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留学形式を知ろう〜委託教育(Contract education)とは?

      2016/01/31


大学院(Master/Ph.D)で海外留学をいざ検討する際に、絶対に確認しなければならないことの1つに、留学志望先の大学や学部がどういう形式で留学生を受け入れているか、というものがあります。

その中で、最近多くの学部が高等教育課程の学生募集で採用しているContract education(=Commissioned education)というものについて簡単に説明します。

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Contract(Commissioned) Educationとは

Contract Educationとは、日本語では委任(委託)教育と訳されます。

簡単に言うと、留学希望者Aの在籍している会社もしくは機関・組織(大学含む)等が留学先大学Bに対して高等教育を依頼し、それに応じてB大学が留学希望者Aに対して教育を提供するというものです。

すなわち、形式的には留学生は所属元の派遣により留学を行っているということになります。

この場合、自己推薦分や履歴書、英語試験結果等が必要というのはもちろん通常の留学と同様ですし、入学試験や選考によって合否が決まるということも同様です。唯一違うことは、入学手続き(学費納入の契約)は留学生本人ではなく、前述の組織・機関の代表者が行うということになります。

この方式はヨーロッパやカナダでは非常にメジャーで、私が知ってる限りスウェーデンの大学はほとんどがこの方式を採用しています。スウェーデン政府機関(文科省に該当)が高等教育のContract educationに関する規則を設定しているためです。

メリットは?

なぜこのような一見面倒な手続きを採用するのでしょうか。様々な理由がありますが、いくつかご紹介します。

大学側のメリット

まず第1に、個人からの出願ではなく組織からの出願ということで身元が明らかになり、人物の評価が行いやすいということがあります。身元が保証されるというのは海外では特に重要視され、個人での学生募集よりもより質の高い(人格的にも能力的にも)入学希望者が集まりやすいとい言われています。

そして第2に金銭的な問題があります。留学費用は通常学費だけでなく滞在費も含めて相当額がかかります。そして、一般的に正規過程に入学する場合には2〜4年間という長い期間がかかってくることが一般的です。そのため、個人の私費留学の場合、金銭的な負担で中途退学を余儀なくされる学生が必ず発生します。一方組織・機関からという委託形式をとっているContract educationでは、原則学生個人が支払いを行うわけではないので、教育期間中を通して在籍できるという1つの保証になってきます。

留学生のメリット

留学期間中の財政的な問題が起こりにくいというのは非常に大きな要因です。ですが、現実問題としては、日本の場合留学費用を全額会社や在籍機関持ちというのは珍しいので、このメリットは実は受けられない可能性もあります。

第2に、留学中も元所属先とのつながりが途絶えることはなく、また形式的には「派遣」されているという形をとるため、留学後の復職が容易になってきます。また昇級・昇給の可能性も高いという意味で、キャリアアップと直接つながってきます。これは留学生にとっても所属元の会社・機関にとってもプラスです。

委託教育の具体例

なかなか想像がつきずらいので例を挙げます。

日本の鉄道会社J○に所属している社員Bさんが、エンジニアリング関係の学位取得のためにContract education制度を採用しているイギリスのK大学へ2年留学します。その場合、入学試験を受けた後その合否がBさんへ通知されますが、入学を決定した場合には入学手続きはJ○とK大学が結び、学費の支払いもJ○が行います。留学期間中は社員Bさんは留学先K大学に在籍しますが、同時にJ○を休職という扱いで在籍を続けるため、学位取得後復職し、上級職への昇進が保証されます。

もう1つ私が留学しているスウェーデンので一般的な例を1つ挙げます。

中東(サウジアラビア・クエート等)の留学生のほとんどは母国の政府機関(厚生省や文科省に該当)からの委託という形式をとっています。そのため彼らは国費留学ということで自己負担はありませんし、その滞在費用も国が支援しています。この場合は、母国の政府がスウェーデンの大学組織に対して留学生入学手続きを行っています。

留学希望者への注意!

