受験者数が少ないのであまり試験というような周辺からのプレッシャーはほとんどない中で受けることができました。
学生のような人から社会人の人まで人種や国籍を超え様々な人が、それぞれの理由で受けていたIELTS。
一つ言えるのは、IELTS受験者は皆それぞれ次のステップへ進もうと挑戦している人。このサイトを読んでいる方も何かしらの目標に向かって英語学習をしているはずです。
是非そのめの最初のステップとしてのIELTS目標スコア到達を応援しています。
IELTS対策向けオンラインコースの定番ベストティーチャー。
一般的なオンライン英会話とは違い、IELTS対策教材を使いながらスピーキングとライティングという日本人が苦手とするアウトプット科目のみに特化してコースが組まれています。
繰り返しの反復を行いながら自分で文章を組み立てる力を鍛えられるので、実際の本試験の際に即戦力となる能力をつけることができるはずです。
無料体験コースがあるので、是非独特なレッスンスタイルと効果を体感してみてください。
WritingとSpeakingを両方学びたいならベストティーチャー(Best Teacher)