原則Contract education制度を敷いている大学、学部については個人での留学というのは受け入れてくれません。いくら優秀でも出願資格が無いのです。

よって個人での出願は諦めなければなりません。その場合個人での出願を受け入れている学部を探す必要があります。

というのが定石ですが、決してそんなことはありません!私は最初出願先がContract educationしか受け入れないというのを知って愕然としたのですが、諦めなければ抜け道はいくらでもあります。実際に私費で入学しています。

Contract educationでも私費留学する方法

まず、スウェーデンの留学生向けの情報を提供しているサイトの文言をいくつか読んでみましょう。

Q. Can I buy a commissioned education as a private person?

A. No, it is only an employer who can order and pay for it.

というわけで、個人ではダメです。が、こうともあります。

Q. Who can order a commissioned education from the University?

A. A private company, organisation, municipal or state government can buy commissioned education for their employees.  

つまり、なんらかの会社ならOKということになります。ここに希望があります。

最も一般的なのは留学費用として両親からの支援をもらう場合だと思います。いくつか例を紹介します。

  1. 両親のいずれかが自営業(個人開業医や事務所を持っている場合も同じ)であれば、そこに在籍していることにしてもらいましょう。そして、入学手続き(学費の支払い契約)の用紙にご職場の上司として両親からサインをもらえばOKです。
  2. ペーパーカンパニーを作って、そこに両親と共に在籍しているということにすればそれでも問題ありません。日本で登記しているとかそういうことは問題ではありません。知っている例では、ブログを運営している会社をに在籍しているという形をとって、履歴書に記載し広告関係の学部へ入っている人がいます。
  3. 自分の会社の上司に頼んで、書類だけでもサインをしてもらう。これについては大手の会社の場合、責任問題等を言われて難しいかもしれません。

ハードルは一見たかそうですが、後述するContract educationの出願に要求される書類を見てもらえればなんとかなる気がしてくるはずです。

Contract educationで特徴的な書類

通常の私費留学の出願時に出すような推薦分や履歴書に加えてContract Educationの時に要求される文書が1つあります。一般的にはLetter of Agreement for Financing the Trainingと呼ばれるもので、

「○○○は弊社に〜〜年より所属しており、キャリアアップのためにXXX大学へ進学を希望しています。弊社は喜んで○○○の留学中(0000年~0000年迄)の学費および生活に関わる費用を負担し、支払いを行うことをお知らせいたします。(サイン)」

という感じで、簡単な学費支払いの約束をするものです。ですが、実際問題として留学後の学費の請求書は個人に届きます。ので、建前としては会社から留学生にお金が援助され、それを大学に収めるという形なのですが、実質は留学生個人で振り込みを行うので払うので、会社・機関が大学に直接払うというわけではないのです。あくまでも形式的ということです。

この書類についての詳細については別の記事で取り上げています。

保証社会の欧米

基本的に欧米は保証社会です。個人で出願し、個人で支払いを行いますという約束は信頼されにくい傾向があるのは仕方ありません。日本で、マンションを借りる時やお金を借りる時に連帯保証人を用意する必要があるのと全く同じです。

よって留学を希望する本人とは別の、上司や会社の責任者(財務担当)、両親、他親族といった第3者のサインがあるということが極めて重要になってくるのです。Contract Education=保証人がいない人には入学を認めません、という意味ですので、ある意味で当然とも言えます。

所属している会社が大手かどうか、というのは基本的に問題にはなりませんし(そもそもそんな事は大学側はわからない)、そこで入学が不利になることもありませんのでその点は安心してください。

最後に

いかがでしたか?

留学先の学部の受け入れ方式を知ることが出願前には絶対に必要です。Contract Educationと書いてある場合には、少し注意は必要ですが、とはいっても現実的には私費留学をすることは可能です。是非諦めずに希望の留学先へ出願してみてください。